【長野県】山岳リゾート・上高地で神秘の山々と清らかな水、木々の緑に癒される
日本を代表する山岳リゾート、上高地(かみこうち)。長野、新潟、富山、岐阜にまたがる中部山岳国立公園の一部で、長野県松本市の標高1500mのエリアに位置しています。清らかな水が流れる梓川(あずさがわ)、鏡のような水面が美しい大正池(たいしょういけ)、北アルプスの総鎮守の神域・明神池(みょうじんいけ)など、「神の降り立つ地(神降地)」といわれるにふさわしい神秘的で壮大な景色に出合えます。山や木々の緑に癒されながらハイキングを楽しみ、テラスレストランでゆったりひと休み。そんな山の休日を満喫してみませんか。
Summary
ハイキングのスタートは、上高地のランドマーク・河童橋から
上高地へは、年間を通じてマイカー規制が行われています。松本市方面からは、車なら沢渡(さわんど)駐車場より、電車なら松本駅から松本電鉄上高地線の新島々(しんしましま)駅より、それぞれシャトルバスかタクシーで向かいます。バスの終点は「上高地バスターミナル」。そこから300mほど歩いたところが、上高地のランドマーク・河童橋(かっぱばし)です。エメラルドグリーンの清流が美しい梓川に架かる河童橋は、長さ約36m、幅約3mの吊り橋。最初の橋がいつできたかは記録に残っていないそうですが、現在の橋は1997年に架け替えられた5代目なのだそう。
河童橋から梓川の上流を見れば、明神岳、前穂高岳、奥穂高岳、西穂高岳と、標高3000m級の秀麗な山々がそびえています。下流に目をやると、いかにも活火山らしいゴツゴツとした焼岳(やけだけ)が見え、その迫力に圧倒されます。暑い日には川辺に下りて、清流を眺めて涼む人の姿も。澄み渡った水に足をつければ、真夏でもひんやりとした水の冷たさに驚くはず。
目指すはパワースポット・明神池。梓川の上流に向かって歩こう
今回おすすめするのは、パワースポットとして知られる明神池(みょうじんいけ)を目指すコース。河童橋からは往復約5.5km、2時間ほど歩くため、スニーカーではなくトレッキングシューズで向かいましょう。
行きは梓川左岸(上流の明神に向かって川の右側)に延びる、2.5km(約50分)の道のりを進みます。上高地や北アルプスの自然を案内する上高地ビジターセンター、自然林に広がる小梨平キャンプ場を抜けると、新緑や紅葉の時期にはひときわ美しいカラマツの林、季節ごとに色とりどりの花が咲く湿性林へと続きます。
明神分岐を左に進むと、梓川に架かる吊り橋・明神橋が現れます。橋から見上げる明神岳最南峰の景色は圧巻です!
穂高神社奥宮の境内、明神池の神々しさに息をのむ
明神橋を渡った先、カラマツの森に囲まれた神秘的な池が、明神池です。穂高神社奥宮の境内にあり、一之池と二之池の大小2つからなる池。梓川の低地に明神岳からの湧水がたまってできた透明感あふれる水面には、澄んだ空と森の緑が美しく映ります。
穂高神社奥宮の御祭神は穂高見命(ほたかみのみこと)で、北アルプスの総鎮守、海運交通の守り神、結びの神として鎮座しています。毎年10月8日の例大祭には、平安装束に身を包んだ神官らが2槽の御船で明神池を巡る、荘厳な御舟神事(おふねしんじ)が行われることでも有名。
静寂のなか、そんな神聖な池を前に手を合わせて心静かに参拝すれば、パワーチャージも完了です。
風情ある嘉門次小屋でひと休みして、河童橋までUターン
明神池と穂高神社奥宮の参道脇にある「嘉門次(かもんじ)小屋」は、明治13年(1880年)、日本近代登山の父といわれるウォルター・ウェストンの山案内人、上條嘉門次が漁小屋として建てたところ。現在は食堂と小さな宿として営業していて、往時の面影を残す囲炉裏で香ばしく焼いたイワナの塩焼きが名物です。信州産リンゴ100%のジュースやコーヒーで喉を潤し、ひと休みしましょう。
河童橋まで約3km(約60分)の復路は、梓川の右岸(下流の河童橋方面に向かって右側)に沿って歩いてみましょう。針葉樹林の中に続く木道を歩き、小さな木の橋をいくつか渡ると、岳沢湿原(だけさわしつげん)が現れます。原生林に囲まれた小さな湿原は、どこまでも透き通った清らかな水で満たされ、日が射すといっそうまばゆく光ります。鳥のさえずりに、沢のせせらぎ。なんとも穏やかな気持ちでリラックスできるスポットです。
穂高連邦を一望する爽快なテラスレストランで、バーベキューを満喫!
河童橋まで戻ってきたら、橋のたもとに立つ「上高地 ホテル白樺荘」でご褒美ランチを楽しみましょう。白樺荘は、1927年に開業した老舗ホテル。創業90年を機に自然素材をふんだんに取り入れた和モダンな装いにリニューアルし、2018年にはレストラン「ラ・ベルフォーレ」に開放的なテラスがオープンしました。広々としたテラス席からは、悠々とそびえる穂高連邦を一望!四季折々の山の眺めと、清涼な空気も最高のごちそうです。
上高地は国立公園かつ文化財(特別名勝)に登録されているため、キャンプ場を含め直火はNG、ゆえにバーベキューできるところはとてもレア。ここ「ラ・ベルフォーレ」では、なんとテラス席限定で、贅沢なバーベキューメニューを用意しています。おすすめは、信州牛サーロイン150g。鉄板でさっと焼いて味わえば、まろやかなうま味が口中に広がり、甘い脂が舌の上でとろけていきます。
1週間かけて仕込むという信州牛ビーフカレーも絶品です。深いコクのある欧風カレーに、ごろりと入った牛肉の軟らかさをぜひご賞味あれ!
ホテルの名物スイーツもお忘れなく。注目は、20年来のロングセラー、直径10cmのジャンボモンブランです。香り豊かなマロンペーストの中には、しっとりスポンジと生クリーム、土台はメレンゲ。軽やかな口どけで、1人でもぺろりといけるおいしさです。
自家製アップルパイは、安曇野の提携農家のリンゴをコンポートにして、カスタードクリームとともにサクサクのパイに閉じ込めたもの。ホテルショップとオンラインで年間3〜4万個売れるという大人気のアップルパイ。爽やかなテラスでいただく味は、また格別です。
季節限定のドリンクもおすすめです。ソルベと雪どけサイダー、地元産ブルーベリーを合わせた「deep Breath」は、ほおずきジャムを加えて味わうノンアルコールカクテル。清涼感あふれる1杯で喉を潤しましょう。
■上高地 ホテル白樺荘 ラ・ベルフォーレ(かみこうち ほてるしらかばそう ら・べるふぉーれ)
住所:長野県松本市安曇上高地
TEL:0263-95-2131
営業時間:11〜15時(ランチ13時30分LO、カフェ〜14時30分LO)
定休日:4月下旬〜11月15日の開山期間中無休
もうひとつのみどころ、リフレクションが美しい大正池へ
ランチやスイーツを堪能したあとは、もうひとつのみどころ、大正池を目指しましょう。梓川右岸コースは約3.8km(約1時間15分)、左岸コースは約4km(約1時間20分)ほど。初心者でも歩きやすい遊歩道が整備されたコースで、魅力的なスポットもたくさんあります。
白樺荘を出たら、明神池とは逆の下流に向かって、梓川沿いを進みます。森林浴を楽しみつつ20分ほど右岸を歩くと、ウェストン碑に到着。上高地の魅力を世界に広めた功績を称えて作られた、英国人宣教師ウォルター・ウェストンの碑のレリーフ(浮彫胸像)です。
さらに10分ほど進むと、穂高橋と田代橋が。澄み渡った梓川の水がなんとも涼やかに目に映ります。このあたりで体力が尽きてきた……という人は、近くの帝国ホテル前バス停からシャトルバスに乗ることもできますよ。
田代橋から20分ほど。林の中にぽっかりあいたような田代湿原は、湿原越しに穂高連邦が見渡せる、上高地でも珍しいビュースポットです。秋には草紅葉やカラマツの黄葉がきらめきます。
湿原の木道から少し歩くと、穏やかに広がる田代池に到着。澄んだ水面に、小さな鳥が何羽か休んでいます。ここから眺める穂高の山並みも、また絶景です。
田代池からさらに遊歩道を20分進めば、ゴールの大正池に到着です。大正4年(1915年)の焼岳の噴火により、一夜にして姿を現したという大正池。穂高連邦と焼岳の壮大なパノラマビューと、山々を映し出す水鏡の美しさは、ため息が出るほど。沢渡駐車場、新島々駅方面に帰る場合は、近くの田代池バス停からシャトルバスに乗りましょう。
上高地の秋は、紅葉ならぬ黄葉(木々の葉が黄色に色づくこと)が美しい季節。10月中旬〜下旬には、山麓の緑、中腹の黄色、山頂の冠雪の白という見事な三段黄葉が楽しめることも。11月になると、梓川沿いのカラマツが一斉に黄金色に染まります。準備は万端に、上高地ならではの大自然を五感でたっぷり楽しんでくださいね!
■上高地(かみこうち)
住所:長野県松本市安曇安曇上高地
TEL:0263-95-2433(上高地インフォメーションセンター)
営業時間:8~17時
定休日:4月下旬~11月15日のみ開山
Text:塚田真理子
Photo:蒲生善之、松本千尋
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