【京都】伝説のカフェの味を継ぐ『酒菓喫茶 かしはて』で特別な「朝菓子の会」
惜しまれながら閉店した鴨川沿いのカフェ「エフィッシュ」の副店長、そして岡崎エリアで人気を博した「& noma CAFÉ」の店長を務めた経歴を持つめぐみさん。独立し、オーナーとして初めて開いたカフェが『酒菓喫茶 かしはて』です。そんな話題のカフェで、予約必須の「朝菓子の会」を体験してきました。
京都の朝は、哲学の道の散策から
春になると疏水沿いに桜並木が続く「哲学の道」は、哲学者の西田幾太郎教授が思いを巡らしながら歩いた道。この散策路と寄り添うようにして南北へ走る鹿ヶ谷通り沿いに、2022年9月にオープンしたのが『酒菓喫茶 かしはて』です。
京都ツウの方なら、外観に見覚えがあるかもしれませんが、かつては有名な甘味処「銀閣寺 㐂み家」があった場所です。季節の花とともに置かれた小さな看板が目印。
曲線を描く飴色の手すり、階段を下りた半地下の店内、レトロなガラスブロックから差し込むやさしい日の光はそのままなのに、以前のような和の雰囲気はなく、めぐみさんが新しく持ち込んだアンティークの家具が、昔からこの場所にあったかのようにしっくりと馴染んでいます。
「シルクロードの、西洋と東洋がお互いの文化に憧れあって、交易してきた感じが好きなんです」とめぐみさん。店内にも東洋のものと西洋のもの、かしはて店主の“好き”のフィルターを通して選ばれたものたちが品よく並べられ、独特の空気感をつくります。
3日前までの予約必須、デザートの新たな扉を開く「朝菓子の会」
店主のめぐみさんは、岡崎の疏水べりにあった「& noma CAFE」で店長を、五条の高瀬川と鴨川の間にあった「エフィッシュ」で副店長を勤めた凄腕。その頃の仲間たちとお気に入りの調味料やハーブなどの情報交換をしながら、常にブラッシュアップを図ります。
さて、「朝菓子の会」とは、朝食代わりにいただける、4品で構成されるお菓子のおまかせコース。甘すぎないように、旬の果実のフレッシュさを主役にした優しい甘さや味わいを心がけているのだそう。3営業日前までの予約が必要です。
フレンチのコースのように一皿ずつ、作り立てを提供していくスタイル。アペリティフがわりの食前茶は、日本国内で有機栽培された烏龍茶を焙煎したもの。「水出しにすると、角がとれた柔らかな甘みと香りが楽しめるので、冷やしてご提供しています」とめぐみさん。一般的な烏龍茶に感じられる癖がなく、すぅっとした清涼感が喉を潤してくれます。
一皿目はブラットオレンジとマンダリンの2種の柑橘が主役。カマンベールチーズとナッツ、ディルを散らし、オリーブオイルと甘味が凝縮された熟成バルサミコで味付けしたサラダ仕立て。柑橘の香りが溶けて、朝のからだが目覚めていきます。
旅先で出会った味を再現してみたり、洋書のレシピ本をめくってみたり、「朝菓子の会」のメニュー探しは、いままで知らなかった新しい扉を開ける作業でもあるようです。
2皿目は、グレープフルーツとはっさくのブランマンジェ。微妙な温度の差で変わるデザートを最良の状態で味わえるようにと、提供前にグラスを氷水で冷やします。
添えられたはっさくにフレッシュタイムのソースをかけていただきます。作り立てのソースからはタイムのスパイシーな香りとはっさくの爽やかですっきりとした香りが交互に訪れ、ひんやりとしたブランマンジェをひきたてます。
3皿目はいよいよメインディッシュ。いちごの横に立てているメレンゲはアールグレイの茶葉入り。火を入れるというよりは水分を抜くイメージで板状に焼いたメレンゲを割った荒々しさがいちごのかわいらしさをより引き立てます。
ラムレーズンといちごのアイスに乳脂肪分控えめの生クリームをぽってりと乗せて。ラムレーズンのアイスからは上質なラム酒のふくよかな香りがして、大人のテイスト。いちごはかわいらしい甘さで、その味の対比を楽しみながらいただきます。
お茶やコーヒーなどはその場で追加オーダー可能。手書きのメニューも素敵です。
とりを飾るのは、小さな箱庭菓子。蓋をあけるとミニチュアの禅の庭が現れました。
艶やかな黒い石、苔むした岩、そして粉砂糖の雪化粧がほどこされた焼き菓子は、銀閣寺の向月台をイメージしてつくられているそうです。いままで経験してきたデザートの半歩先の世界を見せてくれる「朝菓子の会」。予約して、体験してみてください。
予約なしでいただける季節のパフェも人気
予約制の「朝菓子の会」以外に、パフェの提供もあります。この日のラインナップは、「杏仁いちごパフェ」「金柑と八朔の入ったチョコとピーナッツのパフェ」「りんごのクランブルパフェ」。たとえば写真の「りんごのクランブルパフェ」であれば、りんごをフレッシュのままカットして、煮詰めて、カラメルでソテーしてと3種類の調理で楽しませてくれます。
朝菓子の会の食前茶で提供されていた、有機焙煎烏龍茶などの茶葉の販売もあります。 哲学の道から銀閣寺までの散策路は、桜のシーズンはもちろん新緑も紅葉もしんと冷えた冬も、いつ訪れても素敵な場所です。散策ついでに立ち寄るのも、「かしはて」目当てに訪れて帰り道に散歩を楽しむのも、どちらもおすすめです。
■酒菓喫茶 かしはて(しゅかきっさ かしはて)
住所:京都府京都市左京区浄土寺上南田町37−1
TEL:なし
営業時間:12〜17時(「朝菓子の会」は10~12時)
定休日:水曜、不定休
アクセス:京都市バス銀閣寺前から徒歩3分または叡山電車元田中駅から徒歩20分
※予約、不定休については「kashihate.kyoto」のInstagramを要確認
Photo:photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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