おでかけ
2022.12.16
【京都】東福寺の見どころやアクセスをチェック! 紅葉、庭園、伽藍…そのすべてが圧倒的!
京都市東山区の東福寺といえば、秋の紅葉や初夏の青紅葉を求めて多くの人が訪れる名所として知られていますが、壮大なスケールの建築物や個性豊かな庭園など、広い境内のいたるところに見どころがあるのをご存じですか。今回は、東福寺の歴史や必見スポット、アクセスなどをわかりやすくご紹介。東福寺を訪れる前にぜひチェックしてくださいね!
名前の由来は奈良の有名寺院!?
「東福寺(とうふくじ)」は、臨済宗東福寺派の大本山で、京都市東山区の最南部に約16万5000㎡もの広大な寺域を有する寺院。鎌倉時代の初期、当時摂政を務めていた九條道家の発願によって建立されました。
寺号の「東福寺」は、奈良で最大の寺院として知られていた東大寺の「東」と、当時の奈良で最も隆盛を極めていた興福寺の「福」の字をなぞらえて取ったもの。19年もの歳月をかけて造り上げられた伽藍は東大寺や興福寺に負けず劣らず京都で最大級の規模を誇り、「東福寺の伽藍面(がらんづら)」とよばれていました。
道家は、宋に渡って修行をしていた臨済宗の僧・円爾(聖一国師)を東福寺の開山に招き、天台・真言・禅の三宗兼学の道場となりました。
その後相次ぐ火災で伽藍の大半が焼失してしまいましたが、室町時代に復興が叶い、京都五山の第四位の禅寺として栄えました。
応仁の乱による塔頭の荒廃や明治時代の廃仏毀釈、本坊の主要施設(仏殿・法堂・方丈)の焼失という災難を乗り越え、三門や禅堂などは鎌倉時代から室町時代の姿を今に残しています。
禅寺最古&最大級の三門を見学しよう!
東福寺は広大な寺域に、三門や本堂、方丈、庫裏などで構成された主要な伽藍を中心に25の塔頭寺院があります。また、主要な伽藍の北には「洗玉澗(せんぎょくかん)」とよばれる渓谷があり、臥雲橋、通天橋、偃月橋という3本の橋が架かっています。
気の向くままに参拝するのも良いのですが、あらかじめ訪れる場所をチェックしておくとスムーズな参拝ができるのでおすすめです。
参拝客が通る日下門を抜けた先にあるのが本堂(仏殿兼法堂)です。昭和9年(1934)に建てられた重層入母屋造の大建築で、天井には大正から昭和にかけて活躍した日本画家・堂本印象が手がけた蒼龍図が描かれています。
毎年春に開かれる涅槃会には、室町時代の画僧で東福寺と縁が深い吉山明兆の大涅槃図が公開されます。
本堂から目と鼻の先で一際存在感を放っているのが、国宝指定の三門。大仏様、禅宗様、和様の3つの異なる建築様式を用い、禅宗寺院としては日本最古、最大の規模を誇ります。高さ約22mの楼上には宝冠釈迦如来像と十六羅漢像を安置。明兆とその弟子による極彩画が描かれ、荘厳な空間が広がります(特別公開時のみ拝観可能)。
4つの違った表情が美しい「八相の庭」を鑑賞
本堂から北に向かった場所にたたずむ方丈は、禅宗寺院における僧侶の住居や応接間の役割を果たしている建物です。2014年に「国指定名勝 東福寺本坊庭園(方丈)」となりました。
東福寺の方丈には、建物の東西南北に四つの庭が配され「八相の庭」と称されています。八相の庭は、作庭家・重森美玲によって昭和14年(1939)に作庭されたもので、東西南北にそれぞれ趣が異なる設計でありながら、全体のストーリーがつながる構成となっているのが特徴です。
それでは四つの庭をそれぞれ見ていきましょう。
星座の北斗七星を表した東庭は、円い石柱、白川砂、苔に背後の二重生垣のみで見事に表現。天空に浮かぶ星をイメージした石柱はそれぞれ高さを変えることで躍動感も演出しています。
西庭は、サツキの刈り込みと白砂で立体的な市松模様を形作っています。
南庭は、巨大な石と白砂で神仙島と海を造り上げた枯山水庭園。砂の渦は荒れた波を見立てています。
北庭は、かつて勅使門から方丈まで敷かれていた切石を再利用して苔と合わせた市松模様がモダンな印象を与えます。
方丈からさらに北に進み、「通天橋(つうてんきょう)」とよばれる橋を渡った先にあるのが、開山の円爾(聖一国師)の尊像を安置する重要文化財の開山堂(常楽庵)です(拝観不可)。楼閣がそびえる伝衣閣にある三国伝来の布袋像は、京みやげとして珍重された伏見人形のルーツといわれています。また、開山堂と普門院前に広がる庭園は江戸時代中期に作庭されたもので、枯山水庭園と池泉庭園の異なる趣を一度に楽しむことができます。
京都屈指の紅葉絶景スポット・通天橋とは?
方丈と開山堂の間に架かる通天橋は、京都を代表する紅葉の名所として毎年多くの人が訪れています。
「洗玉澗(せんぎょくかん)」とよばれる渓谷を渡る労苦から修行僧を救うために架けられた橋は、全長27m、幅2.7mあり、周辺には2000本以上ものカエデが茂り、その赤く染まる様はまさに京都の秋を象徴する美しさです。
京都に限らず日本の紅葉といえばイロハモミジ(タカオカエデ)が主流ですが、通天橋の辺りに広がるのは「トウカエデ」とよばれる品種で、開山の円爾が宋から持ち帰ったと伝わっています。
通天橋から眺める紅葉も見事ですが、通天橋の西に架かる臥雲橋(がうんきょう)から眺める紅葉もまた格別。まるで雲海のように広がる紅葉に橋が架かる景色は、一枚の絵画を思わせる美しさです。
紅葉シーズンの11~12月の第1週までは混雑必至。開門時間に合わせて朝から行列ができるのも、秋の東福寺のおなじみの光景です。
東福寺へのアクセスは?
鉄道を利用する場合は、JR・京阪の東福寺駅から徒歩10分。京阪鳥羽街道駅からは徒歩8分。市バスの場合は、京都駅からだと88系統・208系統、四条河原町からは207系統に乗って、「東福寺」バス停で下車。徒歩約4分で到着です。
ただし、秋の紅葉シーズンはバスの車内が混み合うことや道が混雑することも予想されるので、鉄道を上手に使ってスムーズに移動するのがおすすめです。
■東福寺
住所:京都府京都市東山区本町15-778
TEL:075-561-0087
拝観時間:9時~最終受付16時(12月上旬~3月末は~最終受付15時30分、秋の拝観中は8時30分~)
拝観料:本坊庭園500円、通天橋600円、本坊・通天橋共通1000円(秋の拝観は本坊庭園500円、通天橋1000円)
Photo:櫛ビキチエ
Text:津曲克彦
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