京都で見つけた不思議なカフェ「普廻-fune-」の“未来粥”とは?
未来粥、古代ネイル、香根草茶、ヴィーガンロースイーツ……興味深いキーワードが散りばめられたカフェ「普廻-fune-(ふね)」は、ナチュラル洗剤として注目されるホタテ貝殻パウダーをいち早く製造販売した「日の出PRODUCTS」のアンテナショップ兼カフェです。
Summary
インテリアのお手本にしたいセンスあふれるショップ&カフェ
京都市中京区に2022年にオープンした「普廻-fune-」。普(あまねく)、廻(めぐる)の2文字を合わせた店名には「自然界に存在するすべてを、分け隔てなく大切にする」ことに「思いを巡らせる」という意味が込められています。
京都の古い一軒家を素敵にリノベーションした建物の1階はカフェと日の出PRODUCTSのアンテナショップ。エシカルでSDGsな商品を取り扱います。2階はワークショップなどを行うフリースペースになっています。
コンクリートの床、漆喰塗りの壁で古民家の柱や梁を美しく蘇らせた店内。自らDIYしたという大きなランプシェイドが印象的です。
取材日のウィンドウに飾られていたのは根引の松とうさぎの置物の縁起の良いディスプレイ。カフェとショップが店の左右でゆるりと分かれているレイアウトなので、商品を見るつもりで入ってカフェに立ち寄ることも、カフェに来たついでに買い物をすることもできて、ふらっと入りやすい雰囲気です。
未来粥とは?力のある乳酸菌でカラダを生き返らせるごはん
まずはお目当ての未来粥を!“光合成する古代菌”から始まるメニュー紹介は少し難しいですが、特別な肥料で育てられた有機米「ひのひかり」の滋養あふれるお粥。オーガニック野菜や手作りの胡麻豆腐、強力な乳酸菌をもつぬか漬けなどと一緒にいただくことで、キラキラした未来のカラダ作りをしてくれそう。
並べてみると1回りずつサイズが違うのがわかります。これは応量器(おうりょうき)といって、禅宗の修行僧が使用する食器。ピッタリ重ねてコンパクトにまとまります。禅宗においても一番大きな器にはお粥を入れるそう。
自然の免疫活性能力にすぐれた天禄農法で育てた玄米を、店内で七分づきに精米します。とろりと炊き上げたお粥は、隠し味に何が使われているのか、とても豊かで深い味がして、お腹はもちろん、精神的にも満たされたような気持ちになります。
添えられた副菜も、ひとつずつが素晴らしく、感動を与えてくれます。ぬか漬けは乳酸菌を極めたおじいさんから仕入れたもの。強力な乳酸菌を含んでいて、ほかの食べ物と組み合わせることで腸内環境の改善に導いてくれるそう。熟成した酸っぱさが癖になります。
「実は納豆が嫌いで、なんとか食べられるようにと考えました」という納豆煎餅。ぬれおかきのようなムニッとした食感で、臭みはほとんどなく、適度な塩分があってお粥にはもちろんお酒にもあいそう。「家に持って帰りたいくらいです!」とお伝えすると、商品化も考えていますとのこと。ちょっと楽しみ。
白と黒の胡麻豆腐。こちらも店内で手作り。葛粉の量を調整して、ふわりとクリーミーに仕上げているそう。残る2皿のオーガニック野菜の温菜と冷菜は日替わりです。
目からウロコのとびきりおいしいヴィーガンスイーツ
次はヴィーガンロースイーツ3種盛をいただきます!「普廻-fune-」のヴィーガンロースイーツは、非加熱で作るのでビタミン・ミネラル・酵素が熱で壊れず(ロー)、卵・乳製品を使わず(ヴィーガン)、小麦を使わない(グルテンフリー)うえに精製した砂糖も使わずに作るスイーツです。
「え、それでおいしいの?」と思う人がいるかもしれません。でも、カフェ好き、スイーツ好きの私が食べても美味。とびっきりおいしいと言っても過言ではありません。
レアチーズケーキのような姿のひと品は「フルーツのテラゾ」。テラゾって何? 初めて聞いたという人も多いと思いますが、これはスイーツの種類ではなくて、大理石や石灰石等の石材を砕いてつくる人造大理石のこと。名前は大理石ですが、スプーンですくえるやわらかさ。発芽させたカシューナッツのペーストをベースに作っているそうです。
レアチーズケーキよりも軟らかくしっとりしていて、雪解けのように甘さがふわっと漂い、すっと消えます。下に敷かれた砕いたナッツやドライフルーツをまぶして食べると食感や酸味のアクセントが加わってさらに美味。
苔のような、抹茶色のスイーツは「森を食べる」。森の中で芳香を放つクロモジの香りを感じながら食べたいスイーツです。オートミールをベースに、砕いたココナッツがたっぷり。すりおろしたニンジンやデーツ、杏なども入っているそう。ピンクペッパーがアクセント。
手作りの「ローチョコレート」は、味をわさび・ベチバーなど数種類の中から選ぶことができます。ベチバーは、香水によく使われる植物。深い香りが安心感をもたらしてくれます。
ドリンクもピンクの甘酒ドリンクや有機豆乳抹茶ラテなど気になるメニューばかりですが、お粥にもスイーツにもあいそうなお茶3種(木漏日茶・黒文字茶・香根草茶)の中から一番珍しい香根草茶をチョイス。
ローチョコレートのフレーバーのひとつにも使われていたベチバーのお茶。福岡県の星野村で自然栽培されたもので、国産は大変珍しいそうです。色はほとんどつきませんが、しっかりと味はします。やさしい味で飲みやすくて、どんな料理にも合いそう。茶葉は購入もできますよ。
SDGsでエシカルな「日の出PRODUCTS」のグッズを買えるアンテナショップ
最後に「普廻-fune-」で買うことができる商品の一部を紹介します。最初に紹介したいのは、日の出PRODUCTSの看板商品「ホタテ貝殻の粉」。水産廃棄物としてやっかいもの扱いされていたホタテの貝殻を1000℃以上の高温で焼成した粉末で、厚生労働省が認可する天然食品添加物です。pH12以上の強アルカリ性でありながら、皮膚への刺激は蒸留水以下。
肌にやさしいので消臭や除菌などマルチに使えますが、中でも愛用者に多い利用法が、野菜や果物の洗浄。ホタテ貝殻の粉を溶かした水につけると、皮に残っていた農薬やワックスが溶け出して、水が濁ります。魚の切り身をホタテ貝殻の水で洗ってから焼いたら、カリッカリに焼き上がりましたよ! いろいろな使い方の可能性を探れる楽しい商品です。
手肌にやさしいといえば、「古代ネイル」。土からとれる酸化鉄を主な成分とするベンガラの色をそのまま生かしたネイルは、肌になじみやすそうな深く落ち着いた色味が揃っています。
衣服から小物まで充実しているのがヘンプ商品。ヘンプは北極・南極以外のどんな気候でも育ち、種を蒔いて4ヶ月もすれば3~4mまで成長する生命力の強い植物。オーガニックのヘンプ繊維でできた布は、優れた抗菌性・消臭性・吸水性・速乾性があるとのこと。マスクや靴下など日常使いできる小物から取り入れてみるのはアリですね! ほかにもさまざまな種類のヘンプ生地の取り扱いがあり、オーダーカーテンも注文できます。
こちらはパレスチナで暮らす日本人女性が、パレスチナの女性たちを支援する活動の中で生まれた商品。パレスチナの女性たちが刺す刺繍のキーチャームです。毎日のようにニュースで流れてくるイスラエル・パレスチナ問題に自分ができることなんてないと思っていましたが、消費が小さな支援につながるならいいですね。
身近なはずのお粥やお茶、漬物にまで新しい世界を見せてくれる「普廻-fune-」。名前のとおり、今まで知らなかったことや見ていなかったことに思いを巡らせるきっかけを与えてくれました。なにより、おいしいのが最高です。
■普廻-fune-(ふね)
住所:京都府京都市中京区高倉通夷川上る福屋町717-1
TEL:075-746-2067
営業時間:12~18時、カフェは~17時
定休日:水曜
アクセス:地下鉄丸太町駅から徒歩4分
Photo: photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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