【京都】世界遺産|天龍寺のみどころを紹介! 国の史跡・特別名勝第1号の名庭は必見!

【京都】世界遺産|天龍寺のみどころを紹介! 国の史跡・特別名勝第1号の名庭は必見!

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京都を代表する観光地の嵐山にある天龍寺は、暦応2年(1339)に創建されたお寺。臨済宗天龍寺派の大本山で、世界遺産に登録されています。広大な境内には、日本で最初に国の史跡・特別名勝に選ばれた曹源池庭園をはじめ、みどころがたくさん。その魅力を詳しくご紹介します。

Summary

嵐山を代表する禅刹・世界遺産「天龍寺」のはじまり

京都を代表する五つの禅宗の寺院、「京都五山」の一つである天龍寺。この地は嵯峨天皇の皇后、橘嘉智子(たちばなのかちこ)が開いた檀林寺(だんりんじ)の跡地で、檀林寺が滅びた後は、皇族が御所を営んだとされています。それから約80年後の暦応2年(1339)、足利尊氏が𠮷野で崩御された後醍醐天皇の冥福を祈るため、夢窓疎石(むそうそせき)を開山として天龍寺が開かれました。

創建当時の境内は、現在の約10倍の広さがあったそうで、名勝・嵐山をはじめ、現在の渡月橋や天龍寺の西側に広がる亀山公園なども境内地だったとか。約30万坪、なんと東京ドーム21個分です。しかし、延文3年(1358)の火災をはじめ、大きなものだけで8回にもおよぶ火災や、応仁元年(1467)から11年間続いた応仁の乱などで多大な被害を受けました。さらに明治時代には上知令で寺領を没収されるなど、紆余曲折を経て境内は縮小していったのだそう。現在の境内は約3万坪ですが、それでも京都の寺院では相当なスケール。それでは、その広大な境内のみどころたっぷりご紹介します。

国指定の史跡・特別名勝第1号の曹源池庭園

まずは、世界的にも有名な曹源池庭園。中央に曹源池を配した池泉回遊式庭園で、庭の後方に広がる嵐山や亀山を取り込んだ借景式庭園でもあります。

庭園が造られたのは約700年前。開山の夢窓国師が作庭し、現在も当時の面影を留めています。さらに庭園は国指定の史跡・特別名勝の第1号。これは景色の国宝のようなもので、全国に36箇所しかありません。

こちらは、大方丈内から見た庭園。借景の雄大な山々が庭園に溶け込んで、まるで一つの絵画作品のようです。ダイナミックでありながら調和のある美しさを感じます。

次に、方丈の縁側を降りて、池の前に立って見ると、先ほどよりも庭園の木々に臨場感が感じられ、個々の美しさが際立ちます。見る場所によっても全く違った美しさを楽しむことができるのも、大きな魅力ですね。池の水面のさざなみが美しく、心落ち着く時間が過ごせます。

庭園のみどころはまだまだあります。注目したいのが「龍門瀑(りゅうもんばく)」。「龍門瀑」とは、鯉が3段におよぶ滝の激流を登り、龍と化したという中国の故事「登龍門」に基づいて造られた滝石組を指します。通常の鯉魚石が滝の下に置かれているのに対し、曹源池庭園の鯉魚石は滝の真ん中横に置かれており、鯉が龍と化す途中を現す珍しい姿。こちらは、鯉でも登れない瀧を必死になって登ろうとしている鯉に負けないように、ひたすら修行をするという禅の理念を石組で表したとされています。また、池の名称の由来にも禅の思想が。「曹源池(そうげんち)」という名称は、国師が池の泥をあげた時、池中から「曹源一滴」と記した石碑が現れたところから名付けられました。「曹源一滴」とは、一滴の水が集まって川となり、やがて大海につながるという禅の教えが広がっていく様子を例えた言葉です。このような禅寺ならではの教えを知ると、庭園の見え方も変わってくる気がしませんか。

インパクト大の達磨図や迫力ある雲龍図などのみどころ

庭園のほかにも、達磨図や多宝殿、百花苑などチェックしておきたい場所が満載です。参拝ルートに沿ってご紹介します。境内を巡る前に気を付けたいのが、天龍寺の参拝区分と料金。天龍寺は、庭園(曹源池・百花苑)、諸堂(大方丈・書院・多宝殿)、法堂「雲龍図」の特別公開と、3つの参拝区分に分けられています。庭園参拝料は500円、諸堂を参拝される方は庭園参拝料に300円を追加、法堂「雲龍図」特別公開は庭園・諸堂参拝料とは別で500円が必要です。

それでは、諸堂参拝の流れをみていきましょう。こちらは、諸堂参拝の入り口となる、庫裏の玄関正面に置かれた達磨図。天龍寺の前管長(前住職)である平田精耕老師の筆によるもので、モチーフは禅宗の初祖・菩提達磨大師。達磨が伝えた禅の宗風を象徴しており、まさに天龍寺の顔。口をぎゅっと結んで上を見ている特徴的な表情や、ダイナミックな絵のタッチがインパクト抜群です。

ちなみに、書院の床の間には、現管長佐々木容道老師筆の達磨図が掛けられています。小さくても変わらないインパクト。近くでじっくり見ることができるので、見逃さないよう注意してください!

庫裏を過ぎると、次は大方丈へ進みます。写真は、大方丈の東西を仕切る襖の雲龍図。昭和32年(1957)に絵師の若狭物外によって描かれました。きらびやかな金色と龍の組み合わせが見事です。向かい側に広がる庭園の映り込みによって龍と庭園が一緒に楽しめるところもみどころ。この大方丈は、御本尊の木造釈迦如来坐像が安置されている場所です。木造釈迦如来坐像は天龍寺の造営よりもはるかに古い平安時代後期の作とされており、天龍寺に祀られる仏像の中で最も古い像。制作された具体的な年代や作成の背景などは謎に包まれているのだそうです。

大方丈のあとは、書院・回廊を渡って多宝殿を目指します。多宝殿は、後醍醐天皇が幼少の頃に勉学に勤しんだとも言われる場所で、現在は後醍醐天皇の尊像を祀る祠堂となっており、中央に後醍醐天皇の像、両側に歴代天皇の尊牌が祀られています。

また、多宝殿の横にあるのが、「平和観音と愛の泉」という地中よりわいた霊泉池。泉の中に平和観音を守るカエルが三匹並び、後ろに平和観音像が安置されています。このカエル像の前の万倍椀にお金を投げて入ると、倍になって返ってくるそう。ぜひ挑戦してみてください。

多宝殿を見学したあとは、百花苑へ。昭和58年(1983)に竹林へと続く北門の開設に伴い整備された苑路(園路)の百花苑。季節の草花が一面に植わっており、癒される空間が広がります。ここから北門を抜けると、観光名所である竹林の道や落柿舎などへつながります。

写真提供:天龍寺
写真提供:天龍寺

諸堂とは別に、特別公開でのみ参拝できるのが、法堂の天井に描かれたこちらの雲龍図。平成9年(1997)に、日本画家加山又造画伯によって描かれました。どこから見ても目が合う八方睨みの龍として有名。法堂は、土・日曜、祝日、春・お盆・秋の特別公開時にのみ入ることができます。今にも飛び出してきそうな凄まじい迫力に圧倒されること間違いなしですよ。

四季折々の天龍寺をご紹介

自然豊かな嵐山にあり、雄大な景色を借景とする庭園が広がる天龍寺では、季節ごとに美しい表情を楽しませてくれます。ここでは、四季折々の美しい景色をご紹介します。

まずは春。しだれ桜やソメイヨシノなど桜をはじめ、シャクナゲやツバキなど多くの花が境内を彩ります。

赤・オレンジ・黄色と鮮やかに色づく紅葉が満喫できる秋。緑の木々とのコントラストが美しいですね。

思わず魅了される白銀の世界。寒さを忘れる圧巻の景色が広がります。厳かでありながら、自然の表情が加わることによって、やわらかな雰囲気に包まれる境内。庭園の周りや境内のところどころには椅子が設置されているので、気に入った景色を眺めながらゆったりと自身のペースで参拝することができます。四季の花々や壮大な自然と向き合って、心をリフレッシュしてみては?

天龍寺へのアクセス

京都駅から天龍寺へ向かうには、電車の利用がおすすめです。天龍寺の最寄り駅である嵯峨嵐山駅までは、京都駅からJRで17分。嵯峨嵐山駅から天龍寺までは徒歩10~15分です。電車と徒歩で30分ほどなので、移動もスムーズです。
また、電車以外にバスでアクセスすることも可能。京都市バス28系統なら嵐山天龍寺前、京都バス72系統なら嵐電嵐山駅前が最寄りバス停です。どちらも京都駅からは約1時間かかりますが、バス停からは徒歩5分で到着できます。京都の景色を楽しみながらゆったりバスで向かうのも旅の思い出になりそうですね。

■天龍寺(てんりゅうじ)
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
TEL:075-881-1235
参拝時間:午前8時30分~午後5時(午後4時50分受付終了)
参拝料:
庭園(曹源池・百花苑):500円
諸堂(大方丈・書院・多宝殿):庭園参拝料に300円の追加
法堂「雲龍図」特別公開:通常参拝料別途500円※土・日曜・祝日のみ公開(春夏秋は特別公開期間あり)
駐車場:100台

Photo:櫛ビキチエ
Text:武田百加(エディットプラス)

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