人形町「東京洋菓子倶楽部」の一日限定100個・ユニークな形のモンブラン
昭和62年(1987)創業の日本橋浜町にある「東京洋菓子倶楽部(とうきょうようがしくらぶ)」。昭和の雰囲気がそのままに感じられる、どこか懐かしい趣のあるケーキ店です。こちらでは看板メニューであるモンブランをはじめ、常時20種類以上のケーキと洋菓子をテイクアウトできます。今回ピックアップするのは、創業当時から変わらずあるモンブランと渋皮マロン、そしてチョコレートのケーキ・ショコラです。
昔懐かしい、昭和からあるケーキ店
浜町駅から徒歩2分、人形町駅から徒歩5分。昭和の風景とオフィス街が同居する日本橋浜町エリアに「東京洋菓子倶楽部」はあります。創業は、昭和62年(1987)。今年で36年を迎えます。浜町駅から歩き「金座通り」を渡ると、赤く丸いテントが4つ並んでいる外観が見えてきます。
お店は、朝の10時にオープン。モンブランをはじめとした人気のケーキは、早いときは夕方にはなくなってしまうというから、確実に手に入れたいなら午前中の来店がおすすめです。当日に電話して取り置きすることも可能だそうです。モンブランは、一日100個限定。長いショーケースの向かいには、数々の焼き菓子が。
白を基調とした店内は、なんだか宮殿のよう。創業35年以上経っている老舗ですが、清潔感のある開放的な雰囲気です。見上げると、すてきなステンドグラスが。
入り口右奥にはイートイン用のテーブルがあり、その上には立派なシャンデリアがあります。かつてはイートインもできましたが、残念ながら現在は喫茶営業を休止中。ぜひ復活してもらいたいものです……!
一番人気のメニューは創業当時からある山型のモンブラン
こちらが看板メニューのモンブラン。よく見るモンブランの形状とは違い、クリームが山型に塗られています。まるで花のつぼみのようでかわいらしい!こちらは一代目がお店を作ったときにイタリアのレストランで出合ったものにインスパイアされたのだとか。ちょうど日本でもモンブランが出始めたころでしたが、線状にマロンペーストをしぼるのではなく何かユニークなことができないか、と考えたときに「イタリアで食べたあのデザートを模したい」という思いで、再現されたそうです。
時代に合わせて少しずつリニューアルはしているものの、36年前にお店を創業したころから基本的に味の配合は変えずに当時のままの味を継承しているというこちらのモンブラン。厳選した蒸し栗を使用しており、上品な甘さが感じられる逸品です。冬の季節には、コーヒー味の「モカモンブラン」600円も登場するそう。楽しみ!
美しく塗られたマロンペーストは、渋皮マロン、白あん、ホワイトチョコなどを練り上げたなめらかな口当たり。健康食材である「オリゴ糖」もプラスされているという気配りようです。ひとつひとつ職人が手作業で伸ばし、丹精込めて作り上げられています。
断面を見てみると、ロールケーキに支えられた密度の高いクリームの姿が。ほかのモンブランにはあまりない、下の土台をロールケーキにしている珍しい構造となっています。卵をたっぷりと使ってふんわりと焼き上げた口溶けのいいロールケーキは、バターを一切使わず、代わりにコレステロール0%の「グレープシードオイル」が使われているため、ビタミンEとオレイン酸が豊富。ローカロリーで身体にやさしく、重すぎず軽くいただくことができます。クリームには、バニラビーンズをぜいたくにカスタードクリームと生クリームを同じ割合で配合。隠し味として生クリームから作ったリキュールを加えているため、芳醇な香りを楽しむことができます。
原料にこだわっているだけあり、濃厚なのに、軽い。そして、味わいはシンプルそのものです。今やさまざまな趣向を凝らしたモンブランにお目にかかれますが、このシンプルな味は、やっぱりたまに戻ってきたくなるものです。
常時20種類以上!「推しケーキ」を探してみよう
夢のような長いショーケースには、常時20種類以上の美しいケーキが並びます。人気のものは夕方には売り切れてしまうというから、早めに訪れたいですね。開店と同時に取材をスタートしましたが、すでに目当てのものを買いにお客さんが訪れている姿が見られました。
モンブラン以外のケーキにも注目です。こちらは生クリームとカスタードをブレンドしたクリームの上に、こんもりと渋皮マロンペーストがのっている「渋皮マロン」。モンブランと同じく栗を使っているので味わいが似ている?と思い食べ比べてみると、まったく別物。
渋皮をそのままに残しているので渋みがありつつも、クリーム感もたっぷり感じられる満足な甘さと濃厚な風味。モンブランと食べ比べてみると、こちらのほうがより栗の風味を強く感じるような気がしました。使っている栗の種類も違うということなので、ぜひ食べ比べてみては。
こちらもおすすめという、ココアのバター生地に濃厚ガナッシュをサンドしたチョコレートケーキ「ショコラ」。ほろ苦い味わいで、ビターな風味が好きな人におすすめだそうです。かわいらしい丸型チョコレートに金粉がキラキラと光っているのも、心躍ります。
こうして3つのケーキをテーブルに並べると、なんて幸せな光景。現在はテイクアウトのみなので、自宅で好きなドリンクと一緒にお気に入りの器にのせて味わう……なんて楽しみ方もいいですね。
いろいろ気になるケーキがありましたが、こちらの「浜町ちーず」もひときわ目立っていました。しっとりとしてコクのあるチーズの風味が感じられる、小判型のスフレチーズケーキです。クリームチーズの酸味がさわやかで、ワインやブランデーにも合いそう。
焼き菓子も豊富に揃っているので、おもたせにも重宝します。箱に入れてリボンをかけてくれるのも、どこか懐かしい感じがして手渡す方もいただく方もうれしいですね。店頭にてスタッフさんに伝えると、1000円くらいから好みの内容で詰め合わせすることもできますよ。
最近ではネット販売も始めたという「東京洋菓子倶楽部」。「モンブラン」や「浜町ちーず」もオンラインで買えて便利ではありますが、昭和からそのまま続く雰囲気の中でケーキを選ぶ特別な時間は、お店でしか味わえません。人形町さんぽも兼ねて、ぜひ足を運びたいお店です。
Text:松崎愛香
Photo:斉藤純平
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