「平等院」鳳凰堂でおなじみの世界遺産のみどころやアクセスを紹介|京都宇治
10円硬貨に描かれている鳳凰堂でおなじみの世界遺産・平等院。茶どころとして有名な京都府宇治市にあり、京都観光の際にはぜひ足を延ばしたい寺院の一つです。鳳凰堂をはじめとするみどころや京都市内からのアクセスなど、拝観前に押さえておきたい情報をたっぷりお届けします。
Summary
藤原摂関家の栄華の象徴 浄土への憧れが込められた鳳凰堂
平等院の創建は、藤原摂関家が栄華を極めた永承7年(1052)のこと。お釈迦様の教えが衰退する「末法」の始まりの年と信じられ、極楽浄土への往生を願う浄土信仰が広がっていたことから、時の関白・藤原頼通が父・道長から受け継いだ別荘を寺院に改め、「平等院」と名付けます。
本尊・阿弥陀如来坐像をまつる鳳凰堂は、創建の翌年に落慶。正式には「阿弥陀堂」といいますが、左右対称の外観が翼を広げた鳥のように見えること、屋根の上に1対の鳳凰が据えられていることなどから、江戸時代の初め頃には「鳳凰堂」とよばれるようになりました。
池の水面に浮かんでいるような優美な姿は、極楽浄土の宮殿さながら。極楽往生を願った平安時代の人々の思いが、現代の私たちにも伝わってきます。
鳳凰堂内部に鎮座する本尊・阿弥陀如来坐像(国宝)は、平安時代最高の仏師とうたわれる定朝の作。定朝が手掛けたと伝わる現存の仏像のなかで、確実に彼の作品と特定できるのはこの1体だけなのだとか。堂内の拝観もできるので、ぜひ自分の目で迫力を確かめてみて(鳳凰堂内部の拝観は別途300円。9時30分~16時10分の20分毎に案内※各回定員50名(先着順)。受付時間は9時~)。
鳳凰堂前の阿字池を取り巻く庭園は、極楽浄土を地上に再現した「浄土式庭園」の最高傑作。春はサクラ・フジ、初夏は新緑、秋は紅葉と、四季折々に表情を変えて目を楽しませてくれます。
取材時は、鳳凰堂南側のサルスベリが満開でした。サルスベリは、阿字池の底にある平安時代中期の地層から花粉が見つかっており、当時も池の近くに植えられていたのではないかと考えらえています。かつては道長や頼通もこんな眺めを楽しんでいたのかもしれませんね。
古刹ならではのみどころで歴史ロマンを体感
平等院の魅力は鳳凰堂だけではありません。創建から千年以上を数える古刹とあって、境内には歴史を感じるみどころが多数。中でも、滋賀の三井寺、京都の神護寺と並んで日本三名鐘の一つに数えられる梵鐘は必見です。
三井寺の鐘が音色、神護寺の鐘が銘文の見事さで讃えられるのに対し、平等院の鐘は形や装飾の美しさが魅力。獅子や天人などの浮彫は息をのむほど繊細で、今にも動きだしそうな躍動感が伝わってきます。
歴史好きならぜひ見ておきたいのが、表門付近にある「扇の芝」。治承4年(1180)、以仁王(もちひとおう)を擁して平家追討の兵を挙げた源頼政が、宇治橋で平家の軍勢を迎え撃った末に自刃したと伝わる場所です。塔頭の最勝院には頼政の墓も残り、源平合戦の時代を偲ぶことができます。
阿字池の南側に立つ六角堂は、明治時代の鳳凰堂大修理の際に出た古い柱材を再利用した建物。柱には、貫(ぬき:柱と柱をつなぐ横木)を通した穴が開いており、赤い塗装も残っています。柱の間から望む鳳凰堂は格別の眺めで、フォトスポットとしても人気です。
ミュージアム「鳳翔館」で目の前に迫る国宝に感動!
境内を巡ったあとは、平等院ミュージアム「鳳翔館」へ。先ほど紹介した初代梵鐘(国宝)や、鳳凰堂の名前の由来となった鳳凰像(国宝)といった貴重な文化財、創建当時の鳳凰堂内部を再現した部屋など、臨場感あふれる展示で平等院の魅力を深掘りできます。
中でも人気なのが「雲中の間」。鳳凰堂中堂内の三方の壁に並ぶ52体の雲中供養菩薩像(国宝)のうち、半数を展示しています。高さ50~70cmほどの菩薩像たちは、楽器を演奏していたり、楽しげに舞を踊っていたり、厳かに合掌していたりと、ポーズも表情もさまざま。自分だけのお気に入りを見つけるのも楽しみ方の一つです。
見学後は、ミュージアムショップも要チェック。平等院の文化財をモチーフにした文房具やバッグ、お香など、センス抜群のオリジナルグッズが揃っています。
鳳凰堂の天井や須弥壇などを飾る宝相華(ほうそうげ)文様があしらわれたマスキングテープ2個入550円。手帳や小物を華やかに彩ってくれるので、自分用としてはもちろん、ちょっとしたおみやげにもぴったりです。
「茶房 藤花」の宇治茶とお菓子でほっとひと息
最後は、ミュージアムに隣接する「茶房 藤花」へ。上質な宇治茶とお茶菓子で一服し、拝観を締めくくりましょう。
おしゃれなグラスで提供される「宇治 玉露、冷茶」900円。ひと口含んだ瞬間に濃厚な甘味とうま味が花開きます。2煎目からは自分でいれられるので、お好みの濃さでゆっくりと味わって。
温かい「宇治 抹茶」600円もおすすめ。注文を受けてから丁寧に点ててくれるので、なめらかな口当たりとふくよかな香りが楽しめます。店長が職人さんを訪ねて特注したというこだわりの器も、お茶のおいしさを引き立てます。
季節ごとに替わる限定のお菓子にも注目を。夏季限定の「紫雲」550円は、雲中供養菩薩が乗る雲をイメージした一品です。ほのかに甘い白羊羹に、鮮やかなグラデーションが入った錦玉を合わせ、金粉を散らした涼しげなビジュアルがフォトジェニック!視覚と味覚で堪能し、極楽浄土に思いを馳せてみて。
拝観の所要時間やアクセスは?
みどころいっぱいの平等院をじっくり巡るなら、1時間~1時間30分が目安です。鳳凰堂内部を拝観する場合は、待ち時間を考慮して、プラス30分~1時間ほど余裕を持たせるのがよいでしょう。先に拝観受付を済ませておき、順番待ちの間に境内を巡るなど、効率のよいプランニングを心掛けましょう。
京都市内から平等院へのアクセスは、電車が便利です。京都駅からJR奈良線みやこ路快速に乗車し、宇治駅まで約20分。河原町方面からは、三条駅か祇園四条駅で京阪本線特急に乗車。宇治線を経由して約30分で京阪宇治駅に到着します。
各線宇治駅から平等院までは徒歩10分ほど。参道には宇治茶の老舗やみやげ物店が並んでいるので、参拝の前後に散策を楽しむのもおすすめです。
住所:宇治市宇治蓮華116
TEL:0774-21-2861
拝観時間:8時30分~17時30分(17時15分最終受付)、平等院ミュージアム鳳翔館は9~17時(16時45分最終受付)、茶房 藤花は10時~16時30分(16時LO)
拝観料:600円
駐車場:なし(近隣の駐車場を利用)
Photo:増田えみ
Text:安岡遥(エディットプラス)
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