【滋賀】叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)が手掛ける広大な「寿長生の郷」の楽しみ方
滋賀県発祥の和菓子店「叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)」。百貨店の和菓子コーナーでもおなじみの和菓子ブランドですが、滋賀・大津南部に広大な敷地を誇る施設を手掛けているのです。「寿長生の郷(すないのさと)」と呼ばれる一大里山で楽しめる、四季折々の自然や和のスイーツをご紹介します。
Summary
「寿長生の郷」では何が楽しめる?
今から40年近く前、「菓子づくりの原点は農業から」という思いから大津南部・大石龍門の山一つをまるごと開墾してつくられた「叶匠壽庵 寿長生の郷」。なんと6万3000坪のスケールを誇ります。敷地内には、食事処、甘味処、茶室や菓子ショップ、ベーカリーカフェなどがあり、それらをめぐりながら山頂までお散歩も楽しめます。また、梅まつりやとうもろこしまつりなど、季節を楽しむイベントも催されています。
和菓子の匠が仕掛けるベーカリーの絶品あんパン
まずご紹介したいのが「Bakery&Cafe野坐(のざ)」。「ゆめちから」をはじめ4種の国産小麦を選りすぐり、毎日パンを焼き上げています。
スタイリッシュな空間にバゲットや食パンなど定番のパンのほか、和菓子の素材としても重宝される丹波黒豆や北川村の柚子、旬の素材を使ったパンなどが並びます。2階のカフェでイートインできますが、テイクアウトして屋外で食べればピクニック気分も味わえます。
ダントツで人気を集めているのは、「匠のあんぱん」。中には滋賀県湖北産の浅井大納言を使い、パンとの相性を考えて特別に炊き上げたというつぶ餡(あん)がたっぷり。大地の恵みを凝縮した餡のおいしさを存分に堪能できます。
2階には木のぬくもりあふれるカフェスペースがあり、厚切りトーストやサンドイッチなど朝10時からのモーニング、トーストが主役のランチプレート、デザートが楽しめます。
注文を受けてから、厳選した豆をサイフォンで丁寧に淹れるコーヒーと「匠のあんぱん」は相性抜群です。ドリンクはコーヒーのほか、ダージリン、アールグレイ、ホットミルクなども揃います。
近江牛や滋賀県産の食材を使ったランチを楽しめる「梅窓庵」
地元近江で活躍した思想家・教育者の杉浦梅窓(ばいぞう)にちなんで名付けられた食事処「梅窓庵」は、明るい光がふりそそぐ梅林が眺められます。近江牛と野菜を目の前の陶板で焼いて楽しむ「近江牛と里山野菜の陶板焼き膳」や、特製のタレで炙り焼きにした近江牛をのせた「近江牛ひつまぶし膳」、滋賀の霊峰・伊吹山のふもとに古くから伝わる「伊吹蕎麦」など、地元近江の食材を生かした滋味豊かなランチが味わえます。
甘味のお品書きには、あんみつや、葛餅などが並びます。おすすめは、丹波大納言小豆をじっくりと炊き上げ、香ばしく焼いたお餅と大粒の栗を添えた「ぜんざい」。ふっくらとした小豆は口の中に皮が残ることなく、やさしい甘さでさらりといただけます。
江戸時代後期の茅葺きの古民家でスイーツを
総合案内所となっている茅葺きの古民家は、もともとこの山に立っていたもので、江戸時代後期の建築。このあたりの「大石」という地名にも由来する大石内蔵助に縁があるそうです。
趣深い和の空間で味わえる甘味のなかでも人気は、美しい四季の情景を表現したという「ふわもちどら焼き 花一日(はなひとひ)」。ネーミングのとおり、ふわふわ&もちもちの食感で、生地にサンドする中身やトッピングを選んで好みの一皿にカスタマイズできます。
フランス産の発酵バターを使用したクロワッサン生地を、ワッフルメーカーで焼いた「蜜郷ワッフル」は、外側のサクサクと、内側のモチッとした食感のコントラストが楽しい一品です。
おみやげに買って帰りたい和菓子
藍色ののれんがゆらめく長屋門の先には、茶室とホールを併設する菓子売場があります。求肥をつぶ餡でくるんだ代表銘菓「あも」をはじめ、定番から季節限定の商品までバラエティ豊かに揃います。
「あも」は長年親しまれてきたつぶ餡が定番ですが、2021年に登場したこし餡も人気。そのままでも、少し冷やして食べてもおいしくいただけます。近江羽二重うるち米で作る最中種に百人一首の絵柄をあしらった、別売の「あも歌留多(かるた)」に、好みの厚さにカットした「あも」を挟んでいただくのもおすすめです。
初夏には、里山の梅林で収穫された梅が梅蔵での熟成を経て「標野(しめの)」というお菓子になります。城州白梅に、鮮やかな赤色が特徴の梅の品種・露茜を加えて寒天をまとわせた、宝石のように美しいひと品です。
広大な敷地には陶房や見晴らしのよいテラスも
広大な敷地にはほかに、寿長生の郷で採取した土と信楽の土を混ぜて器を焼く陶房「十〇地(とわぢ)」や、四季の山野草を眺めながら散策できる「野の花観音径」、体験イベントの会場である里山館、梅林を一望できる高台の「山のテラス」も。また、総合案内所(古民家)から片道約30分の距離で、持国天をお祀りする山頂に行くこともできます。
鳥たちのさえずりを聴きながら自然に包まれて郷内を歩き、とっておきのスイーツを味わって五感が満たされる、そんな「叶 匠壽庵 寿長生の郷」はまるで桃源郷のような特別な場所です。
■叶 匠壽庵 寿長生の郷(かのう しょうじゅあん すないのさと)
住所:滋賀県大津市大石龍門4-2-1
TEL:077-546-3131
営業時間:10~17時(施設により異なる)
定休日:水曜
アクセス:JR石山駅から車または無料送迎シャトルバスで約30分
Photo:平田理菜子、施設提供
Text:平田理菜子
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