高野山聖地巡り~金剛峯寺・奥之院・壇上伽藍~。記念御朱印&御開帳情報も!
2023年は弘法大師空海の御誕生1250年記念の年にあたります。数々の記念行事が行われる高野山へお参りをしてみませんか。高野山は、標高約900mの山上に開かれた真言密教の聖地で、総本山金剛峯寺をはじめ117の寺院が集まる一大宗教都市。根本大塔がそびえる壇上伽藍、杉木立の参道が続く奥之院など、訪れる前にチェックしておきたい高野山の3大スポットを紹介します。
Summary
高野山で最初に開かれた「壇上伽藍」
高野山を訪れたら、まず参拝したいのが壇上伽藍(だんじょうがらん)。弘法大師空海が高野山で最初に真言密教の根本道場を開いた重要な聖地。
開創当時に創建され、幾度もの火災に遭いながらも再建された根本大塔(こんぽんだいとう)や金堂(こんどう)で、数々の仏像が安置される内陣を拝観することができるのです。
壇上伽藍の中心地に立つ【根本大塔(こんぽんだいとう)】は真言密教の世界観を立体的に表す重要な建物。内陣の中央に祀られるご本尊は胎蔵界(たいぞうかい)大日如来。周囲には金剛界(こんごうかい)の四仏が安置され、荘厳さが漂います。
16本の柱には、堂本印象画伯による十六大菩薩像が優美な姿で描かれていて、堂内をぐるりと巡って、ひとつひとつ異なる豊かな表情を拝観することができます。
【金堂(こんどう)】は高野山の重要な儀式が行われる総本堂。ご本尊の薬師如来像(阿閦如来/あしゅくにょらい)は秘仏で、左右に安置されている極彩色の6体の尊像に護られています。金剛界と胎蔵界の両界曼荼羅図にもぜひ注目を。
「壇上伽藍」のお参りガイド
壇上伽藍をお参りするには、南に位置する【中門】から入って、【金堂】→【六角経蔵】→【御社】→【西塔】→【御影堂】→【三鈷の松】→【根本大塔】→【大塔の鐘】→【不動堂】→【東塔】→【蛇腹路】と、巡るのがオススメ。ほとんどの建物は非公開なので、外観のみの参拝となりますが、金堂と根本大塔は内陣を拝観することができます。
高野山開創1200年を記念して2015年に172年ぶりに再建された【中門(ちゅうもん)】には江戸時代と平成造立の四天王像が安置されています。
平成に造立された増長天像(ぞうちょうてんぞう)の胸にはセミ、広目天像(こうもくてんぞう)にはトンボが‥。鳴き声が大きく遠くまで響き渡るセミには「悪を退ける」、前にしか飛ばないトンボは「決して退却しない強い意志」が込められているそう。ぜひ見つけてみてくださいね。
【金堂(こんどう)】の建物は7度目の再建で、昭和7年(1932)に完成。ぜひ内陣の参拝を。
【六角経蔵(ろっかくきょうぞう)】は鳥羽上皇の皇后であった美福門院得子が夫の菩提を弔うため平治5年(1159)に建立。現在の建物は昭和9年(1934)に再建されたもので、基壇の把手を押しながらぐるりと回ると読経した功徳が得られるというので、ぜひ体験を!
【御社(みやしろ)】は弘法大師が弘仁10年(819)に天野の丹生都比売神社から丹生明神(丹生都比売大神)と高野明神(狩場明神)を勧請して高野山の守護神として祀ったのが始まり。
本殿前の狛犬は、弘法大師空海を高野山へ導いた狩場明神の遣いの白黒2頭の犬の姿を表しているといわれます。
【西塔(さいとう)】は根本大塔と対となる重要な多宝塔で、仁和2年(886)に建立。現在の建物は天保5年(1834)に再建されたもので、金剛界大日如来をご本尊に祀っています。
【御影堂(みえどう)】は弘法大師空海の持仏堂だった檜皮葺の屋根が美しい宝形造のお堂で、弘法大師の御影を祀ることからこの名でよばれるように。毎年旧暦の3月21日の前夜にのみ、外陣からの参拝が許されます。
【三鈷の松(さんこのまつ)】は、弘法大師空海が日本で密教を広める聖地にふさわしい地へ届くようにと、唐の国から三鈷杵を投げたところ、この松の木の枝に架かっていたという伝説があります。3本葉の松葉を見つけたら、ぜひ拾ってお守りにしましょう。
【根本大塔】は高さ48.5mの大迫力の塔で、真言密教のシンボルとして建立された多宝塔。ぜひ内陣の参拝を。
【大塔の鐘】は天文16年(1547)の改鋳当時、国内四番目の大きさだったことから「高野四郎」ともよばれます。直径2.2m、重量約6tあり、1日に5回、山内に時を知らせます。
【不動堂】は建久9年(1198)に創建された鎌倉時代の和様建築。明治41年(1908)に一心院谷から移築されたもので、平安時代の貴族の邸宅のような優美な姿が美しく、国宝に指定されています。
【蛇腹路(じゃばらみち)】は壇上伽藍から金剛峯寺方面へ向かう小道。高野山の地形を東西に横たわる龍の姿になぞらえて、このあたりがお腹にあたることからこの名があります。初夏は新緑やあじさいが、秋は紅葉の名所としても知られ、ライトアップも行われます。
■壇上伽藍(だんじょうがらん)
住所:高野町高野山152
TEL:0736-56-2011(金剛峯寺)
料金:拝観自由(金堂・根本大塔は拝観各500円)
時間:金堂・根本大塔は8時30分〜17時(最終受付16時45分)
定休日:無休(行事により拝観不可の場合あり)
アクセス:高野山ケーブル高野山駅から南海りんかんバス大門南駐車場行きで、バス停:金堂前下車すぐ
高野山真言宗の総本山「金剛峯寺」
次に訪れたい聖地、金剛峯寺(こんごうぶじ)は高野山真言宗3600か寺の総本山で、高野山内の117か寺の中心寺院でもある建物。高野山真言宗管長である金剛峯寺座主の住まいでもあります。
檜皮葺の屋根が美しい主殿(しゅでん)や襖絵と広大な石庭が美しい別殿(べつでん)など、みどころ多彩。ぜひ堂内を巡ってお参りをするのがおすすめです。
「金剛峯寺」のお参りガイド
金剛峯寺のお参りは、【正門】をくぐり、主殿の昇降口から堂内に上がり、【大広間】→【新別殿】→【別殿】→【蟠龍庭】→【上段の間】→【奥書院】→【茶の間・囲炉裏の間】→【台所】を巡ります。
壇上伽藍から蛇腹路を歩いてたどり着く【正門】は延宝8年(1680)の再建で、金剛峯寺では最古の建物といわれています。かつて皇族や高野山の重職のみが出入りを許された門で、一般の僧侶は今でも右脇の小さな潜り戸を通ります。
【主殿】は豊臣秀吉が亡き母の菩提を弔うために建立した青巌寺の建物。風格ある檜皮葺の屋根や大小の玄関、屋根の上にある天水桶などにも注目です。一般の昇降口は正面に向かって右手にあります。履物を脱いで堂内の受付へ向かいましょう。
主殿の【大広間】は重要な儀式や法会が行われる部屋。群鶴と松が描かれた襖絵は雲谷派の絵師によるもの。
大広間の奥にある【持仏間(じぶつま)】は弘法大師坐像がご本尊として祀られています。普段は非公開ですが、2023年の5月14日(日)〜7月9日(日)には弘法大師の御誕生1250年を記念して、特別御開帳が予定されています。
【新別殿】は参拝者の接待所で、セルフサービスのお茶を味わいながら休憩ができます。3〜11月には僧侶による法話を聞くことができます。
【別殿】は昭和9年(1934)に建造された桃山様式の建物で、各部屋の襖絵には守屋多々志(もりやただし)画伯による高野山草創の風景や四季の花鳥風月が描かれていてみごとです。
別殿から望むことができる【蟠龍庭(ばんりゅうてい)】は広さ2340㎡の広大な石庭。白川砂と花崗岩で、雲海に浮かぶ雌雄の龍が奥殿を守る様子が表現されています。
別殿から主殿に戻ったら、台所に隣接する【茶の間・囲炉裏の間(ちゃのま・いろりのま)】へ。千住博(せんじゅひろし)画伯の障屏画『瀧図』と『断崖図』が奉納されているので、ぜひお見逃しなく。
■金剛峯寺(こんごうぶじ)
住所:高野町高野山132
電話:0736-56-2011(金剛峯寺)
時間:8時30分〜17時(最終受付16時30分)※行事により拝観不可の場合あり
定休日:無休
アクセス:高野山ケーブル高野山駅から南海りんかんバス大門南駐車場行きで、バス停:金剛峯寺前下車すぐ
弘法大師の御廟を祀る「奥之院」
奥之院(おくのいん)は弘法大師の御廟を祀る、高野山で最も重要な聖地。一の橋から中の橋、御廟橋を渡り、御廟の拝殿である燈籠堂へ約2kmの参道が続きます。
杉木立に包まれ、神秘的な雰囲気が漂う参道沿いには、時代を超えた20万基以上の墓碑や供養塔が立ち並んでいて、戦国武将や大名など著名人の墓碑巡りをすることもできます。
承和2年(835)3月21日に永遠の禅定に入られた弘法大師空海が、今も生きて人々を見守っているという大師信仰の中心聖地。私語を謹んで厳粛な気持ちでお参りをしましょう。
「奥之院」のお参りガイド
奥之院のお参りは、一の橋から約2kmの参道を歩き、御廟橋を渡って燈籠堂、そして御廟へ向かいます。
石畳の道が続くので、ヒールの高い靴やサンダル履きは避け、歩きやすい靴がおすすめです。御廟橋から奥は重要な聖域なので、写真撮影は禁じられています。また、参道の行き帰りで橋を渡る際には、橋の手前で一礼をするのが習わしです。
【一の橋】→【供養塔】→【化粧地蔵】→【水向地蔵】→【御廟橋】→【燈籠堂】→【御廟】の順にお参りを。
【一の橋】を出発して、御廟へ向かう約2kmの参道沿いには戦国時代の武将や大名、著名人の【供養塔】が点在しています。一番石(いちばんいし)は二代将軍徳川秀忠の奥方、崇源院(すうげんいん)お江の供養塔。奥之院では最大の供養塔で、高さ6.6mあります。
参道沿いに立つ【化粧地蔵】は、顔に白粉や頬紅が塗られたお地蔵様。きれいにお化粧してお参りすると願い事が叶うとか?
【水向地蔵(みずむけじぞう)】は御廟橋の下を流れる玉川のほとりにお地蔵様や観音様、お不動様が奉納されています。参拝者は水向塔婆に水を手向けて先祖の冥福を祈ります。
【御廟橋(ごびょうばし)】は弘法大師空海の御廟へ向かう参道に架かる最後の橋。お大師様がおられる聖域に入るということで、この橋の手前で立ち止まり、居住まいを正して、一礼をしてから渡るのが習わしです。帰りにも一礼を。橋から奥は重要な聖域。私語は慎み厳粛な気持ちでお参りを。
【燈籠堂(とうろうどう)】は弘法大師の御廟を礼拝するお堂で、堂内には2万基以上の献灯が輝いています。正面には1000年以上燃え続けているという「消えずの火」が奉納されています。堂内及び、御廟の聖域では写真撮影は禁じられています。
奥之院で毎朝行われている行事が生身供(しょうじんぐ)。今も生きて私たちを見守ってくださっているお大師様に、食事を運ぶ行事。
毎朝6時と10時30分に、御廟橋の手前にある御供所を出発、嘗試(あじみ)地蔵にいったんお供えをされた後、僧侶たちによって、御廟橋を渡り燈籠堂へと運ばれていきます。早朝に奥之院を訪ねることができるなら、ぜひ時間を合わせてお参りを。
■奥之院(おくのいん)
住所:高野町高野山550
電話:0736-56-2011(金剛峯寺)
料金:拝観自由
時間:燈籠堂開扉は6〜17時、御供所は5〜10月は8〜17時、11〜4月は8時30分〜16時30分
定休日:無休
アクセス:高野山ケーブル高野山駅から南海りんかんバス奥の院前行きで、バス停奥の院口下車、参道を徒歩40分、あるいはバス停奥の院前下車、参道を徒歩20分
弘法大師空海御誕生1250年記念のイベントをチェック!
今から1250年前、平安時代初期の宝亀5年(774)6月15日に讃岐国の屏風ケ浦(香川県善通寺市)で御誕生された弘法大師空海。2023年は弘法大師の御誕生1250年を記念して、高野山でもさまざまな行事が行われます。
【青葉まつり】は弘法大師の御誕生を祝う行事。2023年は6月15日に開催。花御堂渡御の行列が街を練り歩き、鼓笛隊や稚児行列、山車などが町民総出で繰り広げられます。
問合せ:0736-56-2011(金剛峯寺内高野山奉讃会事務局)
【弘法大師御誕生1250年記念御朱印】は金剛峯寺、壇上伽藍、奥之院、高野山霊宝館、徳川家霊台、女人堂など金剛峯寺関連の各拝観所の御朱印が2023年限定で特別仕様になります。期間は2023年12月31日まで。
高野山ではほかにも様々な記念行事やイベントが予定されています。ぜひお出かけ前に金剛峯寺の公式WEBサイトなどで詳細をチェックしてみてくださいね。
2023年5月14日(日)~7月9日(日) 金剛峯寺御本尊御開帳
2023年5月14日(日)~7月9日(日) 宗祖弘法大師御誕生1250年記念大法会
2023年5月13日(土)~7月9日(日) 弘法大師御誕生1250年参拝証
問合せ:0736-56-2011(金剛峯寺)
『るるぶ高野山』最新版発売中!
今回紹介している情報のほか、高野山の最旬情報満載です。
Text:中島彰子
Photo:榎木勝洋
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