【栃木】蔵の街・栃木に文化の拠点が続々オープン! 栃木市立文学館と栃木市立美術館ってどんなところ?

【栃木】蔵の街・栃木に文化の拠点が続々オープン! 栃木市立文学館と栃木市立美術館ってどんなところ?

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大正浪漫が香る木造2階建ての洋風建築と、栃木市の象徴でもある〝蔵”をモチーフにした新築の建物を使って、2022年に文学館と美術館がオープンしました。場所は栃木市役所本庁舎跡地。水路沿いの蔵の街散策の新たな立ち寄りスポットになっています。それぞれどんなところ? ご案内します。

summary

令和4年4月開館 栃木市立文学館で栃木の文学と歴史に触れる

北側から見た文学館。美しい色も今回の修復工事で俊工時の姿に近く復原されました
北側から見た文学館。美しい色も今回の改修工事で竣工時の姿に近く復原されました
県庁堀に面して立つ栃木市立文学館。レトロなこの建物は、平成26年(2014)まで町役場・市役所の庁舎として使われていました。竣工は大正10年(1921)。平成元年(1989)に国の有形文化財に登録され、平成29年(2017)に市の有形文化財に指定された歴史的建造物です。平成31年(2019)から2年をかけた令和の大改修は、記録に残る限り初めての大規模改修です。建材はなるべく活かして約100年前の建築当時の姿に復原しつつ、耐震性やバリアフリーにも配慮し、公共建築として次の100年を見据えています。

1階のとちぎサロン。栃木の歴史的書籍などを読むこともできます
1階のとちぎサロン。栃木の歴史や文学、美術に関する本や図録などを閲覧することができます
無料で入場できる1階には栃木市にちなんだ書籍が置かれ、街歩きのひと休みスポットとしても利用できます。コーナー展示もあり、旧栃木町役場庁舎としての概説や郷土の先人を紹介しています。取材時には、栃木市都賀町出身で日立製作所を創業した小平浪平の業績が紹介されていました。

2階の旧貴賓室は多目的室として活用されています
2階の旧貴賓室は多目的室として活用されています
2階の多目的室(旧貴賓室)では、現在、令和大改修竣工記念企画展として「旧栃木町役場庁舎100年のあゆみ」を開催中(令和5年3月19日(日)まで)。町役場庁舎としての歴史や令和大改修について、図面、写真や文書などの貴重な資料により紹介されています。立派な格天井や壁面の浮彫などにも注目を。

メイン展示室は栃木ゆかりの3人の作家についての常設展
メイン展示室は栃木ゆかりの3人の作家についての常設展
かつて議場として使われていた2階のメイン展示室は、栃木市で生まれ育った3人の作家、山本有三、吉屋信子、柴田トヨの常設展示室です。机などの愛用品や原稿、初版本から、創作の場で闘う作家の生前の息づかいが伝わってくるようです。当時の街並みや現在も残るゆかりのスポットも紹介しているので、見学後に街を散策してみるのもよさそうです。

■栃木市立文学館(とちぎしりつぶんがくかん)
住所:栃木県栃木市入舟町7-31
TEL:0282-25-5400
営業時間:9時30分~17時(最終入館16時30分)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(祝日の翌日が土・日曜、祝日の場合は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)、展示替え期間
料金:常設展220円(中学生以下無料)、企画展は展示により異なる
アクセス:(公共交通)栃木駅JR両毛線・東武日光線栃木駅から徒歩約20分/(車)東北自動車道栃木ICから約10分
駐車場:普通車42台(文学館・美術館共用)


プロジェクトに参加して楽しめる栃木市立美術館

もう一つの文化の拠点としてオープンした最新の美術館
もう一つの文化の拠点としてオープンした美術館
栃木市立文学館と向かい合うように立つモダンな建物が、栃木市立美術館です。「とちぎの歴史・文化・芸術を、みんなで楽しみ、広め、創る拠点」をコンセプトに、令和4年(2022)11月3日に開館しました。浮世絵師・喜多川歌麿(きたがわうたまろ)、明治以降に活躍した清水登之(しみずとし)、田中一村(たなかいっそん)、刑部人(おさかべじん)、鈴木賢二(すずきけんじ)らの絵画作品など、収蔵する栃木市ゆかりの芸術家たちの作品を順次公開する予定です。現在開催中のキックオフ・プロジェクト成果展は「1トンになる タムラサトル」と「とちぎを藍で染める」のふたつ(いずれも令和5年3月5日(日)まで)。どちらもコンセプトにぴったりの市民参加型プロジェクトです。

展示室Aで開催中の「1トンになるタムラサトル」
展示室Aで開催中の「1トンになる タムラサトル」
「1トンになる タムラサトル」は、栃木市ゆかりの現代美術家タムラサトルさんがプロデュースと制作を手がけた作品で、1.2m四方の秤の上に各地域の市民が乗り、重さを工夫したり調整したりしながら、ちょうど1トンになる過程を動画で記録したものです。活き活きした人々の表情が印象的!

展示室Bで開催中の「とちぎを藍で染める
展示室Bで開催中の「とちぎを藍で染める」

「とちぎを藍で染める」は、かつて栃木市の特産物だった藍がテーマ。種を植えるところから始まり、藍の葉のたたき染めから染料を使った藍染めなどのワークショップの成果を、パネルや作品を通じて紹介しています。

展示室Cでは喜多川歌麿の作品を展示
展示室Cでは喜多川歌麿の作品を展示
栃木の豪商・善野家から依頼されて喜多川歌麿が描いたと伝わる「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」の高精細複製画を3年ぶりに3幅同時に展示。まるで歌舞伎の幕が開いたような鮮やかさです。近寄ってみれば、世に広く流通する版画作品とは異なり、大画面に当時の風物が詳細に描き込まれているのがわかり、惹きつけられます。

■栃木市立美術館(とちぎしりつびじゅつかん)
住所:栃木県栃木市入舟町7-26
TEL:0282-25-5300
営業時間:9時30分~17時(最終入館16時30分)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(祝日の翌日が土・日曜、祝日の場合は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)、展示替え期間
料金:展覧会により異なる(令和5年3月5日(日)までは無料)
アクセス:(公共交通)栃木駅JR両毛線・東武日光線栃木駅から徒歩約20分/(車)東北自動車道栃木ICから約10分
駐車場:普通車42台(美術館・文学館共用)

栃木市の街中を流れる巴波川(うずまがわ)をゆく蔵の街遊覧船
栃木市の街中を流れる巴波川(うずまがわ)を行きかう蔵の街遊覧船
2022年に次々と花開いた栃木の文化発信拠点。栃木の街歩きに新しい人の流れが生まれつつあります。最新の展覧会情報は公式ウェブサイトで確認の上お出かけください。

text&photo:松尾裕美


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