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由緒ある祈りの地で、天空の寺から絶景を望み、金継ぎや着付けを体験する、日本文化三昧の旅! 大正浪漫の邸宅で四季を感じて【迎賓館えびす屋(山梨県 身延町)】

由緒ある祈りの地で、天空の寺から絶景を望み、金継ぎや着付けを体験する、日本文化三昧の旅! 大正浪漫の邸宅で四季を感じて【迎賓館えびす屋(山梨県 身延町)】

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山梨県南部にある身延(みのぶ)町は、日蓮宗の総本山「身延山久遠寺(くおんじ)」を中心に多くの寺院が点在する、山あいの寺町です。日蓮聖人は身延山の小さな庵に暮らしながら門弟たちを指導し、寺を創建しました。それから約750年の間、「身延山久遠寺」は祈りの地としての歴史を歩み続けています。そんな身延町の魅力を満喫できるのが古民家での滞在。なかでも「迎賓館えびす屋」は、金継ぎや着物、寺のお祭りなど、多彩な体験プログラムを楽しめ、女性客にも大人気。歴史や文化が体感できる古民家に滞在してみませんか。

Summary

大正浪漫香る邸宅で
暮らすように身延を楽しむ

迎賓館えびす屋(宿泊)

身延町は日蓮宗の総本山「身延山久遠寺」を中心に開けた町です。波木井川の近くに立つ寺の総門は、ここから先は聖域であることを示す門。この門をくぐり参道を300mほど進んだ場所に、「迎賓館えびす屋」はあります。築90年以上の古民家を改装した一棟貸しの宿泊施設として、2020年のオープン以来、国内外の旅行者から人気を集めています。

建物は、かつての身延町の名士で、3代にわたってその名が襲名された望月善長(もちづきぜんちょう)氏の居宅として約90年前に建てられたものです。「迎賓館えびす屋」という屋号は、望月家が自宅の隣で経営していた酒蔵「蛭子屋(えびすや)」にちなんだもの。住み手がいなくなってから邸宅は長い期間、空き家になっていましたが、丁寧なリノベーションにより、大正浪漫漂う快適な宿泊施設になりました。玄関に敷かれた花柄のタイル、洋室の木枠の出窓や高級感あふれるテーブルセットなど、建築当時のものも多く残されています。映画の撮影現場を訪れたような感覚になり、思わずあちこちの写真を撮ってしまいました。

南向きの廊下には、ソファとクッションが設えられ、古いガラス窓を通り抜ける柔らかな陽射しのなかでくつろげます。また家のあちこちに雲のモチーフがあしらわれているのも特徴。廊下にはかわいい雲形のライト、窓には雲の飾りを発見しました。

家の裏には身延川の渓谷を見渡すウッドデッキがあり、2023年の春には露天風呂とサウナが完成するとのこと。お風呂に浸かりながら、桜や藤の花、新緑、紅葉と四季の移ろいを感じられる素敵な場所になりそうです。

食事は、地元食材をたっぷり使った「ローカルガストロノミー」を謳う夕食と朝食をオーダーできます。また、キッチンには必要な道具や食器がすべて揃っているので、わいわいと自炊するのも素敵な旅の思い出になりそう。のんびりしたい朝は、敷地内の「農カフェZencho(ぜんちょう)」でブランチを楽しむのもおすすめです。

滞在中、いろいろな体験を楽しめるのも「迎賓館えびす屋」の魅力。今回は「金継ぎ体験」に挑戦しました。教えてくださった古屋容子先生の話では、器を修復する技術は縄文時代には既にあったそうですが、金を飾りにあしらうようになったのは江戸時代以降とのこと。植物のトクサや鯛の歯など自然界のものが各工程の作業に使われるそうで、技術を確立した昔の人の知恵に驚かされます。

体験では、割れた器をあらかじめ漆で接着したものを使います。まずは弁柄漆(べんがらうるし)を紙で濾し、細筆に取って、割れ目に沿ってのせていく作業。「指3本で筆を持ち、指2本は皿に添えて固定。1秒で1mm進みましょう」と古屋先生。大きくはみ出すと仕上がりが汚くなるため、なかなかの緊張感のなか、慎重に筆を動かしていきます。

その後、金粉を筆に取り、漆の上に振りかけ、シルクの真綿で余分な金粉を払い、体験は終了です。初めてにしてはなかなかの出来だったようで、古屋先生からも褒めていただきました。完成品は箱に入れて持ち帰り、1週間後から使えるとのこと。貴重な体験ができたうえに、素敵なおみやげもできて大満足です。

昔の花嫁衣裳で写真撮影が楽しめる「着物体験」にも挑戦しました。送迎車で「迎賓館えびす屋」を運営している宿坊「覚林坊」に移動し、館内に飾られている打掛から、好きなものを選びます。普段着の上に羽織る簡易的な着付けなので準備はあっという間に完了。宿坊の和の空間で写真撮影を楽しみました。あでやかな着物姿の自分に思わず笑顔がこぼれます。

「お祭り体験」も忘れられない体験になりました。「身延山久遠寺」では毎年10月11~13日に「身延山御会式万灯(おえしきまんとう)行列」が行われますが、その時の纏(まとい)の舞いを「覚林坊」の副住職、樋口是皐(ぜこう)さんが再現してくれます。

希望者は夕方、送迎車で「覚林坊」に移動し、うちわの形をした、その名も「団扇太鼓(うちわだいこ)」を渡され、教えられたリズムどおりに太鼓を叩き、「そーれ!」と合いの手を入れて参加します。纏の迫力に圧倒されて、太鼓のリズムは乱れがちでしたが、舞いのカッコよさに感動し、秋の祭りに来たくなるほどでした。「迎賓館えびす屋」での滞在は、身延の歴史や伝統が五感で楽しめるすばらしいひとときでした。

■迎賓館えびす屋
住所:山梨県南巨摩郡身延町身延3955
TEL:0556-62-0014
交通:中部横断自動車道身延山ICから約15分、またはJR身延駅から山交バス「身延山」行きで約9分、「元町」下車徒歩すぐ。新宿発高速バス利用の場合は身延山下車、無料送迎あり(要予約)
チェックイン:15~20時
チェックアウト:11時
宿泊料:1泊2万5000円~(素泊まり、2名利用時)
料金:金継ぎ体験1万2000円、着物体験500円、お祭り体験1000円(各要予約)

<新型コロナウイルス対応>
スタッフ対応 ・毎日の健康チェック、マスクの着用
・業務中のこまめな手洗い実施
除菌対応 ・定期的な館内の除菌清掃
・お客様用消毒液の設置
その他 ・アルコール消毒実施

 

読経が響きわたる朝のお勤めに参加して
熱気に満ちた祈りのパワーを体感
身延山久遠寺(体験)

身延町を語るうえで外せないのが日蓮宗の総本山「身延山久遠寺」です。身延山は文永11年(1274)、日蓮聖人により開かれ、2023年6月で開創750年を迎えます。最初の堂宇が西谷に建立されたのは弘安4年(1281)のこと。日蓮聖人は身延山を「吹く風、揺るぐ木草、流れる水の音までもが、御題目に満ちている」と讃えられています。

境内に立つと、御堂ひとつひとつの大きさに驚かされますが、なかでも約1500人を収容できるという本堂は圧巻。天井画の「墨龍」は、日本画の大家、加山又造が11m四方2万3000枚の金箔の上に墨で龍を描いたもの。総本山の威容を示す厳かな空間です。

「身延山久遠寺」では1日3回、お勤めが行われており、朝のお勤め(4~9月は5時30分、10~3月は6時)は一般参拝者も予約不要で参列ができます。お勤めが始まる30分前に境内に行くと、ちょうど鐘撞きが始まったところでした。

衣姿の僧侶が、身体を勢いよく後ろに倒して撞木を引き、大鐘を撞いています。ぴんと張りつめた朝の空気を揺るがす鐘の音が、身体に染みわたっていくよう。やがて境内奥の御堂、仏殿から太鼓の音が鳴り、お題目の声が聞こえてきました。本堂に向かってくる僧侶たちの長い行列が見え、声がどんどん近づいてきます。早朝の境内で見る僧侶の行列はこの上なく荘厳な光景でした。

朝のお勤めは本堂から行われます。広々とした本堂で約30人の僧侶が一斉に読経する光景は、朝のお勤めでしか見られないとのこと。僧侶たちは毎月、約1カ月かけて法華経一巻から八巻を読み上げるそうですが、一緒に読経する信者も多く、この地で何百年も続く営みであることを実感させられます。参列者は焼香をし、導師の挨拶を聴いて、約40分の本堂でのお勤めが終了となります。

続けて隣の祖師堂に場所を移して約30分のお勤めが行われます。終盤は木鉦(もくしょう)の音が早まり、迫りくるように太鼓が打たれ、その振動が全身に伝わってくるほどの大迫力。線香の香り、絢爛豪華な天蓋などすべてが非日常の空間で、祈りのパワーを体感しました(本堂内、祖師堂内は許可を得て撮影しています)。

■身延山久遠寺
住所:山梨県南巨摩郡身延町身延3567
TEL:0556-62-1011
交通:中部横断自動車道身延山ICから約15分、またはJR身延駅から山梨交通バス「身延山行き」で約12分、「身延山」下車徒歩約16分
営業時間:参詣自由(受付は4~9月5~17時、10~3月5時30分~17時)

地元食材がたっぷり!
歴史ある邸宅でヘルシーランチ

農カフェZencho(食)

身延町でのランチには「農カフェZencho」がおすすめです。山梨県内や身延町の旬の農産物を使った料理が味わえるのはもちろん、フルーツに関しては形の悪さや生産過多により廃棄処分されるものを地元の農家から譲り受け、コンフィチュールに加工して料理やスイーツに使っています。こうしたフードロスへの取り組みに加えて、ヴィーガン対応メニューの用意や、福祉施設で焼いているパンを使う試みも。メニューを見ると、食べる人だけでなく作る人への愛情も感じられます。

地域でとれた野菜たっぷりの料理は、食欲を誘う彩りのよさ。山梨の名物ほうとうを使った「ほうとうパスタ」はコシのあるほうとうにソースがよく絡みます。また「Zenchoベジカレー」には、あけぼの大豆をはじめ、玉ネギ、セロリ、ニンジン、トマト、南アルプスのすももソースと地元食材がたっぷり。ごろごろとした野菜の食感とスパイシーさがたまりません。すももの実が入った「丸ごとすももサイダー」は、ストローで実をほぐすと、鮮やかなピンク色に早変わりする楽しい一品。甘酸っぱさとシュワシュワの泡に満たされます。

「農カフェZencho」という店名は、かつての身延町の名士、望月善長氏にちなんだもの。このカフェは旧望月家邸宅を改装した一軒貸しの宿「迎賓館えびす屋」の庭先にあります。そして、善長氏が営んだ酒蔵の働き手の休憩場所だった建物が、このカフェに生まれ変わりました。店内には望月家にあった古い急須や湯呑みも飾られていて、今も一族の歴史を伝えています。美しい日本庭園を見ながら、地元の野菜や果物を味わい、のんびりお茶をいただけば、この家に生まれ育ったような親しみが湧いてくるようです。

■農カフェZencho
住所:山梨県南巨摩郡身延町身延3955
TEL:0556-64-8081
営業時間:10~17時
交通:中部横断自動車道身延山ICから約15分、またはJR身延駅から山梨交通バス「身延山行き」で約9分、「元町」下車徒歩すぐ
定休日:無休

富士山のパノラマが圧巻!
パワースポットを空中散歩

身延山ロープウェイ(体験)

身延山の中腹にある「身延山久遠寺」と山頂にある「奥之院思親閣(おくのいんししんかく)」を結ぶのが、「身延山ロープウェイ」です。1号車は仏教で「魔除け」を意味する朱色、2号車は「神秘」を意味する藍色でカラーリングされていて、乗り込んだ1号車の天井には、「身延山久遠寺」本堂の天井画「墨龍」を模した絵がありました。見るとなんだか運気が上がりそう。さすがパワースポットにあるロープウェイ。

身延山の森は、青い羽根と赤いくちばしをもつ絶滅危惧種の美しい鳥、ブッポウソウの繁殖地として国指定天然記念物「身延町ブッポウソウ繁殖地」になっています。ロープウェイは身延山の急峻を滑るように進み、高低差763mを約7分で結びます。車内に流れる観光案内に耳を傾けていると、みるみるうちに周辺の山と谷が眼下に広がり、山あいを流れる富士川が見えてきました。

緩やかに蛇行する富士川が陽射しを浴びて金色に輝く様子はまるで巨大な龍のよう。さらに進むと右手の窓に富士山の山頂が現れます。富士山と対峙する感覚を味わいながら、絶景が続くなかを空中散歩します。

身延山頂(標高1153m)に立つのが寛文5年(1665)創建の「奥之院思親閣」です。日蓮聖人は身延山で過ごした9年の間に幾度となく山頂に上り、故郷の房州小湊(現在の千葉県)の方角を眺めては両親や師匠を偲んで過ごされたとの故事にちなんで建てられました。

階段の脇には樹齢700年超の「日蓮聖人お手植え杉」が4本あり、静かな空間にそびえる堂々たる姿が、身延山の祈りの地としての歴史を伝えています。「奥之院思親閣」を囲むように配された4つの展望台をぐるりと巡ぐれば、富士山、駿河湾、南アルプス、八ヶ岳などの山並みを見渡すことができ、天空の寺に来たことを実感できます。

■身延山ロープウェイ
住所:山梨県南巨摩郡身延町身延上の山4226-2
TEL:0556-62-1081
交通:中部横断自動車道身延山ICから約15分、またはJR身延駅から山梨交通バス「身延山行き」で約12分、「身延山」下車徒歩約15分
営業時間: 9時(上り始発)~16時40分(下り最終)※上り最終16時、時期により営業時間の変更あり。公式サイトで要確認
定休日:無休
料金:中学生以上 片道960円・往復1600円、4歳~小学生 片道500円・往復800円


●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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