「牧野植物園」はお花がらんまん!連続テレビ小説の主人公モデルに迫る植物さんぽ|高知
高知県高知市にある五台山にたたずむ「高知県立牧野植物園」は、日本の植物分類学の父・牧野富太郎博士ゆかりの植物園。その博士が2023年4月からのNHKの連続テレビ小説『らんまん』の主人公のモデルとなったことで、牧野植物園が注目を集めました。3000種類以上の植物のなかで牧野博士の功績と生涯に触れられる園内をご紹介します。
Summary
日本の植物分類学の父・牧野富太郎博士ってどんな人?
文久2年(1862)、現在の高知県佐川町に牧野富太郎博士は生まれました。それは高知県の偉人・坂本龍馬が土佐藩を脱藩した1カ月ほど後のこと。幕末の動乱の中、牧野博士の植物に全身全霊を注ぐ人生が始まりました。
幼少のころから植物に興味を持ち独学で知識を深め、東京大学理学部植物学教室への出入りを許されたのをきっかけに、植物分類学の研究に打ち込むようになった牧野博士。
やがて日本人として国内で初めて新種に学名を付け、その後94年の生涯で命名した新種や新品種はなんと約1500種類。集めた標本は約40万枚と、想像もつかないほどの数に及びます。
博士の偉業が丸わかり!牧野植物園ってどんなところ?
牧野植物園があるのは自然豊かな五台山。90歳を超えた牧野博士の「植物園を造るなら五台山がええ」のひとことがきっかけでした。完成したのは牧野博士が逝去した翌年の昭和33年(1958)です。
小高い山の地形を生かし、自然と調和させつつ植栽された植物は3000種類以上。牧野博士ゆかりの可憐な山野草から熱帯植物まで、四季折々の美しさを見せる多彩な植物たちが出迎えてくれます。
北園と南園に分かれる約8ヘクタールの広大な園内を回るには2時間はみておきましょう。園内のカフェやレストラン、ショップも満喫するなら、ゆとりを持ったスケジュールがおすすめです。
広い園内のみどころを徹底ガイド
正門を入って最初に出合うのが「土佐の植物生態園」。牧野博士が生まれ育った高知の豊かな自然が再現されています。
11~1月ごろに見られるキイレツチトリモチは、国内の植物園でみられるのはおそらく牧野植物園だけというレアな植物。整列して顔を出すかわいらしい姿にほっこりします。
北園の「牧野富太郎記念館 展示館」では、牧野博士の生涯や功績について、貴重な展示物や展示館シアターの映像などから知ることができます。
直筆の植物図や新聞紙に挟まれた標本などを見ていると、現代のような便利なものがない時代にこれだけの研究を成し遂げたことにきっと驚きますよ!
北園には「こんこん山広場」の花畑など、のんびりと植物を愛でつつ散策したいスポットが盛りだくさん。
南園の一押しは、ハナショウブやハスの仲間など東洋の園芸品種の植物が彩る回遊式水景庭園「50周年記念庭園」。とりわけ美しさを増すのは大の桜好きだった牧野博士ゆかりの桜、サクラ属の園芸品種‘仙台屋’が水辺を彩る3月下旬ごろ。開花に合わせ例年開催される夜間開園イベントもぜひチェックしてみて!
南園にある温室は季節も天候も気にせず楽しめる人気スポット。植物に覆われた趣ある入口から一歩入るとそこは別世界!ラン科植物やオオオニバスなど熱帯の植物に囲まれ、まるでジャングルに迷い込んだかのようです。
南園には植物園へのもうひとつの入口「中門」があるので、スケジュールに余裕がない時は中門から入園し、温室と50周年記念庭園を回るのもおすすめです。
注目!ニューオープンの「植物研究交流センター」をCHECK
2023年春に新たに完成した「植物研究交流センター」。1・2階は研究に関するスペースで、研究の様子が見学できたり、子ども向けのキッズラボなどがあります。
そして注目は本館から植物研究交流センターの3階に移転オープンした「レストラン C.L.GARDEN」。南園の50周年記念庭園を見渡す抜群の眺望が自慢です。同じ階の「牧野ミュージアムショップ サクラ」と合わせて、ランチ&おみやげ探しにぜひ訪れてみて!
お得で楽々、牧野植物園までのアクセスは?
牧野植物園へのアクセスは、高知市内の観光スポットを回る周遊観光バス「MY遊バス」が便利。入園時に適用される割引もあってお得です。乗車券はJR高知駅などで事前に購入しておきましょう。
高知龍馬空港からはとさでん交通の空港連絡バスで、はりまや橋観光バスターミナルか高知駅バスターミナルまで移動し、そこからMY遊バスを利用します。
車の場合は高知自動車道の高知ICから約20分です。
■高知県立牧野植物園(こうちけんりつまきのしょくぶつえん)
住所:高知県高知市五台山4200-6
TEL:088-882-2601
料金:入園730円(高校生以下無料)
開園時間:9~17時(最終入園16時30分)
休園日:12月27日~1月1日、メンテナンス休園あり
Text:逸見恵子
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。