鍵善良房

祇園祭に由来する「鍵善良房」の雅なお菓子をおみやげに~京都の老舗めぐり~

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箱を開けた瞬間、ふわっと幸せが舞いあがり、もらった人の目をキラキラさせてしまう「鍵善良房(かぎぜんよしふさ)」のお干菓子の箱「園の賑わい」。江戸中期、享保年間創業の老舗「鍵善良房」の人気みやげです。

Summary

京都・祇園の花街に300年の歴史を誇る御菓子司「鍵善良房」

四条通のイメージ

初詣のスポットとして、祇園祭の神事を行う神社として有名な八坂神社の西楼門からまっすぐ四条通を歩くこと3分ほどの場所にある「鍵善良房」。

鍵善良房の外観

京都きっての花街・祇園に店を構えておよそ300年間。京都人が誇る老舗のひとつです。名物はくずきり。注文が入ってから、職人さんが1人前ずつ平たい打ち出しの銅鍋で作ります。

鍵善良房の内観
鍵善良房の内観
鍵善良房の内観

店内に一歩入ると、大きな飾り棚が存在感を放ちます。こちらは昭和45年(1970)に木工芸分野で初めて重要無形文化財(人間国宝)の指定を受けた木漆工芸作家・黒田辰秋(くろだたつあき)の作品。そこには繊細な螺鈿を施した重箱が並んでいたり、歴代の当主が蒐集した作家ものの器が飾られていたりと、まるで博物館のよう。掛けられた額縁の文字は1900年代に活躍した小説家・武者小路実篤の手によるものです。

鍵善良房の内観

入口のガラス扉上に並べられた昔の木型は、江戸時代に桜の木で作られたものが多いそう。かつてショーウィンドウに並んだであろう菓子の形に思いを馳せつつ鑑賞しましょう。

春・夏・秋・冬と意匠を変える雅な京菓子「園の賑い」

鍵善良房の園の賑い

八坂神社の門前にあり、祇園の花街らしいお菓子といえば「園の賑い」。祇園祭には、かつて女の人だけの行列"園の賑い"があったそうで、その祭りを彩った女性たちの姿を思わせる華やかなお菓子です。木箱の中にみっちりと2段にして色とりどりの四季の干菓子が詰まり、季節により、日によっても少しずつ内容が変わる一点物のような品物です。

鍵善良房の園の賑い

夏のお菓子は涼しげに、アサガオ、青紅葉、小魚に水紋(観世水)など。色は寒色系のものが多くなります。「琥珀」や「艶干し錦玉」とよばれる寒天菓子が入るのは夏だけなのだとか。

鍵善良房
「園の賑い」左から1650円、2420円、5500円 日持ち30日間

紙箱や木箱など、いろんなサイズが展開されています。一つかじると歯触りのよさと、やさしく口の中に広がる淡い甘さがくせになり、ついもうひとつ、もうひとつと手が伸びてしまいます。

鍵善良房

牡丹の花の琥珀糖。花びら一枚一枚をかたどる半透明のお菓子は、思わず日の光を透かしたくなる美しさです。

祇園祭の期間中、24日間に限り販売されるお菓子「祇園まもり」と夏のお菓子

鍵善良房の祇園まもり
「祇園まもり」1個350円 日持ち2日間

暦が7月に入るとそわそわとした気配が漂う京都の町なか。「鍵善良房」では、祇園祭の始まる7月の1日から山鉾巡行の後祭がおこなわれる24日までの24日間のみ「祇園まもり」が販売されます。

鍵善良房の祇園まもり

「祇園さん」とよばれる八坂神社の神紋と社紋が焼印されたカステラ生地に、ぽってりとやわらかい白い求肥(ぎゅうひ)が包まれたやわらかい生菓子。このお菓子を買い求めることを祇園祭の楽しみのひとつにしている人も多い、名物です。

鍵善良房の琥珀
「琥珀」 1620円 日持ち15日間

暑気が増してくる6月から8月の上旬にかけて販売されるのが、あじさい色をした琥珀。一般に冷蔵庫がなかった時代に、見た目に涼しく、薄氷を割るようなしゃりっとした歯ざわりも涼味を感じさせてくれる夏のお菓子です。

鍵善良房の琥珀

ショーウィンドウには、京都寺町にある錫器・銀器の老舗「清課堂」のお皿に盛って飾られていました。どんな器に合わせるのかを考えるのも楽しい夏のお菓子です。常温で持ち運べるので、おみやげにもぴったりですね。

おめでたい贈り物、老舗の定番お菓子

鍵善良房の菊寿糖

長い歴史を誇る「鍵善良房」の代表銘菓として、くずきりとともに名前が上がるのが「菊寿糖」です。桜と並んで、日本の国花である菊。格調の高い花柄で長寿を意味するおめでたい花に、寿を重ねたお祝い事のギフトにふさわしい品物です。

鍵善良房の菊寿糖

この花びら一枚一枚の精密さ、みじんの欠けもない美しさ。シンメトリーに見えて、ちゃんと上下があります。これを木型からひとつずつ打ち出す作業を想像すると気が遠くなりそう……。

鍵善良房の菊寿糖
「菊寿糖」左から紙箱・20個入り1500円、木箱・28個入り2800円、木箱48個入り4400円、木箱70個入り6300円 米寿のお祝いにふさわしい木箱・88個入り8000円もあり 日持ち90日間

こちらもいろんなサイズが用意されています。サイズが大きくなるにつれ迫力が増しますね。常は生成り色の「菊寿糖」ですが、秋菊の開花時期にあわせた9月中旬から11月中旬にかけては白に加えて赤、黄、紫の菊花が箱の中に交互に並び彩りを添えます。紅葉シーズンの京みやげに「この時期だけのものだよ」と伝えて贈れば、より喜んでもらえそうです。

鍵善良房のおちょま
「おちょま」 40個入り 4800円 日持ち90日間

和三盆の一粒一粒を和紙で包んだ「おちょま」。個装されているので、大勢でつまむのにも向いた品物です。可愛らしいつまみのついた木箱は、祇園の花街らしく三味線の胴をかたどっているそう。「鍵善良房」らしく、細部にまで美意識の行き届いた品物です。

鍵善良房のおちょま

お椀型の和三盆の先に小さな赤いちょぼがついた姿が乳に似ているため、出産祝いとして好まれます。

鍵善良房の喫茶室

奥に中庭があり、壁一面がガラス張りになっている四条本店の喫茶室。おみやげ選びが終わったら、中でくずきりをいただき、涼をとりましょう。

春夏秋冬、いつ訪れても、季節ごとに趣のあるお菓子が並ぶ「鍵善良房」。今回は祇園祭の時期の京みやげを中心にご紹介しました。おみやげ選びの参考にしてみてくださいね。

■鍵善良房(かぎぜんよしふさ)
住所:京都府京都市東山区祇園町北側264
TEL:075-561-1818
営業時間:9時30分~18時、喫茶10~18時(17時30分LO)※混み具合によってLOが早まる場合あり
定休日:月曜(祝祭日の場合は翌日)
アクセス:京阪祇園四条駅から徒歩3分

Photo: photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
参考文献:鍵善良房15代目 今西善也著『祇園 鍵善 菓子がたり』(世界文化社)

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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