【東京・目黒】目黒最古の神社「大鳥神社」のみどころ。江戸時代から続いている酉の市も有名
目黒区内で最も古い歴史を持つ大鳥神社。ご祭神が夫婦でもあったことから、良縁のパワースポットとしても知られています。また毎年11月に行われる酉の市は、商売繁盛のご利益をいただける江戸時代から続く歴史的な行事。お守りや御朱印についてなど、訪れる前に知っておきたいことをまとめました。
Summary
駅からてくてく10分弱。好アクセスの大鳥神社
大鳥神社は、JR目黒駅西口を出て目黒通り沿いを7~8分ほど下った山手通りと交差する場所に位置します。「大鳥神社」という名前の交差点名なので、初めて訪れる方もわかりやすくたどり着けるでしょう。
駅から目黒通り沿いに下る道は「権之助坂」。飲食店が左右に立ち並び、駅からの道のりも飽きずに散歩気分で歩けます。参拝後の腹ごしらえをするお店を物色しながら目的地まで進むのも楽しいかも。
こちらの道は、区が指定する「みどりの散歩道」という散歩コースにも設定されています。
ご祭神が夫婦。大鳥神社の歴史とご利益
この場所に社殿が造営されたのは、大同元年(806)のこと。目黒区内最古の神社でもあります。日本武尊の白鳥伝説との関わりが深い神社であることから大鳥神社の名がついたといわれ、日本各地の大鳥神社を名乗る神社と区別するため、「目黒大鳥神社」とも呼ばれます。
大鳥神社の主祭神は、日本武尊(やまとたけるのみこと)。相殿に国常立尊(くにのとこたちのみこと)と弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)が祭られています。この二人は夫婦でもあることから、良縁や恋愛のご利益があるパワースポットとしても知られています。
日本武尊が東夷征伐の折に立ち寄り、持病であった目の病の治癒を祈願したところ、再び剣を持って働くことができたという説から、盲神(めくらがみ)と称えられました。めくらがみの「めくら」が次第に訛り「めぐろ」となり、今の目黒という地名の由来となったという説もあります。
このとき日本武尊は、東夷征伐の際に持っていた十握剣(とうかのつるぎ)を、感謝の気持ちを込めて大鳥神社に献りました。この剣は天武雲剣(あまのたけぐものつるぎ)として、大鳥神社の社宝となっています。
さらに日本武尊の霊が白鳥としてあらわれたといういわれから、社紋には鳳凰が用いられています。この鳳凰は大鳥神社の境内のあちこちに見ることができるので、探してみるのも楽しみの一つ。
描かれている場所ごとに鳳凰の表情が違うのも、ちょっとしたおもしろい発見です。
江戸図として最も古いとされる室町時代の長禄の江戸図には、大鳥神社が鳥明神として記載されています。この江戸図に記載されている神社はわずか9社のみであることから、大鳥神社は江戸九社の一つに数えられています。
良縁や恋愛のご利益があるとして知られる大鳥神社ですが、古くは日本武尊が蝦夷地などを平定したことや焼津で火の災いを塞いだことなどから、火難除けのご利益も授かることができます。拝殿に掲げられる2つの長提灯の側面には江戸の町火消し組の紋が記されており、現在も江戸消防記念会が酉の市に参拝祈願をしています。
また火難除けとは厄除けや八方除けの意味合いもあり、厄祓いで訪れる人も多くいます。
天然記念物の御神木も。境内のみどころ
それでは、境内を歩きましょう。山手通り沿いより境内へ入り立派な鳥居をくぐると、狛犬が出迎えてくれます。正面に拝殿を据え、左側の手水舎でお清めをしてから参拝しましょう。
現在ではコロナ禍のため、祓詞(はらえことば)といわれる詞を小さな声で、もしくは心の中で唱えながら手水の禊とする、という注意書きが添えられています。小さく唱えながら心を清め、正面へ進みます。参拝を終えたら、いざ境内のみどころへ。
拝殿の左手には目黒稲荷神社があり、倉稲魂命(うかのみたまのみこと=商売繁盛など)、素戔嗚尊(すさのおみこと=疫病避けなど)、火産巣火神(ほむすびのかみ=火防開運など)、水速女命(みつはのめのみおと=安産など)の4柱が祭られています。毎年5月5日の子どもの日には、例祭日の神事が行われます。
大鳥神社の書物には「初酉の日神楽を奏す」とあり、江戸時代には神楽を奉納するほど酉の市がにぎわっていたことが記されています。現在でも一の酉当日には神楽塚の前で祭典が行われ、熊手の舞が奉納されます。
こちらのご神木は、年代不詳の昔から武蔵野の名木と知られているものだそうです。昭和5年(1930)に熱心な町民運動の末に境内に植えられました。その後第二次世界大戦の空襲に見舞われるものの、復活した奇跡の大銀杏です。拝殿よりも背の高いその姿が、とても清々しい印象です。
日本では古来より「櫛(くし)」は幸運のシンボルと考えられてきました。古事記の伝説ではくしが身代わりとなり、人生の歩む道を照らすものといわれ祭られています。
大鳥神社には、20年ほど前までは東京都指定天然記念物とされるオオアカガシが植えられていました。このオオアカガシは一般的なものと比べて非常に大きく、葉色や花、果実の特徴も異なっていたことからアカガシの変種とみなされました。残念ながら2002年に枯れてしまい、いまでは記念碑が建てられています。
その前には、切支丹灯篭(きりしたんとうろう)があります。かつて肥前島原藩主松平主殿頭(まつだいらとのものかみ)の下屋敷にあったものと伝えられ、後にこちらに移されました。竿石の下部に刻まれた像には足がなく、イエスキリスト像を仏像形式にした珍しいものが祭られていることから、大鳥神社は仏教以外の他宗教からも支持されていたことがわかります。
大鳥神社はそれほど広大な敷地面積ではないものの、立派なご神木に囲まれているため都会の喧騒から切り離された不思議な感覚を味わえる場所でもあります。
区内の緑を保存するための目黒区の保存樹林地区としても指定されており、マイナスイオンをたっぷりに浴びながら参拝することができるでしょう。
毎年11月に開催される酉の市が有名
11月に行われる酉の市は、江戸時代から続く大鳥神社の主たる行事。浅草の酉の市と並ぶほどの古い歴史を持ちます。「大鳥」から「おおとり」、そして「大取」に繋がることから、商売繁盛の利益を授けることができるとされています。酉の市では商売繁盛祈願を受けた熊手を授かることができ、毎年商売人が多く訪れます。
酉の市当日には、神事が行われ露店も多く出店し、とても賑わいます。大鳥神社の開運熊手お守りの授与時間は8時から23時までとなっています。
「目の病」を治癒。お守りや御朱印
日本武尊が目の病の治癒をしたといういわれから、大鳥神社の特徴的なお守りとして「眼病平癒」があります。健康祈願のお守りは多くありますが、眼病に特化しているものは珍しいですね。
御朱印については通常のもののほかに、酉の市や例大祭など期間限定のものもあります。大鳥神社の公式SNSで詳細情報が随時発信されているので、限定御朱印を狙っている方は、ぜひチェックしておきましょう。
こんなものも見つけました。社務所横窓口に設置されている「生命の言葉」。なにげなく授かったひと言にその時の自分の心を見透かされ、いい方向に導いてもらえるような気がするから不思議です。ぜひこちらもチェックを。
お札授かり所にはお守り以外におみくじや絵馬も。帰り際にはぜひ立ち寄って、運試しをしたいものですね。
都心の主要道路の交差点に鎮座する大鳥神社ですが、緑に囲まれた境内は心を落ち着けて自分と向き合うことのできる環境です。良縁、厄除け、商売繁盛、目の病の治癒などのご利益も受けられるので、ぜひ訪れて、心身を清めてみてください。
Text&Photo:松崎愛香
※写真の一部は大鳥神社
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