京都最古の禅寺「建仁寺」みどころ解説。お庭にアート、体験と盛りだくさん!
京都最古の禅寺として名高い建仁寺(けんにんじ)。京都五山の第三位と格式高いお寺で、国宝の屏風や現代美を感じる庭園など、みどころがたくさん。写経を体験することもできます。祇園にあり、さまざまな観光スポットからもアクセスしやすい建仁寺の魅力をご紹介します!
京都最古の禅寺・建仁寺の歴史は?
華やかな花街・祇園にありながら荘厳な雰囲気の建仁寺。臨済宗建仁寺派の大本山で、京都最古の禅寺です。
開創は鎌倉時代の建仁2年(1202)で、寺名は当時の元号から名づけられています。開山した栄西禅師(ようさいぜんじ)は、中国から日本に茶種を持ち帰り、広く一般に喫茶の習慣を広めたことでも有名です。
創建当時は天台・密教・禅の三宗兼学でしたが、第十一世蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)の時から純粋な臨済禅の道場となりました。室町幕府により中国の制度にならった京都五山が制定され、その第三位として厚い保護を受け大いに栄えました。
<南の勅使門は国の重要文化財。柱や扉に矢の跡があり「矢の根門」とも言われ、平重盛の六波羅の館の門を移築したと伝えられています。
「禅」を感じる庭で心が整う
建仁寺には多くのみどころがありますが、まずご紹介するのは庭園です。建仁寺には、趣の異なる3つの庭園があり、そのどれもが個性的。それぞれに、庭園を眺めるためのベンチや縁側が設けてあるのもうれしいポイントです。では一つずつ見ていきましょう。
方丈前に広がる「大雄苑」は、作庭家・加藤熊吉により昭和初期に作庭されたもの。想像以上のスケールに驚かされます。こちらの庭園は、方丈の縁側に座って眺めることもできます。
今回、ご案内いただいた内務部長の浅野さんに、大雄苑の見方や意味を教えていただきました。まず、庭の中で一番背の高い「主石」を探します。この主石に雨の水滴が落ち、川、そして海になり、最後は渦になる様子が白砂で描かれているのだそうです。この水滴は一人ひとりの心を表すもの。「この庭を見ている間は自分自身の内側に目を向けてほしい」と浅野さんは語ります。
次に紹介する庭園は、現代の造園家・作庭家である北山安夫氏が監修した潮音庭(ちょうおんてい)。廊下に囲まれた庭で、東西南北すべてが正面になるよう作られています。中央に三尊石、その東には坐禅石、周りに紅葉を配していて、確かに、どの方向から眺めてもバランスが良いようにレイアウトされています。
浅野さんおすすめの過ごし方は、ぐるりと廊下を歩いてみて自分が一番「綺麗」と思う風景を探すこと。庭には四季があり、また自分も変わり続けていくので、何度訪れても違った「綺麗」に出合えるのだそうです。
こちらも北山安夫氏が監修した「〇△□乃庭(まるさんかくしかくのにわ)」。禅宗の四大思想(地水火風)の地(□)水(〇)火(△)を表現した庭で、奥の井戸が□、中央の椿の木の下が〇、手前の白砂が△を表しています。先ほどの潮音庭の奥からこの庭を眺めることができ、一続きに見える眺めも美しいですよ。
迫力満点!アートは外せない
建仁寺といえばアートも有名です。こちらは国宝の「風神雷神図屏風」。江戸時代に活躍した琳派の代表的絵師・俵屋宗達の最高傑作で、教科書などでも見たことがある人が多いのではないでしょうか。原本は京都国立博物館内で保管されているため、精巧に再現されたデジタル複製画が展示されています。その画素数はなんと42億! 複製画なので写真撮影も可能ですよ。
方丈の中ほどにあるのは雲龍図の襖絵です。約400年前に海北友松が描いたもので、かつては最初にお客様を通す礼の間に置かれていました。繊細なタッチの背景や体とは裏腹に、豪快で力強い目が印象的です。こちらも複製なので撮影OKです。
法堂の天井にある迫力満点の双龍図は、建仁寺創建800年を記念して平成14年(2002)に小泉淳作が描いたものです。古来より龍は水の神として仏法の教えの雨(法雨)を降らせるたとえから、禅宗の法堂に描かれることが多いそう。実際に見るとその大きさと迫力に圧倒されます。
全体を眺めるのも楽しいですが、ディテールに注目するのもおすすめです。鋭い龍の爪ですが、5本の爪を持つのは一流の龍のみで、昔の中国では皇帝が認めた場合のみ描くことを許された格式高い証だったそうです。方丈の襖絵に描かれた龍は爪が3本ですが、こちらの龍は5本の爪を持っています。
時間にゆとりがあれば体験もおすすめ
建仁寺では毎月第2日曜7時30分から参加費無料で坐禅体験を開催しています。坐禅を20分×2回行ったあとはお経を唱和。最後に法話があります。終了が9時30分ごろなのでそのあと観光に行くにも十分に時間があるのがうれしいですね。
また、約60分の写経体験もできます。こちらは参加費1000円で、10~15時の間ならいつでも参加することができます。般若心経写経用紙、写経用具は受付で借りることができるので手ぶらで参加OK!
落ち着いた雰囲気の建仁寺は、伽藍を眺めながら境内を歩くだけでも心が研ぎ澄まされていくようです。庭園や襖絵など、みどころも盛りだくさん。朝一と午後は混み合うので10時30分~12時頃に行くのがおすすめですよ。
建仁寺へのアクセス方法は、京阪祇園四条駅より徒歩7分。JR京都駅からは市バス206系統などに乗り約15分、市バス停「東山安井」で下車して徒歩5分です。京都駅からも20~30分でアクセスできますよ。花見小路の突き当りにあり、参拝のあとは祇園を散策するのもいいですね。
■建仁寺(けんにんじ)住所:京都市東山区大和大路通四条下ル小松町584
TEL:075-561-6363
拝観時間:10~17時(最終受付16時30分)
拝観料:600円
駐車場:40台
Photo:鈴木誠一
Text:西出まり絵(エディットプラス)
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