泊まる
2023.09.25
熊野古道沿いに立つ開創1200年超の禅寺に泊まり、テントサウナや棚田観賞、ビーチクリーニングを体験！【Temple Hotel 大泰寺（和歌山県 那智勝浦町）】
和歌山県那智勝浦町は、世界文化遺産に登録される那智の滝や熊野古道のほか、源泉数県内一を誇る温泉や、生鮮マグロの水揚げが盛んな勝浦漁港など、歴史と自然、グルメを堪能できる屈指の観光地。霊験あらたかな山間部から農村、海までの豊かな景観や体験が楽しめます。そんな町にある開創1200年以上の禅寺「大泰寺」は、宿泊できるお寺「Temple Hotel 大泰寺」として注目を集めています。お勤めや坐禅などお寺ならではの体験ができるほか、郷土料理作りや、川沿いのテントサウナ、山でのトレッキング、海でのビーチクリーニングなどが体験できて、自分自身を見つめ直すきっかけとなりそうです。
Summary
1200年超の禅寺に泊まって
静かに自分と向き合う経験を
Temple Hotel 大泰寺（宿泊）
「Temple Hotel 大泰寺」は、その名のとおり、宿泊ができる禅宗のお寺。「大泰寺」は比叡山の開祖・最澄によって開かれた薬師霊場で、地元の人々を苦しめる大蛇を封じるために最澄が柳の木に薬師如来を彫り上げ、祭ったのが始まりといわれています。「寺はかつて、子どもから大人までさまざまな人が集まる場でした。昔のように寺をもっと身近に感じてほしい」との思いで西山十海住職が歴史あるお寺を宿泊できる施設にしました。ここでは、朝のお勤めや坐禅などお寺ならではの体験のほか、熊野地方の伝統料理のめはり寿司作りやトレッキング、ビーチクリーニングなどが体験できます。
客室は、客殿と離れの2つのみ。最大でも2組の宿泊となるので、プライベート感たっぷりです。客殿は、入口の受付のすぐそばにあり、襖を開けると広々とした和室。奥に5部屋続き、それぞれが異なる雰囲気になっています。定員は8名なので、仲間や家族との旅行におすすめ。食事は付きませんが、住職おすすめの地元の飲食店へ出かけるのも楽しみの一つです。また共有スペースの食堂にある、電子レンジやトースターは自由に使えます。
客殿でのんびりしたら鐘撞体験にチャレンジ。鐘は境内の小高い場所にあり「開運の鐘」とよばれていて、大泰寺のある太田地区に時刻を知らせる鐘としても地元の人に親しまれています。毎日17時から煩悩の数に見立て18回鐘を鳴らします。煩悩の数は108ですが、毎日鳴らすと大変なので真ん中の0を取って18回鳴らすそう。思ったより鐘棒が重く、みなさん鐘の真ん中に当てるのに苦労するとか。またこちらの高台からは夜空も美しく、天気のいい日には天の川が見えたり、流れ星が簡単に見つかったり、星を追いかけていると、時を忘れます。
お寺では、熊野地方の郷土料理「めはり寿司」作り体験1500円もできます。「めはり寿司」とは、刻んだ高菜を混ぜた、白米や寿司飯を高菜の葉で包んだもので、材料は、米、刻んだ高菜、高菜の葉、しょうゆ、うま味出汁といたってシンプル。かつて漁や山仕事の合間に手軽にエネルギーと塩分がとれる弁当として広まったといわれています。米と高菜を混ぜながら、しょうゆなどを少しずつ加え、味付けをしていきます。
味付けした米を高菜の葉で包みます。このとき、高菜の葉をしっかりと広げるのがポイント。包みやすいように丸く形を整えた後は、葉の中央に米をのせて左側から葉で包みます。左右を巻いたら上を巻き、最後は下から上に巻き上げると、あっという間に完成です。「めはり寿司」の名前の由来は「目を見張るほど大きくておいしい」こと（諸説あり）。大きさに圧倒されますが、塩味が絶妙でぺろりと食べられます。漁や農作業の人たちは、天候などで帰って来られなくなったときのため、保存がきく「めはり寿司」を一つ残して帰って来るという習慣があったそう。伝統料理を作りながら、豆知識なども教えてくれるスタッフとの会話も楽しみの一つです。
大泰寺にはお寺では珍しいサウナ 「リバーサイドサウナ」2時間5000円（要水着着用）もあります。住職によると「サウナでととのうは、坐禅で目指すところの悟りに近い感覚が得られる」とのこと。テントサウナは太田川の河川敷にあります。サウナでいい汗をかいた後は、目の前の太田川に入り、そのままテントのすぐそばのチェアに座って心身を整えます。リフレッシュにぴったりな体験。
大泰寺の薬師堂にはサウナおみくじもあり、サウナを楽しむコツのほか、禅語と解説が書かれています。「サウナだけではなく、寺にも参拝してほしい」という住職の思いから生まれました。禅語にもふれられて、新たな知識を習得できるのもいいですね。
翌朝は毎朝6時から本堂で行われている「お勤め体験」（2023年9月現在、無料）からスタート。住職のお経に耳を傾けて心を無にしていると、なんともいえない晴れやかな気分になります。本堂でのお勤めの後は、本尊薬師如来を祭る薬師堂に移動してお勤めを。太鼓が使われるため、本堂とはまた違った雰囲気です。お勤めの後は住職に質問することができて、お堂内の装飾や仏像についても教えてもらえます。
6時30分からは「坐禅体験」1000円も体験できます。坐禅堂で住職に丁寧に指導してもらいながら、取り組みます。足や手の組み方を一から教えてくれるので、初めての人でも安心です。何も考えずに約10分間、心を無にして坐禅を組みます。その後坐禅についてのあり方などの話を聞き、再び15分間坐禅。希望すれば棒で叩く警策（けいさく）を受けることもできます。意識的にパソコンやスマートフォンから離れる時間を作ったので、心も体もすっきりしました。
■Temple Hotel 大泰寺
住所：和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775
TEL：080-2781-3483
交通：那智勝浦新宮道路那智勝浦ICから車で約20分、またはJR紀伊勝浦駅からタクシーで約15分
チェックイン：15～21時
チェックアウト：10時
料金：素泊まり5000円～（大人2名1室利用時）
初心者でも楽しめるトレッキングで
雄大な自然を楽しむ
八郎山トレッキング（体験）
「Temple Hotel 大泰寺」ではお寺を拠点としたトレッキングも実施しています。今回は熊野古道・大辺路の一つで比較的低い八郎山を登るガイド付きのツアーに参加。八郎山は標高249.6mと難易度が高すぎず、初心者でも気軽にトレッキングが楽しめます。
緑豊かな大自然の中を進むと、途中、急な坂道や険しい道もありますが、ガイドさんが八郎山や自然の豆知識を織り交ぜながらゆっくりと道案内をしてくれます。所々に落ちている滑りやすい葉っぱはウバメガシの葉。ウバメガシは紀州備長炭の原木となっているそうです。
山道を登ること約1時間30分、頂上にたどり着きました。頂上からは紀伊半島や本州最南端の潮岬、那智勝浦町の町並みを見渡せます。空と海が繋がっているような景色を目に焼き付けたら下山です。行きと同様の道のりですが、帰りは下りとなるので比較的楽に降りることができました。
■八郎山トレッキング
住所：和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775（Temple Hotel 大泰寺で受付）
TEL：080-2781-3483（Temple Hotel 大泰寺）
交通：Temple Hotel 大泰寺までは那智勝浦新宮道路那智勝浦ICから車で約20分、またはJR紀伊勝浦駅からタクシーで約15分 ※Temple Hotel 大泰寺から登山口までは車で送迎
料金：3000円
どこまでも美しく連なる
広大な棚田や茶畑に心を奪われる
小阪の棚田 色川の茶畑（体験）
「Temple Hotel 大泰寺」から車で約30分の里山・色川（いろかわ）地区。こちらでは、名産の色川茶の生産や、シカやイノシシなどのジビエの解体・生産が行われています。また、色川地区は美しい棚田が有名な場所でもあります。なかでも色川小阪地区の棚田「小阪の棚田」が有名。約500枚の壮観な棚田で、農林水産省が認定する「つなぐ棚田遺産～ふるさとの誇りを未来へ～」に「南平野の棚田」「田垣内（たがいと）の棚田」など、６つの棚田とともに色川の棚田群として選ばれています。
「小阪の棚田」は、移住者や地元の農家により結成された「棚田を守ろう会」によって休耕していた田んぼを復活させ、米作りをしています。取材時、階段状に連なった棚田は、辺り一面が緑でしたが、季節によって表情は変わります。
「小阪の棚田」から西に車で約30分のところに、田垣内地区の茶畑「色川の茶畑」があります。規則正しく並んでいるのではなく、独自の波打つような形をした茶畑が続き、壮大な美しさに圧倒されます。ここで生産されるお茶は「色川茶」とよばれ、谷間の寒暖差とおいしい水で育んだ、まろやかな味わいが特徴。和歌山県を代表するお茶として人気を誇っています。
■小阪の棚田
住所：和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字小阪
TEL：080-2781-3483（Temple Hotel 大泰寺）
交通：那智勝浦新宮道路那智勝浦ICから車で約18分
■色川の茶畑
住所：和歌山県那智勝浦町垣内地区
TEL：080-2781-3483（Temple Hotel 大泰寺）
交通：那智勝浦新宮道路那智勝浦ICから車で約30分
青空のもと気分爽快！
引き潮の時だけ現れる神秘的な洞窟の探検も
ビーチクリーニング（体験）
南紀のベニスといわれるほど青い空と海が美しい浦神湾（うらがみわん）。そんな浦神湾の探検と、美しいビーチを守るためのビーチクリーニングも「Temple Hotel 大泰寺」に宿泊すると体験できます。浦神湾は山の麓にあるため車で移動し、車を降りた後はちょっとしたハイキング気分でビーチに向かいます。
ビーチクリーニングの所要時間は約1時間。ビーチは一見きれいに見えますが、よく見るとペットボトルや漁に使われる網が落ちています。わずかな時間とはいえ、ビーチがきれいになると清々しい気分になります。
ビーチを1時間ほど歩くと海蝕洞・耳ノ鼻洞窟にたどり着きます。耳ノ鼻洞窟は浦神半島の先端（鼻）にあるため、「耳ノ鼻海蝕洞」とよばれています。引き潮のときだけ入ることができ、洞窟内はひんやり。自然にふれる貴重な体験です。
■ビーチクリーニング
住所：和歌山県東牟婁郡那智勝浦町下和田775（Temple Hotel 大泰寺で受付）
TEL：080-2781-3483（Temple Hotel 大泰寺）
交通： Temple Hotel 大泰寺までは那智勝浦新宮道路那智勝浦ICから車で約20分、またはJR紀伊勝浦駅からタクシーで約15分 ※Temple Hotel 大泰寺から浦神湾に続く山道の登山口までは車で送迎
料金：3000円
和歌山のクラフトビールも！
駅チカのおしゃれなカフェ＆バー
Ｗine Kumano（食）
JR紀伊勝浦駅のすぐそばにたたずむカフェ＆バー「Wine Kumano」。「那智勝浦町にない店を作ろう」というオーナーの考えのもと、2022年3月にオープン。ナチュラルワインやクラフトビール、カクテルなどのアルコールとそれに合うおつまみのほか、コーヒーやチャイなども扱っています。観光客も、地元の人も気軽に立ち寄れるお店です。
店内は熊野古道の石畳をイメージしたカウンター席が4席、テーブル席が10席。カウンターの奥に並ぶワインやジュースの瓶を見て「あれは何のドリンクですか？」とスタッフにおすすめを聞きながら注文を決めるのも楽しみの一つです。
今回注文したのは、「ポテトサラダ」770円＆「ナチュラルワイン（白）」1080円と、「チキンバスケット」1280円＆「クラフトビール・ITALIAN PEELS」1080円の組み合わせ。ナチュラルワインは酸化防止剤などをいっさい使わずに作られており、風味は独特ですが、爽やかで飲みやすさ抜群です。ポテトサラダは、ピリ辛の「毛沢東スパイス」がアクセントで、温泉卵とよく絡めるのがポイント。チキンバスケットは揚げたてのチキンとポテトフライがバスケットにたっぷり。自家製のヤンニョムソースと、タルタルソースを付けていただきます。
クラフトビールは常時2種類を用意。クラフトビールの「ITALIAN PEELS」は和歌山県の有田川町のブルワリー「NOMCRAFT BREWING」のもので、みかんやレモンなど柑橘類を配合した、すっきりとした味わいです。ナチュラルワインとクラフトビールも堪能して、素敵なディナーになりそうです。
■Ｗine Kumano
住所：和歌山県那智勝浦町築地4-1-1
TEL：0735-29-6024
交通：JR紀伊勝浦駅からすぐ
営業時間：18～22時（土・日曜は12時～）
定休日：不定休
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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