「鹿の舟・囀」で心穏やかなカフェ時間♪奈良を代表するカフェと雑貨の店「くるみの木」プロデュースの複合空間へ
奈良を代表するカフェ・雑貨店といっても過言ではない「くるみの木」は、代表・石村由起子さんの卓越したセンスでセレクトされた雑貨や、美味しいごはん、デザートを目当てに全国からファンが訪れる人気店です。その石村さんがプロデュースするならまちの複合施設が「鹿の舟」。今回は複合する3つの施設のうちのひとつ「囀(さえずり)」を中心にご紹介します。
ならまちの南入り口にあるおしゃれな観光案内所「鹿の舟」
今回訪れたのは、ならまちを紹介する上で欠かせない、おしゃれな観光案内所「鹿の舟」。観光案内所と一緒においしいランチのお店、そして居心地の良いカフェを併設した「くるみの木」プロデュースの複合施設です。
「鹿の舟」にある観光案内所の建物は、元は大正時代に建てられた邸宅。歴史的な町並みの残る奈良町を保全し、その特徴を活かしたまちづくりを進めようとする奈良市によって管理されてきました。その建物を含む一角が、本来の「奈良町全体の観光振興を図る拠点にする」という目的はそのままに、おしゃれな観光複合施設『鹿の舟』として2015年に生まれ変わりました。
敷地内は『繭(まゆ)』『竈(かまど)』『囀(さえずり)』の3つの施設で構成されています。門から入った一番手前にあるのが『竈』。
天井からも壁一面の窓からも燦々と光が差し込む『竈』の店内。こちらでは、竈(かまど)に薪をくべて炊いた、ツヤツヤのごはんを主役にした栄養たっぷりのランチがいただけます。グローサリースペースもあり、食にまつわるものが集められていて、買い物だけの入店も可能です。
敷地の中心、正面にあるのが『繭』。手前に観光案内所、奥に読書室、展示室などがあります。
手前の観光案内所には奈良で行われているイベントやみどころを紹介するパンフレットや書籍などが並ぶほか地元メイドの工芸品などの販売もされています。
『繭』を背にして、自然のままの姿を残す庭を歩き、さらに奥へ。
途中には小さな田んぼまで。稲穂が揺れ、収穫を待ちます。昔ながらに鎌で刈り、稲わらで束ねた後は天日干しを行うそう。
庭の奥に隠れた、ナチュラルな雰囲気に溢れるカフェ「囀」
庭の先に見えてきたかわいらしい建物がカフェ『囀(さえずり)』。数々の建築に関する書籍を執筆する建築家の中村好文氏による設計です。
特徴的なロゴは、美術家・望月通陽氏が手掛けます。
光が抜ける、広々とした爽やかな店内。外の緑と繋がるように店内にも観葉植物が飾られ、ふぅーっと深呼吸したくなります。
天井まで続く棚には、「くるみの木」でも取り扱いのあるセンスのよい作家モノのうつわやカゴなどが丁寧に並べられ、カフェスペースと販売スペースがゆるく分かれているので、お茶を待つ間に気兼ねなく見て回れます。
手仕事のぬくもりを感じる木のまな板やスプーンは、1個あるだけで食事のシーンを豊かなものにしてくれそう。
おうちカフェを素敵に彩ってくれる食品も販売。センスのよいセレクトは、見ているだけでも勉強になります。
フルーツやハーブ、旬のフレッシュさを大切にしたカフェメニュー
ショーケースには、その日いただける自家製ケーキが並び、店内のあちこちに、庭で採れた果物を漬けた果実酒もディスプレイされています。
気になったのが、フレッシュのハーブが入ったポット。サービス提供用のハーブ水です。
庭先のハーブを摘んでいる様子を見せてもらいました。摘みたてのフレッシュハーブ水は、喉の奥に爽やかな香りが通り抜けて、口の中がとてもすっきりします。
カフェ『囀』の定番デザートの中からバナナと木の実のブリュレ。ドリンクは奈良・月ヶ瀬の有機紅茶 やまとみどりをチョイス。
バナナに自家製のカスタードクリームを乗せて、炙ってキャラメリゼした上品な一皿。香ばしくパリッとした表面から想像できないのですが、フレッシュなバナナととろりとしたカスタード、木の実とキャラメリゼのパリパリが面白い食感を生み出します。
定番以外に季節限定のデザートもあります。写真は「洋梨とキャラメルの生クリームケーキ」。寒い季節にはまるごと1個のりんごを使った「焼きりんご」が登場。一定の期間にしか味わえないデザートがあるのもリピートしたくなるポイントです。
「奈良を訪れる方も、奈良に暮らす方も、一緒に大きな舟に乗って未来に向かって進んでいく」そんなイメージで作られた複合施設『鹿の舟』。ならまち散歩の拠点にしてほしい場所です。
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Photo: photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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