京都・哲学の道の静かな一軒家甘味処「甘党カンヌ」で、寒天を極めたあんみつに舌鼓
桜の時期、紅葉の時期はもちろん、緑深まる夏にも人気の涼しげな川沿いの散策路「哲学の道」。川沿いの道すがら、赤レンガの塀に囲まれた気になる建物を発見しました。今回は「あんみつ」と書かれた吊り下げ旗が揺れるこちらのお店「甘党カンヌ」をご紹介します。
店名の由来はカンヌ映画祭? 哲学の道沿いの一軒家カフェ
「哲学の道」は、南は紅葉の名所、永観堂のあたりから北は銀閣寺参道までを結ぶ、約1.5kmの散策道。琵琶湖疏水の流れに沿って続く道は舗装されておらず、道の脇には草花と桜並木が続き、歩いているだけで癒されるスポットです。
哲学の道の北端にかかる銀閣寺橋から1つ南側の橋のたもとに見える、赤レンガの塀に囲まれた立派な邸宅に揺れる「あんみつ」の文字に誘われて近づくと……。
松の木の植えられた立派な玄関。近所の方から伝え聞くところによると、昭和29年、日本人で初めてカンヌ映画祭のパルムドール(当時はグランプリ)をとった衣笠貞之助監督が住んだ邸宅の跡地だそう。
お庭や川に向かう面はガラス張り。緑越しに漏れる自然光が清々しい店内。席数は少なく、ゆったりと配置されており、くつろいだ時間を過ごせます。
奥の席には窓枠に沿うように藤棚が備えられ、4月中旬から5月初旬頃には満開の藤の花が楽しめます。哲学の道の桜が散る頃には、藤の見頃がやってくる。そんな季節のうつろいを感じられるのもいいですね。
繊細な味の違いを楽しむ、寒天にこだわった「あんみつ」
「甘党カンヌ」でぜひ味わっていただきたいのは寒天。5種類の「あんみつ」または3種類の「豆かん」に入ります。四角い輪郭を感じつつ、そのまま舌でつぶせるみずみずしい食べ口の良さ。年配の方には昔を懐かしんでもらえるように、若い人には本来の甘味のおいしさを知ってもらえるように、昔ながらの味を再現します。
写真は「クリームあんみつ」。むちっとした食感を大切にした白玉、豆の味を引き立てる程度に甘さを控えたあんこも自家製。別添えの黒蜜もコクがあり、よく合います。
おみやげでも購入できる「わらびもち」が入り、寒天が抹茶寒天に変わるのが「特製抹茶あんみつ」。やわらかくて伸びのよいわらびもち、抹茶の爽やかさが加わった寒天、酸味のしっかりとしたみかんなど味のバランスもよく、甘さの切れもすっきりとしていて、暑い夏にぴったりです。
お家でも楽しみたい、食感が絶品のわらびもち
春から夏にかけては、「わらびもち」のお持ち帰りができます。滋賀県産の大豆を浅めに煎って豆本来の風味を大事にしたきなこに、やわらかくよく伸びるわらびもちがたっぷり。おうち用や宿での一服に買って帰りたい一品です。寒くなってくると、お持ち帰りにどらやき、店内にはぜんざい、おしるこなどの温かいメニューが登場。
桜や紅葉の季節は、人混みで歩くのも大変な哲学の道ですが、新緑や盛夏の頃には人通りもそこまで多くなく、ゆったりと散策することができます。散策のゴールに「甘党カンヌ」を目指してみるのはいかがでしょうか?
■甘党カンヌ(あまとうかんぬ)
住所:京都府京都市左京区銀閣寺前町14-12
TEL:なし
営業時間: 12~17時(16時30分LO)
定休日:月~木曜
アクセス:銀閣寺前バス停から徒歩2分
Photo: photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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