【東京ドーム周辺】「ミロンガ ヌオーバ」はアルゼンチンタンゴの音楽が流れる老舗喫茶店
創業70年を迎える神保町の名物喫茶店「ミロンガ ヌオーバ」が2023年に移転して再スタート。場所は変われどお店の雰囲気はそのまま、今も昔もアルゼンチンタンゴのBGMと共にお客さんを迎えてくれます。タンゴを聞きに、昭和レトロを感じに、コーヒーやビールを楽しみに、行ってみてはいかがですか?
新しいのに懐かしさが漂う心地いい空間
1949年創業の喫茶店「ラドリオ」の姉妹店として1953年にオープンした「ミロンガ ヌオーバ」。レコードやステレオは贅沢品だった時代、コーヒーを飲みながら音楽を楽しめる音楽喫茶が多く誕生しました。「ラドリオ」がシャンソン喫茶として営業していたため、こちらはタンゴ喫茶となりました。ちなみに、開店当時の店名は「ミロンガ」。1995年のリニューアル時に「ヌオーバ」(スペイン語で「新しい」という意味)が付いたのだそうです。
もともとは靖国通りから一本入った路地裏、「ラドリオ」の斜向かいに店を構えていましたが、2023年2月に移転。旧店舗からは数十メートルのところで、かつては「ラドリオ」の一部だった場所だといいます。
木目調やレンガ、柔らかなライトが演出するノスタルジックな店内は、旧店舗の雰囲気をなるべく変えないようデザイン。テーブル、イス、シャンデリア、スピーカーなども可能な限りすべて移動させたそう。
壁面は、工事で壁を剥がしたところ「ラドリオ」時代のレンガが出てきたため、それを生かしたスタイルに。飾られているレリーフは、「ラドリオ」に通っていた彫刻家・昆野恒氏の作品です。
無垢材の大きなテーブルは半分に切ってカウンターの天板に。並べられているのは、喫茶店のものを中心にした数々のマッチ。スタッフが訪れた店のもの、お客さんからもらったもの、さらにはお店の人が持ってきてくれたものが並んでいます。レトロなデザインのものも多く、なかには今はもうない店のものもあるのだとか。入口寄りの席には、「ミロンガ ヌオーバ」のものも。一番左が古いデザインなのだそうです。
アルゼンチンタンゴの音色に酔いしれて
レジの奥には、ずらりと並ぶ500枚ほどのLPコレクションが。今も開店当時と変わらずレコードプレーヤーで温かみのある音楽を奏でています。
ラックには再生中の音楽がわかるようレコードジャケットが置かれていますよ。撮影時には『TANGO EN TOKIO』がかかっていました。
店内には、アルゼンチンタンゴに用いられる楽器、バンドネオンや巨匠とよばれる人々のサイン、写真なども飾られています。サインは作曲家でありバンドネオン演奏者のアストル・ピアソラのもの。写真は1961年にヴァイオリニスト、フランシスコ・カナロが来日して行われた、新宿コマ劇場での公演の様子です。
名物は炭火焙煎コーヒーと世界のビール
看板メニューは、炭火焙煎のコーヒー。ブレンドと7種のストレートがあり、オーダー後に豆を挽き、ペーパードリップでいれてくれます。お店の名を冠した「ミロンガブレンド」は、コクと苦味を感じられる深煎りで、チョコレートのパンプディング「ディプロマットショコラ」とも相性ぴったり。スイーツは4種類の「本日のケーキ」から選ぶことができますよ。
もうひとつの看板メニューは世界のビール。ビールで有名なベルギーのほか、ヨーロッパ各国、ネパールやラオスなどアジアの国々など、さまざまな産地のものを扱っています。メニューにはそれぞれのビールの特徴が書かれているので選ぶのに参考にしてみてくださいね。おすすめはスリランカの「ライオンスタウト」というコクと深みのある強めの黒ビール。ミックスナッツをおつまみにいただきましょう。
タンゴ愛好家や昔からの常連客に加え、最近では若いお客さんも増え、幅広い年代の人々に愛されている「ミロンガ ヌオーバ」。メニューは終日同じなので、昼間にアルコール、夜にコーヒーなど、時間を問わず好きなドリンクでくつろげるのも魅力です。東京ドームでのコンサート後に、アルゼンチンタンゴの音色に耳を傾けながら推し活の余韻に浸るのもよさそうですね。
Text:河部紀子(editorial team Flone)
Photo:yoko
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