【おとなのソロ部】新宿から約80分で行ける青梅市「小澤酒造」の酒蔵見学にソロ参加!銘酒・澤乃井に酔いしれて、自然散策も楽しもう♪
東京都内には10の蔵元(日本酒を造る醸造元)があるってご存じですか?そのなかでも青梅市にある創業300年以上の「小澤酒造」は、軽食とお買い物が楽しめる川沿いの庭園「清流ガーデン澤乃井園」も備えた、お楽しみ要素満載の老舗蔵元です。日本酒LOVERはもちろん、ちょっと興味がある人も、ひとりから参加できる酒蔵見学で、日本酒造りのあれこれを学んでみませんか。新宿から電車に乗って約80分で、御岳渓谷の大自然に抱かれた庭園できき酒や軽食も味わう、とっておきのひとり時間を満喫できますよ。
「小澤酒造」ってどんな蔵元?酒蔵見学は予約が必要?
「小澤酒造」は創業元禄15年(1702)、青梅市沢井に酒蔵を構える蔵元です。小澤家は武田信玄の家臣の末裔といわれ、甲州からこの地に移って林業を営み、山で水源を発見したことから酒造りを始めたそうです。醸造する銘酒「澤乃井」は清涼で豊かな水が流れる“沢井”の地名に由来しています。昭和42年(1967)には御岳渓谷の自然を感じながら酒蔵見学や地酒を堪能してほしいと多摩川の渓流沿いに「清流ガーデン澤乃井園」を開園。今では青梅市を代表する観光スポットとなっています。
酒蔵見学の開催日は平日2回(13時・14時)、土・日曜、祝日は3回(12時・13時・14時)。1回定員15名、所要約30分、見学は無料です。予約優先で空席があれば当日申し込みもOKですが、人気なので予約するのがおすすめ。
目指すは緑豊かな庭園「清流ガーデン澤乃井園」
最寄り駅は新宿から約80分のJR青梅線沢井駅。駅を降りると“清酒 澤乃井”の看板があるので迷う心配なし。看板のとおり、歩いて5分ほどで「小澤酒造」に到着します。見学受付は「清流ガーデン澤乃井園」にある蔵元売店で行います。
蔵元売店で名前を伝え、酒蔵案内受付票を受け取ったら酒蔵へ戻ります。見学開始時刻の5分前までに集合しましょう。
いよいよ酒蔵見学スタート
酒蔵見学は社長をはじめ、各部署のスタッフさんたちが当番制で案内してくれます。この日、担当してくれたのは総務部の高橋輝さん。蔵に入ると涼しさにびっくり。それもそのはず、訪れた5月の東京は最高気温30度という真夏並みの暑さでしたが、室温は17度。ここは創業のころに建てられた「元禄蔵」とよばれる壁の厚さが20cmもある土蔵。外気の温度に左右されにくく、年間を通じて室温が安定しているため、現在は貯蔵蔵として使われています。
“酒蔵”と聞くと、大きな木桶で酒造りを行なっているイメージでしたが、現在では金属製のタンクが一般的で、この貯蔵蔵に並ぶのも金属製。ちなみに、小澤酒造では2つの木桶を所有していて、数量限定酒「木桶仕込生原酒」の仕込み用に使われています。
貯蔵タンクにはそれぞれ番号が付けられていて、上の数字は識別番号、下の数字はお酒の容量を示しています。写真手前は8109ℓ入るタンクで、毎日1合で飲み続けるとおよそ120年、2合だとおよそ60年かかる量と分かりやすく説明してくれました。日本酒好きには毎日2合飲んでも約60年間かかるだなんて、魅力的な数字ですが、高橋さんから「休肝日を大切にしてください。」とお言葉が。
次はもろみの圧搾を行う「上槽室」へ。日本酒造りは、原料となる玄米を精米・蒸米するところから始まり、麹造り、酒母造り、仕込み、上槽、濾過、火入れ、貯蔵、瓶詰めという、いくつもの工程を経て、ようやくできあがります。通された「上槽室」では酒母に麹や蒸米を混ぜる仕込みの後、発酵したもろみを原酒と酒粕に搾って分ける作業を行います。残念ながら今季の酒造りは終了していて、来季に向けてメンテナンス中でした。実際の作業を見たい人は12月ごろに訪れましょう。
ここでは日本酒の酒米について説明を受けます。日本酒の原料といえばお米ですが、普段食べているお米とは異なる、酒米(酒造好適米)という専用のお米を使います。銘柄は山田錦、五百万石などさまざま。
酒米も食べるお米と同じく精米します。お米の表層にはタンパク質や脂質が多く、ご飯では“うまみ”となりますが日本酒造りでは“雑味”の原因になるため、削って(磨いて)いきます。この削って残ったお米の割合を精米歩合といい、削る割合によって香りや味わいも変わっていきます。吟醸酒は60%以下(40%以上削る)、大吟醸酒は50%以下(50%以上削る)など定められていて、精米歩合の低い(削る量が多い)ほうが手間がかかり、その分価格も高くなります。
削った部分の使い道が気になるところ。外側の赤糠は家畜のエサや糠床、その内側の白糠は米菓子の原料などになるそうです。先人の知恵が現代のサスティナブルな取り組みにも生かされているんですね。
続いて熟成酒「蔵守(くらもり)」を貯蔵する「元禄蔵」の一角へ。ワインやウイスキーと同じく日本酒も熟成ならではの味わいを楽しめます。棚には2016年の純米酒、2017年の生酛造りの純米吟醸酒が、一番上のカメに入っているのは2000年の吟醸酒です。共通するのはお酒の色で、お猪口に注ぐと熟成の証ともいえる琥珀色が見られるそう。これらの熟成酒は一部の百貨店や約60軒の酒屋さんで構成される「蔵守の会」会員店でのみ販売していますが、「清流ガーデン澤乃井園」2階のきき酒処で飲めることもあるそうなので、期待大!
最後に案内されたのは日本酒造りの源ともいわれる「水」が湧く井戸。「小澤酒造」では仕込み水にふたつの湧水を使っていて、そのひとつ、約180年前に掘られた秩父古生層の岩盤から湧き出る「蔵の井戸」の湧水は、ミネラル成分が多い中硬水。もうひとつは約4km離れた山奥にある「山の井戸」に湧く軟水。日本酒の種類によって使い分けているそうで、「清流ガーデン澤乃井園」では酒仕込み期間外は仕込水を汲んで持ち帰ることもできます。
江戸時代から残る酒蔵を見学する貴重な時間になりました。以前は試飲も行われていましたが、2023年5月現在休止中なので、これで酒蔵見学は終わります。
見学後は渓流美に癒やされながらきき酒タイム♪
全10種類のなかから、酒蔵見学の酒米説明で登場した大吟醸酒「凰(こう)」、熟成酒の「蔵守」、暑い日だったのでさわやかさを求めて「さわ音」の3種をチョイス。
山田錦を35%まで磨き上げた大吟醸酒「凰(こう)」は、フルーティーで芳醇な香り。それでいて喉越しはスッキリ。大吟醸ということもあり、ぜいたくさを感じます。
「蔵守」の2016年純米酒。これが熟成の証ともいえる淡い琥珀色ですね。今まで味わったことのない、独特の香りとコクの濃醇さ。
純米酒「さわ音」は4月中旬〜8月下旬ごろまで出荷する、名前のとおりすっきりさわやかな味わいで、暑い夏にぴったりです。
せっかくなので緑豊かなガーデンテラスで、おつまみと一緒に日本酒を堪能したい!ということで、軽食も注文♪ガーデンテラス内に設置されている券売機で食券を購入して、蔵元売店の隣にある「軽食処」で料理を受け取ります。
ガーデンテラス内にはパラソル付きの6人掛け丸テーブル、さらに川に近いあづまやには四角テーブル席が用意されています。自由に立ち寄れるスペースなので、好きなところを選んでOK(飲食の持ち込みは禁止)。
「清流ガーデン澤乃井園」の前は遊歩道が整備されていて、JR御嶽駅方面に架かる鵜の瀬橋を渡り、対岸の川沿いを歩いて戻る、約40分の散策も楽しめます。渓流美を横目にリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
名水百選の御岳渓谷沿いで銘酒「澤乃井」を造り続ける「小澤酒造」。都心から約80分の絶景地で酒蔵見学やきき酒を体験して、ガーデンテラスでのんびり。ちょっとぜいたくなひとり時間が待っています♪
■澤乃井きき酒処(さわのいききざけどころ)
TEL:0428-78-8210
営業時間:10時30分〜16時30分
定休日:月曜(祝日の場合は火曜)
■小澤酒造 澤乃井酒蔵見学(おざわしゅぞう さわのいさかぐらけんがく)
TEL:0428-78-8210(予約受付時間は9〜17時)
時間:13時・14時※土・日曜、祝日は12時・13時・14時
定休日:月曜(祝日の場合は火曜)
ソロ Memo
■おすすめの利用シーン:ひとりで学びの時間を持ちたいとき、日本酒造りの工程や酒蔵の歴史など、日本酒の奥深さを知りたいとき、自然のなかでひとりのんびりしたいとき
Text:木村秋子(editorial team Flone)
Photo:斉藤純平
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。