【おとなのソロ部】表参道「Artek Tokyo Store」で憧れの北欧家具をお迎えして、おうちひとり時間を格上げ♪
旅好きなら誰もが、住んでみたい憧れの国があるはず。おうちでのひとり時間を充実させるために、そんな憧れの国に暮らしているような海外風インテリアに挑戦してみませんか?今回は、日本住宅との相性がいい北欧インテリアを自分の部屋に取り入れるべく、フィンランドのインテリアブランドの日本直営店「Artek Tokyo Store(あるてっく とーきょー すとあ)」にお邪魔しました。北欧インテリアを叶えるアイテムやコツをご紹介します。
Summary
フィンランドのインテリアブランド「Artek」の日本初直営店へ
東京メトロ表参道駅から徒歩5分の場所にあるのが、インテリアショップ「Artek Tokyo Store」。表参道から1本入った通りにあるので、表参道の喧騒が嘘のように静か。店構えからすでに、北欧のシンプルで清涼な雰囲気が漂っています。
「Artek Tokyo Store」は、フィンランドが生んだ建築界の巨匠、アルヴァ・アアルトを中心に1935年に創業したインテリアブランド「Artek(あるてっく)」の直営店です。本国・フィンランド以外の海外直営店として唯一の店舗なので、遠くてフィンランドまではなかなか行けない…というアジアのアアルトファンが、東京観光にあわせて足を運ぶことも少なくないとか。
1階に雑貨類が、地下1階に家具類が並んでます。オンラインショップでの購入も可能な時代ではありますが、家具となるとサイズや座り心地などの使用感を確かめたい人が多いとのこと。なかでも地下1階は、地下とは思えない明るくて開放的な空間にリビングやダイニング、寝室などをイメージさせる展示があり、見ているだけでも夢が膨らみます。
また、直営店ならではのサービスとして注目なのが、スツールの傑作「スツール 60」のカスタマイズが楽しめる「STOOL WORKSHOP」コーナー。3本の脚と丸い座面の色を好きなように組み合わせることができ、アアルトファン垂涎のサービスです。
店内には「Artek」の家具のほかにも、アアルトと同じ志やコンセプトを感じるブランドの取り扱いもあります。北欧インテリアの家具や雑貨を、幅広く探すことができますよ。
20世紀を代表する建築家、アルヴァ・アアルトとは?
「Artek」創業者アルヴァ・アアルトは、1898年フィンランドに生まれ建築家となり、1976年にこの世を去るまで300以上の建物を設計しました。その有機的なデザインは、今でも世界中で高く評価され、多くの建築家やデザインに携わる人々に影響を与えています。
フィンランド・ヘルシンキには、「アカデミア書店」など気軽に見学できるアアルト建築もありますが、「アアルト自邸」やオフィス「アアルトスタジオ」のガイドツアーもおすすめ!
建築家だったアアルトは、“建築と家具は補完し合うもの”と考えていたため、建物の設計と合わせて家具デザインも行っていました。スツールの傑作「スツール 60」も、図書館などのパブリックスペースで誰もが座りやすく汎用性が高いスツールとしてデザイン。建築家だけでなく、プロダクトデザイナーとしての才能も発揮し、数々の名作を世に生み出しました。
お迎えしたい北欧家具とインテリアのヒント
■スツール
続いて、スタッフさんにおすすめの「Artek」の家具を聞き、北欧インテリアのコツを教えてもらいましょう。まずは、この一脚さえ部屋にあれば、北欧インテリアに近づける!という「スツール 60」をチェック!
アアルトが1933年にデザインした「スツール 60」は、アアルトデザインの家具のなかでもアイコン的な存在です。シンプルなデザインですが、最も革新的なのが「L-レッグ」とよばれる曲げ木の技術。木の合板を重ねて曲げる技法はありますが、それでは強度が低くなり、経年変化で剥がれる可能性も…。
そこで1本のフィンランドバーチ(白樺)の上部を合板のように作り曲げる、という曲げ木の技術を発明したのです。モダニズム特有のスチールパイプが主流だった1920〜30年代、こんなふうに木を曲げることができ、さらに強度も保てるなんて、どれほどの発見だったか想像するとゾクゾクします!
「スツール 60」はデザインのすばらしさと同時に、ものづくりの点でも優れています。自国フィンランドの名産である白樺の木「フィンランドバーチ」を使って量産できること、1本のフィンランドバーチを無駄なく使って作れるスツールであること(木くずは製造工場の暖炉の燃料に!)など、今を生きる私たちが見習うべきサステナブルなものづくりが続けられています。
スツールの傑作「スツール 60」は、今年(2023年)で誕生から90周年を迎えました。そんなアニバーサリー・イヤーに北欧家具をおうちにお迎えするならとおすすめいただいたのが、90周年アニバーサリーモデル「スツール 60 ロイム」です。
「ロイム」とはフィンランド語で「炎」の意味があり、炎のような模様に見えるフィンランドバーチの部位を座面に採用。日本でも「虎杢(とらもく)」や「虎杢目(とらもくめ)」とよばれる木の個性的な表情なのですが、商品の均一化をよしとした時代には省かれてきた歴史も……。
スタッフさんいわく、90周年は原点に立ち返り、木のよさ、技術のすばらしさを表現するアニバーサリーモデルを制作しているそう。こちらの「ロイム」は、いくつか発表されている90周年モデルの一つですが、すでに大人気だとか。
人気の理由は、自分でオイル仕上げができる点にもあるようです。無塗装のスツールを同梱されているオイルを使って自分でオイル仕上げができ、オイルを塗るたびに美しい炎の木目が浮かび上がります。北欧の森を自宅で感じられるコンセプトに脱帽です。
3本の脚を座面にネジ止めするだけで誰でも簡単に組み立てられる「スツール 60」は、イスとしてだけでなく、ベッドやソファ脇のサイドテーブルにしたり、花瓶やインテリア雑貨を飾るミニテーブルにしたり、幅広く使えるのがうれしいポイント。スタッキング姿も美しいので、来客用のイスとして部屋の片隅に数脚置いておくのも素敵ですよ。
「Artek」では、古い家具を回収し、一点ものとして再販するプロジェクト「2nd Cycle」を実施中。廃校になる学校や閉館する図書館などから「Artek」の家具を回収し、重ねた年月を美しさとして再び販売しています。
アアルトが目指したロングライフなものづくりを体現する取り組みですが、名品とは何代にも渡ってバトンのようにまた愛してくれる人の手に渡るのだなあと、アアルト家具のすごさを体感しました。この一脚があれば、北欧家具=アアルトの精神を部屋に飾ることができますよ。
■テーブル&チェア
続いてのおすすめは、テーブル&チェアです。コロナ禍以降、リビングなどのワンフロアをいくつかのゾーンに分けるインテリアの需要が高まっているとのこと。上の写真のように窓際や壁際を活用する半円型のダイニングテーブルや、下の写真のようにパーテーションで区切るリモートワークス―ペースなど、このようなテーブル&チェアの活用が増えているそう。
北欧の人々は、昔からワンフロアのなかに家具や照明を上手に配置して、ゾーニングするのが得意。店内の展示例を見ていると、「これをこう使えばいいのか〜」という発見がたくさんあります。
■照明
最後は、北欧インテリアに欠かせない照明です。アアルトデザインのペンダントライトやフロアライトがありますが、注目したいのがその活用法。北欧では、写真上のようなダイニングテーブル1台に対して、テーブル上から高さ約50~55cmにペンダントライトを吊るすのが一般的だそう。
日本と違い、天井の照明で部屋全体を隅々まで照らすことはなく、ゾーニングが上手な北欧らしく、それぞれのゾーンに合う照明を配置します。部屋の中に、いくつかの暖色系ライトがほのかに灯るようなイメージです。ダイニングテーブル上の照明を替えるだけで、一気に北欧らしさがアップしそうです。
まだある!北欧インテリア雑貨の世界
家具や照明以外にも、アアルトや「Artek」デザインのインテリア雑貨はまだまだあります!部屋を北欧インテリアに模様替えするのに役立つ商品をご紹介します。
まずは、アアルトがデザインしたテキスタイルパターン「シエナ」シリーズ。アアルト夫妻が気に入って何度も訪れたイタリアの街・シエナの「シエナ大聖堂」に着想を得たといわれるモチーフです。クッションカバーのほかにも、食器を運ぶトレーやティータオル、エプロン、ポーチなど商品ラインアップとカラー展開が豊富。10cm以上から10cm単位で購入できるファブリックを買って、テーブルクロスなどにするのも素敵です。
続いて、「シエナ」同様に人気のテキスタイルシリーズ「ゼブラ」。アアルトの妻・アイノが世界を旅するなかで見つけたモチーフで、「アアルト自邸」の写真を見ると、このゼブラ柄のラウンジチェアに目が留まります。
こちらの「アアルト ベース」は、北欧好きなら誰もがピンとくる世界的にも有名なガラス作品の一つ。有機的なデザインは、雲?湖?白樺の断面?など諸説あり、アアルトファンを熱くさせるプロダクトでもあります。現在も手吹きで1点ずつ作られる名品中の名品。
1枚で簡単に北欧インテリアに模様替えできちゃうのが、こちらのアアルトのアートポスター。展覧会の告知ポスターでありながらアートを感じる1枚です。アルヴァ・アアルト財団が所蔵するオジリナルを複製したポスターで、アアルトのスケッチをデザインしたものもあります。
最後に、筆者が個人的に気になった商品をご紹介します!
スツールの傑作「スツール 60」から、アアルトデザインを覚えるのに最適な「メモリーゲーム」まで、幅広いラインアップに驚くばかり。アアルトが考える“人に長く寄り添うロングライフなデザイン”の名作がたくさん詰まった「Artek Tokyo Store」は、北欧インテリアの模様替えを考えながら歩くのに最適な一軒でした。
“北欧の賢人”とも称されるアアルトは、今年(2023年)で生誕から125周年を迎えました。アニバーサリーにあわせるかのように、同じく「Artek」の創業者である妻アイノ・アアルトとの関係性にもふれる映画『アアルト』が東京では公開中です(2023年10月時点)。
■Artek Tokyo Store(あるてっく とーきょー すとあ)
住所:東京都渋谷区神宮前5-9-20 1F・B1
TEL:03-6427-6615
営業時間:11〜19時
定休日:火曜
■おすすめの利用シーン:ひとりで買物に没頭したいとき、ひとりでおうちの模様替えを考えたいとき、ひとりで北欧インテリアの空間に浸りたいとき
Text:山田裕子(editorial team Flone)
Photo:斉藤純平(editorial team Flone)
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。