【山梨・北杜市】蔵元直営「レストラン臺眠(だいみん)」で味わう発酵の技
中央自動車道小淵沢IC又は須玉ICから国道20号を進み約20分、旧甲州街道に入ると、かつての宿場町「台ヶ原宿」があります。その台ヶ原に古くから店を構える老舗酒蔵「七賢(山梨銘醸)」に隣接する直営の「レストラン臺眠」は、蔵元ならではの食事が楽しめると人気を集めています。
Summary
江戸時代の寛延3年(1750)創業という老舗の造り酒屋「七賢」が経営する「レストラン臺眠(だいみん)」は、古民家風一軒家の2階にあります。レストラン名の「臺眠」は、「七賢」四代目の俳号が由来だといいます。古民家のように見える建物ですが、実はオープンに合わせて新たに建てられたもので、新しい建材と、「七賢」の蔵元・北原家解体時に出た古材を再利用し、趣ある空間になっています。
店内も古民家を思わせるインテリアで揃えられています。酒の仕込みで使用した酒樽の蓋を再利用して作られたテーブルは酒蔵が経営するレストランならでは。細部にまでこだわった和の空間は、落ち着いてゆっくりと食事が楽しめます。
糀の力で身がふっくらとした銀だらや、軟らかく肉の甘みが口の中にいっぱいに広がるサーロインなど、食前酒を含め、全11品が楽しめる「臺眠御膳」は、少しずつたくさんの味が楽しめるので、女性からの注文が多いそう。ほかにも、300年以上前から北原家の食卓に並んでいた「鮭の糀づけ定食」1650円、「臺眠ビーフ定食」1980円など、メニューが豊富で選ぶのに迷ってしまいます。どのメニューにも、酒造りで培ってきた“発酵の技”をきかせた発酵調味料を使用することで、食材の魅力を余すところなく引き出し、体にもやさしい料理になっています。
メニューには「七賢」の美酒も並びます。日本酒は8種類、60mlから用意されているので、少しづつ注文して数種類を飲み比べる人も多いそう。「レストラン臺眠」では、「純米大吟醸 絹の味」180ml560円が特に人気だそう。大吟醸特有のフルーティーな香りはやや控えめに、すっきりとした口当たりで日本酒初心者でも飲みやすい一杯です。「七賢スパークリング日本酒」360ml1430円〜や、臺眠オリジナルの日本酒カクテル360ml440円も楽しめますよ。
「レストラン臺眠」に隣接する蔵の1階にある、売店「酒処大中屋」では、日本酒のほか、化粧品や発酵食品などを販売しています。「糀の力や恵みを生かしたい」という思いで作られた、酒蔵発のスキンケア「COJIE(コウジィ)」。米糀由来の天然成分である「糀糖」には、ビタミンや保湿成分が含まれていることに着目し化粧品作りに着手したそう。スキンローションやエッセンシャルマスク、ハンドクリームなど、6種類を展開しているので、お土産にもぴったりですね。
店内にはずらりと「七賢」の日本酒やスパークリング日本酒が並んでいるので、好みや希望をスタッフに伝えて試飲してみましょう。試飲グラスを購入し、それぞれの利き酒料を支払えば、15分間試飲ができます。試飲メニュー表にも詳しい説明書きがあるので参考にしてみてください。この日は、袋吊りから自然に滴る雫だけを集めた七賢の雫酒「大中屋 斗瓶囲い」をいただきました。まろやかで甘みを感じる贅沢な飲み口です。飲み比べてお気に入りのお酒を見つけてみてくださいね。
「七賢」の銘酒は、日本酒好きの人へのお土産にも喜ばれるアイテムです。柔らかですっきりとした口当たりの「純米大吟醸 絹の味」は食前酒としても人気。なんと、オーストラリアで開催された「日本酒フェスティバル」の「日本酒国際品評会」で金賞を受賞したという美酒。「アラン・デュカス スパークリング サケ」はフレンチの巨匠 アラン・デュカス氏とコラボ開発。「純米大吟醸 大中屋」は東京国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞するなど、「七賢」には銘酒が揃っています。
「七賢(山梨銘醸)」では「本当に美味しいものをちょっとずつ」をコンセプトにした、ひとさじ糀シリーズを販売しています。どれも発酵の力でさらに美味しく、食材の魅力が引き出されたものばかり。「レストラン臺眠」のメニューでもある「鮭の糀づけ」は、レストランで食べたお客さんからの「商品化してほしい」との声を受けて販売開始したのだそう。
「レストラン臺眠」を手がける「七賢」は、江戸時代の寛延3年(1750)創業の老舗造り酒屋。白州の水に惚れ込んだ初代・中屋伊兵衛が北原家より分家した白州町で唯一の酒蔵です。「七賢」が大切にしているのは、地域とのつながり。地元農家とともに高品質な酒造りに取り組み、地の米、地の水、地の人の手で造る本当の地酒です。
「七賢」の創業家である北原家の母家は、江戸時代から武家や代官などの宿所として使用されていました。明治13年(1880)には奥座敷が明治天皇の「行在所」として指定され、今も山梨県指定有形文化財として大切に保存されています。見学も可能で高遠藩内藤駿河守から拝領したという「竹林の七賢人」の欄間は、歴史を感じさせます。この欄間が酒銘「七賢」の由来になったそうです。
「レストラン臺眠」の斜め向かいには、歴史のある菓子店もあります。今でも、ゆったりとした時間が流れ懐かしさの残る、かつての宿場町「台ヶ原宿」。昔ながらの街並みと落ち着いた和の空間で、蔵元直営ならではの“糀の力”や“発酵の技”が楽しめる「レストラン臺眠」にぜひ訪れてみてくださいね!
■レストラン臺眠(れすとらんだいみん)
住所:山梨県北杜市白州町台ヶ原2287
TEL:0551-35-5111
営業時間: 11時30分〜15時30分 (15時LO )、17時〜20時30分
※ディナーは完全予約制(前日17時までに要予約)
定休日:火曜(祝日の場合は翌日)
■山梨銘醸(やまなしめいじょう)
住所:山梨県北杜市白州町台ヶ原2283
TEL:0551-35-2236
営業時間:10~17時
※行在所見学は10時30分、13時30分、14時30分。所要時間約25~30分、最大人数15名。要予約。※酒造見学は休止中
text:大久保絵里奈
Photo:VISIONPRO Reflection
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