京都・五条「菓子屋のな」で出合う新しい生和菓子
長い歴史のある京都の和菓子に、今、新しい風が吹いています。柔軟な発想で新しい味を生み出す店がどんどん増えているのです。「菓子屋のな」もその一つ。伝統の技法を受け継ぎながら、さまざまな素材を取り入れた和菓子をご紹介します。
フルーツを取り入れた“新しい和菓子”
地下鉄五条駅から徒歩10分ほど、五条堀川近くにある「菓子屋のな」は、老舗和菓子店で経験を積んできた菓子職人と料理人の夫婦が開いたお店。暖簾をくぐるとカフェのような空間が広がり、和菓子店としては珍しくオープンになった調理場で彩り豊かな和菓子が生み出されています。
通常、生菓子は色や形で季節を表現するものですが、「菓子屋のな」では見た目の美しさはもちろん、食べて季節感や香りを楽しめるようにしたいと、フルーツをはじめとする旬の食材をベースに、ハーブ、洋酒などを使って作っているそう。なかには、文学や音楽などからインスピレーションを得ているものもあり、それぞれの菓銘にも物語性を感じられます。
物語や季節の美しさを生菓子に
看板菓子の「文学和菓子 アントニオとララ」は、森鴎外が翻訳したアンデルセンの小説『即興詩人』に着想を得たあんこ玉。詩人アントニオの翻弄される人生の苦しみを濃厚な焦がしキャラメルあんで、アントニオに出会い運命が変わる盲目の少女ララの情熱的な人生を甘酸っぱいマンゴートロピカルあんで表現しています。
持ち帰り用パッケージにはハーブとエディブルフラワーが添えられています。開けた瞬間の香りを楽しんだら、ハーブティーにしてあんこ玉と一緒に楽しむのもおすすめだそうです。
「旬の生菓子」はそれぞれの季節の美しさを切り取ったもの。サザンカの形をした「落ち葉焚き」は、サザンカの垣根のそばで北風に吹き寄せられた落ち葉で焚き火をする冬の情景から生まれました。薯蕷(山の芋)練り切りの中には、生キャラメルを包んだ甘さ控えめの粒あんが入っています。
和菓子屋さんが手がけるあんバターパンも絶品!
和菓子に馴染みのない人でも手に取りやすいようにと作っているのが「あんバターチャバタ」380円。毎朝焼き上げたチャバタにはさむのは、あん、バター、クルミ、ラムレーズン。パンに合うようしっとりと炊いたみずみずしいあんに、ラムレーズンの香り、クルミの風味が程よいアクセントになっています。
おみやげには日持ちのする蒸し羊羹を
ここまで紹介した生和菓子は日持ちの短いものが多いので、おみやげにするなら賞味期限の長い蒸し羊羹がぴったり。赤ワインで煮たセミドライイチジクを入れた蒸し羊羹「一熟ぶどう」2380円。羊羹生地にも赤ワインが入り、風味が効いた羊羹は大人の味わい。安納芋の焼き芋が入った蒸し羊羹「みつ芋万寿」もあります。
敷居が高いと思いがちな和菓子の世界を身近に感じさせてくれる「菓子屋のな」。
お茶だけではなくコーヒーやお酒にも合うものも多いので、自分らしく”新しい和菓子”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
■菓子屋のな(かしやのな)
住所:京都市下京区醒ヶ井通万寿寺角篠屋町75
電話番号:なし
営業時間:12〜18時(売切れ次第終了)
定休日:日・月曜
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Text:河部紀子(editorial team Flone)
Photo:yoko
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