【京都の老舗】油一筋200年の歴史を誇る「山中油店」で食通もうなる逸品を!
あらゆる油の専門店「山中油店」が現在の地にお店を構えたのは江戸時代後期。以来200年近くもの間、ずっと油一筋に商いを続けています。そんな歴史ある老舗で、いま買うならコレ、という初心者におすすめの油を教えていただきました。
Summary
壮観!通りにずらりと広がる山中油店の建物群
せっかくの京都旅ならば、おみやげの購入とともに味わって欲しいのが、商いの歴史を感じさせるこの景色。京町家は、間口が狭く奥行きが深いのが特徴ですが、山中油店の店舗は洛中にありながら、この間口の広さ。東京の都心で暮らしている人には考えられないスケール感かと思います。
店内に模型が飾られていますが、こちらが山中油店の全貌。さらに道を挟んで向かいや路地を入った場所に昔ながらの建物を利用したゲストハウスやカフェもあり、現代に至るまでの繁栄の歴史を感じることができます。
正面から見た店舗入り口の様子。創業当時の面影を残す建物は、国の登録有形文化財であり京都市の重要景観建造物。
「町人が高い所から大名行列を見下ろさないように」と2階の天井を低く造った「中二階」は江戸時代に多い建築様式。その厨子二階(つしにかい)には虫籠窓があり、一文字瓦や通り庇など京町家の特徴を多く見ることができます。
店の間にも、土間の床がかつての姿のまま残されていたり、菜種油を作るときに使った炒り鍋が残されていたりとみどころがいっぱいです。
山中油店が選ぶ、おみやげにおすすめのオイル(食用編)
お待たせしました。ここからは、山中油店で長年広報を務める浅原さんおすすめの油をご紹介していきます。一番におすすめいただいたのは落花生油。山中油店の中でも「味で選ぶならこの油!」と紹介されている3本柱の1つです。
試飲させていただきました。油を単独で飲むことはあまりないと思うのですが、ちょっとしたサプライズ体験。とっても濃厚なナッツの味と香りが口の中で広がり、びっくり。料理の仕上げにかけると味に深みが増し、調理に使えばカリッとクリスピーに焼き上がるそう。変わったところでいけばアイスクリームにかけると、ナッツ風味の高級アイスに早変わり。バニラアイスはもちろんチョコレートアイスにも合いそうですね。料理好きの友人へのおみやげにしたい一品です。
ロングセラーの胡麻油。おいしさの秘密は玉締めという製法にあります。焙煎して、すって、蒸らしたゴマを繊維に包んで機械にセットし、玉石に押し付けるようにゆっくりと均等に圧力をかけます。そして、じわりじわりと滲み出てくる油を集めて、濾過して、瓶詰めに。市販の油とは一線を画した、職人の手仕事で作られた贅沢な胡麻油です。コンビニ食材活用レシピで、最後に胡麻油を垂らして仕上げる料理が人気ですが、胡麻油を変えたら、その味わいは1ランクも2ランクもアップしそうですね。
次は、山中油店オリジナル商品のドレッシングです。「おだし」のネーミングどおり、オイルの中にカツオ、椎茸、帆立の天然出汁が入った万能ドレッシング。エキストラオリーブオイルだけだと低温で固まりやすいため圧搾なたね油をあわせてあります。下の方が濁っているのは乳化剤を使っていない証拠。温野菜との相性もよく、パスタソースも簡単に作れます。
山中油店では創業時から取り扱うなたね油などの日本製の商品のほかに、海外から輸入するオリーブオイルの取り扱いもかなり豊富です。なかには山中油店以外ではなかなかお目にかかれない商品も。老舗ならではの凄さを感じるのは、直接足を運んでの交渉。原産地イタリアの北はリグーリア州、南はシチリア州まで赴き、生産者と直接顔を合わせ、オリーブの木を見て、話をします。相手も山中油店の油一筋200年の歴史と製法へのこだわりを知って、取引を決めてくれるそうです。
それぞれにストーリーのある製品のなかでも使い勝手がよく、手頃な価格の商品を教えていただきました。まずはオレンジとレモンのオリーブオイル。2つの果実のエッセンスが入ったオイルは直営のレストランでも多用される逸品。サラダやカルパッチョなどの香り付けにはもちろん、少し贅沢ですが炒め物に使っても柑橘の爽やかな香りが食材に移って高級レストランのような味わいに。フレンチトーストを焼く際にバターの代わりに使うと、表面はカリッと香ばしく、ほんのりとした柑橘の香りとともに、中はふんわりトロトロに焼きあがるそう。
プロアマ問わず愛され、山中油店で人気No.1オリーブオイルの「Rustico」はシチリア島西北の街トラーパニ産。3種類のシチリア在来種のオリーブをブレンドして作られた果実味のさわやかなオイルです。写真は国産オリーブオイルとの味比べ。同じオリーブオイルでも喉にピリピリするような刺激のあるもの、風味のやわらかいものなどそれぞれに個性があります。オリーブオイルについてもっと知りたい人は、山中油店を訪れれば詳しく教えてもらえますよ。
こちらは100%小豆島産のオリーブを使い、高知県産の柚子とともに搾った「和食に合うオリーブオイル」です。例えばふろふき大根に。甘めの白味噌と混ぜるだけでなめらかな柚子風味の味噌になります。
山中油店が選ぶ、おみやげにおすすめのオイル(スキンケア編)
あらゆる油の専門店ですからスキンケアオイルも特別。国産の椿オイルを精製し、べとつかず肌にすっと素早くなじむように仕上げてあります。平安時代からお化粧用に使われていた椿オイルは、高温多湿な日本の風土に生きる日本人の肌になじむようにできているのですね。
お手入れ用椿オイルは、たっぷり入って全身に使うことができます。原料の椿は、日本固有種の薮椿です。髪の毛のお手入れや地肌マッサージにも使えて、これを使うことでフケが出にくくなったとの声も聞かれるとのこと。悩んでいる人は一度試してみる価値ありです。
オリーブ果実油、ブドウ種子油をベースに、ユズやヒノキの精油が入ったお肌にやさしいクレンジングオイル。肌に負担をかけることなく、メイクや汚れをするすると落としてくれます。柚子やヒノキの香りのヒーリング効果もあり、気持ちのオンオフの切り替えにもなりそう。
番外編:常連さんご愛用セットと山中油店の楽しみ方
最後に番外編として常連さんに一番人気があると教えてもらったのが「揚げくらべセット」。揚げ衣がカリカリ、ガリっと揚がる「なたね赤水」、素材の味をじゃませずにあっさり揚がる「あっさりなたね油」、一番のロングセラーという「コーンオイル」など「油を変えることでこんなにも揚げ物の味が変わるのか?」と、油の威力を実感できる5本セットです。送料無料なので、旅の途中でも持ち運びを気にせず購入できますよ。
山中油店をもっと楽しみたい方は、近くにある山中油店直営のカフェを訪れてみては?ここでは揚げ物はもちろんお惣菜などにも山中油店のオイルが使われていて、数々のレシピとともにオイルの効果的な使い方を知ることができます。カフェで食事をしてから、お店を訪れるのも、その逆もおすすめです。
いかがでしたか?山中油店を訪れると、ひとことに油といってもこんなにも味や香りが違うのかと驚きますよ。お店のホームページではそれぞれのオイルを使ったレシピも公開しているので参考にしてみてくださいね。
■山中油店(やまなかあぶらてん)
住所:京都府京都市上京区下立売通智恵光院西入下丸屋町508
TEL:075-841-8537
営業時間:8時30分〜17時
定休日:日曜、祝日
アクセス:京都市バス丸太町智恵光院から徒歩3分
Photo: photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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