【伊香保】3月24日に今期の展示スタート。春らんまんの原美術館ARCへ

【伊香保】3月24日に今期の展示スタート。春らんまんの原美術館ARCへ

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東京品川にあった現代美術専門の原美術館と、伊香保の別館ハラ ミュージアム アークが統合され、2021年4月にリニューアルオープンした原美術館 ARC。冬季休業を終え、3月24日から2023年度の展示をスタートしています。太陽と青空の下、アートと桜を楽しみましょう。 ※トップ画面の赤いハートの作品はジャン=ミシェル・オトニエル《kokoro》2009年  撮影:宮地工(2022年)

Summary

太陽と青空の下で鑑賞する屋外展示作品

晴れた日に原美術館ARCを訪れて最初に目にするのは、目の底がジンとするほど青い空、そして赤城連山や榛名山のスカイラインです。青空の下に広がる広大な庭には、アンディウォーホールら国内外のアーティストによる作品が常設され、高原の光や風を感じながら鑑賞できます。「自然の中で美術品にふれる」というスタイルの鑑賞への原美術館ARCの思いが感じられます。名称のARCはフランス語で虹を表すarc-en-cielに由来します。
桜満開の原美術館ARC
桜満開の原美術館ARC。ソメイヨシノは3月下旬~、八重桜は4月中旬~が見頃です
オラファーエリアソン《Sunspace for Shibukawa》2009年 撮影:宮地工
オラファーエリアソン《Sunspace for Shibukawa》2009年 撮影:宮地工
中に入ると太陽の動きに従って内部に結ぶ虹の像が刻々と変わる体感型の作品 撮影:宮地工
中に入ると太陽の動きに従って内部に結ぶ虹の像が刻々と変わる体感型の作品 撮影:宮地工
鈴木康広『日本列島のベンチ』 20142021年 cYasuhiro Suzuki 撮影:木暮伸也 日本列島のへそ・渋川から同心円が描かれた作品。施設のへそ(中心)に据えられています
鈴木康広『日本列島のベンチ』 2014/2021年 ©Yasuhiro Suzuki 撮影:木暮伸也
日本列島のへそ・渋川から同心円が描かれた作品。施設のへそ(中心)に据えられています

磯崎新氏が手掛けた建築もみどころ

大きな青空とともに鮮烈な印象を残すのが建築です。榛名山や赤城山のスカイラインに呼応するような三角屋根や、羽ばたく翼を思わせる回廊が印象的な建物は、建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞し、2022年12月に逝去した磯崎新氏の手になるもの。トップライトから自然光が柔らかく注ぐモダンアート用のA~Cの3つのギャラリーと、東洋古美術を展示する特別展示室の觀海庵、印象の異なる二つの部分で構成されています。
榛名山と特別展示室「觀海庵」 撮影:齋藤さだむ
榛名山と特別展示室「觀海庵」 撮影:齋藤さだむ
本館と「觀海庵」を結ぶ廊下の正面に見える赤城山。まるで一幅の絵のようです 撮影:宮地工
本館と「觀海庵」を結ぶ廊下の正面に見える赤城山。まるで一幅の絵のようです 撮影:宮地工

今期の企画展のテーマ「青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション」

現在開催中の企画展のテーマは「青空は、太陽の反対側にある」。原美術館ARCの理念の結晶のようなテーマです。ギャラリーABCの展示室では、荒川修作や久保田成子、ギルバート&ジョージやヨーゼフ ボイスなど、社会や美術の流れに作品を通じて疑問を呈する作家の作品を、第1期、第2期と展示替えをしながら紹介していきます。また特別展示室の「觀海庵」では、鎖国期に西洋絵画や科学に傾倒した司馬江漢や、墨線を否定して独自の表現を切り開いた横山大観らの作品を紹介予定。また通常は東京国立博物館に寄託している『青磁下蕪花瓶』(国宝)と『青磁袴腰香炉』がお里帰りして展示されるのも大きなトピック。どちらも淡い青空を思わせる美しい作品です(展示期間:2023年3月24日(金)~4月26日(水))。
 奈良美智『Eve of Destruction』2006 年 ©Yoshitomo Nara (展示期間:2023年3月24日~9月3日)
奈良美智『Eve of Destruction』2006 年 ©Yoshitomo Nara (展示期間:2023年3月24日~9月3日)
企画展 青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション
会期:第1期(春夏季) 2023年3月24日(金)~9月3日(日)
第2期(秋冬季) 2023年9月9日(土)~2024年1月8日(月・祝)

作品をイメージしたスイーツが味わえる「カフェダール」

眩しい芝生の広場を見晴らす「カフェダール」は、群馬県産素材を活かしたサンドウィッチやパスタなどのランチや、一杯一杯丁寧にハンドドリップするコーヒーが味わえます。企画展や作品をモチーフにした「イメージケーキ」もぜひ。目と舌で作品を鑑賞するような、美術館らしいスイーツです。
ジャン=ミシェル・オトニエル《kokoro》をモチーフにしたイメージケーキ
ジャン=ミシェル・オトニエル《kokoro》をモチーフにしたイメージケーキ
スモークサーモンとアボカド クリームチーズのサンドイッチ
スモークサーモンとアボカド クリームチーズのサンドイッチ

大きな窓と高い天井をもつ開放的なカフェ 撮影:齋藤さだむ
大きな窓と高い天井をもつ開放的なカフェ 撮影:齋藤さだむ

ミュージアムショップはマストチェック

「ザ・ミュージアムショップ」では、アーティストグッズやアクセサリーなど暮らしに彩りを添えてくれるグッズ、日本の伝統技術をモダンに活かした小物などが揃います。
 カタログ・関連書籍から小物やアクセサリーなど幅広い品ぞろえ
カタログ・関連書籍から小物やアクセサリーなど幅広い品揃え
■ザ・ミュージアムショップ
TEL:0279-24-6585
時・休:美術館に準じる。その他荒天等臨時休業あり
※ザ・ミュージアムショップのみ利用の場合も、原美術館ARCの入館料が必要

■原美術館 ARC 
住所:群馬県渋川市金井2855-1
TEL:0279-24-6585
営業時間:9時30分~16時30分(最終入館16時)
定休日:木曜(祝日、8月は開館)、展示替え期間、1月1日、冬季
料金:一般1800円(1500円)、高校・大学生1000円(700円)、 小・中学生800円(500円)。カッコ内はオンライン前売りチケット
交通:JR上越線渋川駅3番のりばから関越交通バス伊香保温泉または伊香保榛名口行きで約15分、グリーン牧場前下車、徒歩7分

隣接する伊香保グリーン牧場で、雲海のような桜にうっとり

ふわもこな動物たちとの触れ合いが人気の伊香保グリーン牧場が、4月中旬からゴールデンウィーク頃まで19品種約1500本の桜が咲き誇り、園内が桜色に染まります。見晴らし山から牧場を見下ろすとまるで雲海のように見えることからついた愛称が「榛名雲海桜」。夢のような眺めです。この牧場は林業の会社が営む観光牧場。「自然と人と文化の豊かな関係を育み、持続可能な社会づくりに貢献する」を1970年から理念に据えて活動しています。まさにSDGsの本来の意味の先駆者。桜がほれぼれするほど美しいのも、心を込めたお世話のおかげなのですね。
見晴らし山からの眺め。まさに桜の雲海桜
見晴らし山からの眺め。まさに桜の雲海桜
動物たちとのふれあいも楽しめます
動物たちとのふれあいも楽しめます

美術館と満開の桜。美しいものに包まれた時間のあとは、榛名湖に足を延ばしたり、伊香保温泉の石段街で湯の街情緒に浸るのもよさそう。春らんまんの伊香保を満喫してくださいね。

Text:松尾裕美


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