【おとなのソロ部】老舗洋食店「資生堂パーラー」のソロ限定メニューを食べに日本橋へ
2022年に120年を迎えた「資生堂パーラー」。歴代シェフによって受け継がれた料理は多くの人を魅了してきました。日本橋髙島屋S.C.に入る日本橋店には、ひとりで来店した人しかオーダーできないという限定メニューも。手間をかけて丁寧に作られるこだわりの味を食べに出かけてみませんか?
Summary
知っているようで知らない!? 資生堂パーラーの歴史とは?
明治5年(1872)年、東京・銀座に日本初の民間洋風調剤薬局「資生堂」が誕生しました。明治35年(1902)には、薬局内にソーダ水とアイスクリームを製造販売する「ソーダファウンテン」を開店。これが「資生堂パーラー」の始まりです。当時は新橋の芸者さんが三味線のお稽古の行き来の合間にソーダ水でひと息ついていたそう。昭和3年(1928)に「資生堂アイスクリームパーラー」として新装オープンし、本格的な西洋料理を提供するレストランを開業しました。
百貨店内にある日本橋店なら名店の味を気軽に楽しめる
今も創業の地に本店を構える「資生堂パーラー」。2004年には、日本橋髙島屋S.C.に「資生堂パーラー 日本橋店」をオープンしました。歴史ある名店の味を気軽に食べられると評判で、ショッピングの合間に立ち寄る常連客も多いのだそう。
もともとは日本橋髙島屋S.C.の旧新館にありましたが、2018年、本館のリニューアルに伴い現在の本館8階へ。「クラッシックモダン」をデザインコンセプトに、日本橋らしい街中のレストランをイメージして作られたそうです。モスグリーンの椅子など、落ち着いたトーンでまとめられているので、ゆったりとくつろぐことができますね。
ソロ客向けメニューがあるのは日本橋店のみ
平日のおひとりさま限定で食べられるのが、「ビーフとしめじの和風ピラフ」のセット。本日のスープとサラダが付いたAセット、本日のスープとドリンク(コーヒー、紅茶、ハーブティーのいずれか)が付いたBセット、サラダとドリンク(コーヒー、紅茶、ハーブティーのいずれか)が付いたCセットから選ぶことができます。
コロナ禍にひとりでも気軽に楽しんでほしいと各店で始めたおひとりさま限定メニュー。平日ランチのひとり利用が多い日本橋店のみ継続しているそうです。
ピラフの味付けにグレービーソースを使っているのが「資生堂パーラー」のこだわり。肉のうまみが凝縮されたソースなので、コクと深みを感じられる一品になっています。牛ヒレ肉を贅沢に使っているので、食べごたえも抜群ですよ。
取材当日の本日のスープは、スイートコーンとミルクの風味を感じられるクリーミーなコーンポタージュ。冬にはコーンポタージュやカボチャスープ、夏には冷製コーンスープやビシソワーズなどが多いそう。
サラダは、さっぱりとした自家製のフレンチドレッシングでいただきます。
食後には、さわやかなレモンのソーダに卵を使った濃厚なアイスクリームを浮かべた「アイスクリームソーダ」はいかがですか?ソーダファウンテン時代からできる限り味を変えないように作っているというソーダ水とアイスクリームを使った一品です。日本橋店にはメロンの「アイスクリームソーダ」もありますよ。
文豪たちをうならせたメニューの数々
「資生堂パーラー」は、多くの文豪に愛されたお店としても有名。代表メニューの一つ「ミートクロケット」は、タネにジャガイモではなくベシャメルソースを使っているので、中がトロリとしているのが特徴です。時代小説作家で食通としても知られた池波正太郎がよく頼んでいたという品です。
「チキンライス」も池波正太郎のお気に入りだったメニュー。炒めた具材にトマトペースト、ケチャップを加えて煮詰め、一晩寝かせたたねを使い、仕上げにエダムチーズを加えるのが特徴で、高級感がありながらどこか懐かしさも漂う伝統の味です。
「アイスクリーム」は、森鴎外の小説『流行』に登場。実際にも、鴎外は娘の茉莉を連れて「資生堂パーラー」を訪れていて、茉莉はレモンの「アイスクリームソーダ」が好きだったのだとか。また、太宰治の小説『正義と微笑』にも「アイスクリームソーダ」が登場します。
文豪たちや小説のストーリーに思いを馳せながら、それぞれのメニューを味わうことができるのも、歴史ある「資生堂パーラー」ならではですね。
家でもお店の味を楽しめるレトルトとスイーツをおみやげに
会計時には、レジ横に置いてある商品をチェック!伝統の味がレトルトになった洋食シリーズが売られています。食べておいしかったメニューや食べたいと迷ったメニューなどを家庭で楽しんでくださいね。
手土産として人気のオリジナルスイーツも置いてあります。そのおいしさはもちろん、“銀座アバンギャルド”をテーマにしたおしゃれなパッケージも人気の理由です。デザインは、長年にわたり資生堂企業文化誌『花椿』のアートディレクターを務めた仲條正義氏によるもの。
左は、北海道産の小⻨粉を使ったビスキュイ生地でデンマーク産のクリームチーズを包んで焼き上げた濃厚な「チーズケーキ」。牛がミルク、チーズを連想させ縦縞でレトロ感を出したパッケージが印象的です。「ラ・ガナシュ」は、ココアクランチの下に、ベルギー産のチョコレート、さらに、ココアクランチ入りのなめらかなチョコレートと3層の味と食感を楽しめます。パッケージでも、そんな3層構造を表現しているそうです。
歴史散策やショッピングを楽しめる日本橋はソロにもおすすめの街。そんな日本橋にある「資生堂パーラー 日本橋店」で、伝統を感じられる老舗の味を楽しんでみてはいかがですか?
Text:河部紀子(editorial team Flone)
Photo:斉藤純平
●新型コロナウイルス感染症対策により、記事内容・営業時間・定休日・サービス内容(酒類の提供)等が変更になる場合があります。事前に店舗・施設等へご確認されることをおすすめします。
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。