【ひたちなか・東海・那珂】干してあるけど、ちょこっと深掘ってみた。日本一のほしいもを探しに行こう

【ひたちなか・東海・那珂】干してあるけど、ちょこっと深掘ってみた。日本一のほしいもを探しに行こう

茨城県 オーガニックスイーツ ヘルシースイーツ ご当地 日本一
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このところさつまいもブームは高止まり。なかでもヘルシーで、腹もちよく、ちょこっとバッグにしのばせておけるほしいもは大人気です。ほんの少し前までは〝地味な保存食”的位置づけだったけれど、インフルエンサーやモデルが大好物と公言しはじめてから、意識高い系のオシャレなスイーツに鮮やかにキャラ変。そこで今回は日本一の生産高を誇る茨城県で、ほしいもを少し深掘りしてきました。

summary

茨城県がほしいも生産日本一になった3つの要因は?

風、土、太陽。茨城の風土はほしいも作りに最適
風、土、太陽。茨城の風土はほしいも作りに最適

それはずばり風土。冬の晴天率の高さ、海のミネラルをたっぷり含んだ強い潮風、そして肥沃で水はけのよいホクホクした〝黒ぼく土”が広がっていることです。この条件を満たすのは、ひたちなか市、那珂市、東海村の3エリア。合わせて日本一の生産高を誇っています。

主な原料のいもは3種。それぞれの特徴を知っておこう

今では安納芋や紫芋など、さまざまなさつまいもが使われるようになりましたが、古くからの定番は「たまゆたか」と「いずみ」。そこに新しい品種の「べにはるか」の3種類です。
                         たまゆたか
たまゆたか
たまゆたか
ほして凝縮するとこんな色合い
ほして凝縮するとこんな色合い

たまゆたかは、玉のようにまるっこい形が特徴。素朴で癖がなく食べ飽きしないと長年愛され続けているオーソドックスな味です。
                        
                           いずみ
いずみ
いずみ
色は地味めだけれど一口食べればニッコリビックリ♡
色は地味めだけれど一口食べればニッコリビックリ♡

栽培に時間がかかるため、原料の生産量は多くはありませんが、ほしいもにすると粘り気が強くさまざまな風味が口中に広がります。このコクがコアなファンに支持され続けています。

                         べにはるか
べにはるか
べにはるか
ほしても鮮やか。この〝映え
ほしても鮮やか。この〝映え"が、最近のほしいも人気を後押ししているかも

あまり地域を問わず育てやすく、ほしいもだけでなく焼きいもにしてもとろけるような食感でおいしいと生産量が伸びています。いもの香りや見た目の美しさから、現在は主流となっています。
左から、べにはるか、たまゆたか、いずみ
左から、べにはるか、たまゆたか、いずみ

 

平ぼしと丸ぼし、どう違う?

コロンとした丸ぼし
コロンとした丸ぼし
いもまんまの形。食感も柔らかく贅沢な味わいです。でも干すのに時間がかかるため、生産量は少なめ。
ポピュラーな平ぼし
ポピュラーな平ぼし
平ぼしは手でちぎりやすく食べやすく、オーブントースターでさっと炙るなどアレンジもしやすいという長所があります。

どうやって作るの? 名人にインタビュー

ほしいも品評会の希少品種の部「いずみ」で何度も金賞に輝いた加藤友也(ともなり)さん
ほしいも品評会の希少品種の部「いずみ」で何度も金賞に輝いた加藤友也(ともなり)さん
ひたちなか市・馬渡(まわたり)の加藤友也さんは、ほしいも農家の2代目。原料の栽培からほしいも作りまで全工程を手掛け、この地で30年以上ほしいもを作り続けています。加藤さんがこだわるのは、ほしたときに味に深みとコクが出るいずみ。栽培には手がかかりますが、おいしいほしいもを作るには、上質なさつまいもを育てることが必須と、土づくりに余念がありません。

蒸したあと皮をむく。作業場は甘い香りでいっぱい
蒸したあと皮をむく。作業場は甘い香りでいっぱい
皮をむきおえたらスライス
皮をむきおえたらスライス
ほし板に並べて……
ほし板に並べて……
乾燥させます。現在は機械ぼしが主流ですが、加藤さんは天日ぼしを続けています
乾燥させます。現在は機械ぼしが主流ですが、加藤さんは天日ぼしを続けています

ではどこで買う? 農協の直売所はほしいもビギナーにおすすめ

JA常陸 長砂直売所には新鮮なほしいもが揃っています。12月も中旬を過ぎると大混雑
JA常陸 長砂直売所には新鮮なほしいもが揃っています。12月も中旬を過ぎると大混雑
「どんな生産者さんでも年ごとに味は少しずつ違う。ほしいもは自然の農産物に似た存在なんです」と、JA常陸 長砂直売所の野口章一さん
「どんな生産者さんでも年ごとに味は少しずつ違う。ほしいもは自然の農産物に似た存在なんです」と、JA常陸 長砂直売所の野口章一さん
冬の時期に生産地に出向くと、沿道に個人の直売所が並び、専門店もあるし、スーパーや道の駅などにも、ほしいもが山積みになっていて、どこで買おうか悩んでしまいます。そこでまずおすすめしたいのがJAの直売所。特に長砂直売所はほしいも最盛期には150軒を超える地元生産者が納入するとのことで、さまざまな生産者の新鮮なほしいもが手に入ります。自家用には、見た目は悪いけれど味はそん色ない切り落としもありますよ。


■JA常陸 長砂直売所(じぇいえいひたち ながすなちょくばいじょ)
住所:茨城県ひたちなか市長砂34-4
TEL:029-285-0202
営業時間:2~10月 9~18時、11~1月 9~17時30分
定休日:第2水曜(12月~2月は無休)、1月1日~3日
アクセス:常磐自動車道那珂ICから県道65・31号線利用で約13.5㎞25分
P:100台

仕上げは、ほしいも神社でほしいものが手に入るよう祈願しよう

ほしいも神社と掘出神社の宮司・宮本正詞(まさのり)さん。マスクもほしいもの金でトータルコーディネート
ほしいも神社と掘出神社の宮司・宮本正詞(まさのり)さん。マスクもほしいもの金でトータルコーディネート
水戸黄門さまもお参りした由緒ある堀立神社境内に、令和元年に創建された「ほしいも神社」は、「ほしいもの」や「願い」が手に入りますようにとの祈りを込めた新宮。本宮が掘立と、いもほりに関係のありそうな名前なのも面白い偶然ですね。鳥居の金はほしいもの色、赤は干すのに欠かせない太陽と、蒸すための火、緑はいものツルを象徴。台座もよく見るといもの形! 鳥居脇におかれたほしいも色のゴールデンバイクにのって記念撮影はいかが?
ほしいもの恩人・小池吉兵衛さん
ほしいもの恩人・小池吉兵衛さん
境内には明治時代にひたちなか市にほしいもの製造を広めた、阿字ヶ浦の小池吉兵衛の胸像も立っています。先人たちのチャレンジ精神と現代の農家の方々のたゆまぬ努力のたまものが、日本一ぅんまい茨城のほしいもを作ってきたのですね。

■ほしいも神社(ほしいもじんじゃ)
住所:茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦町172-2
TEL:029-265-9533
営業時間:参拝自由
定休日:無休
アクセス:(公共交通)ひたちなか海浜鉄道阿字ヶ浦駅から徒歩2分/(車)東常陸那珂有料道路ひたち海浜公園ICから県道247号経由で約3.5㎞5分
P:あり

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本場のほしいもは、どれも少し炙ると、ほとんど「畑のスイーツ」。そしてあれこれ食べ比べた結果、私的ナンバーワンは「いずみのまるぼし」。でも好みはひとそれぞれ。あなたもマイ・ベスト・ほしいもに出合えますように。

text&photo:松尾裕美


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