【おとなのソロ部】兵庫・芦屋にある「ヨドコウ迎賓館」で近代建築巨匠が手がけた洋館を堪能するひとり時間

【おとなのソロ部】兵庫・芦屋にある「ヨドコウ迎賓館」で近代建築巨匠が手がけた洋館を堪能するひとり時間

おとなのソロ部 おひとりさま ソロ活動 ソロ 洋館 建築
Twitter Facebook LINE はてなブックマーク Pocket

兵庫県芦屋市に、近代建築の巨匠といわれるフランク・ロイド・ライトが設計を手がけ、大正時代に建てられた洋館「ヨドコウ迎賓館」があります。彼が設計した現存する建物は主にアメリカにあり、日本国内に残るものは数棟しかないため、とっても貴重。ノスタルジックな雰囲気が味わえる洋館を見学に、芦屋の街まででかけてみませんか?

Summary

フランク・ロイド・ライトが手がけた大正時代の洋館

開森橋の奥、左側の森を背に立つ白っぽい特徴的な建物が「ヨドコウ迎賓館」
開森橋の奥、左側の森を背に立つ白っぽい特徴的な建物が「ヨドコウ迎賓館」

「ヨドコウ迎賓館」があるのは、阪急神戸本線芦屋川駅から北へ徒歩10分ほどのところ。改札を出て左に進むと開森橋(かいもりばし)があり、その橋を渡って左折し、坂を登っていきます。

通称「ライト坂」とよばれるやや急な坂を登っていくので、できればスニーカーなど歩きやすい靴で行くのがおすすめ。少し休憩しながら、入り口の門を目指して歩きましょう。

©︎ヨドコウ迎賓館
©︎ヨドコウ迎賓館

「ヨドコウ迎賓館」は、大正13年(1924)「櫻正宗」でおなじみの灘の酒造家・八代目山邑(やまむら)太左衛門氏の別邸として建てられた邸宅。設計は旧帝国ホテルの設計者としても知られる、近代建築の巨匠・フランク・ロイド・ライト(以下ライト)が行いました。

かつては現在の所有者である淀川製鋼所の社長邸や、独身寮などに使用された時期もありましたが、昭和49年(1974)には国の重要文化財の指定を受け、1989年から「淀川製鋼所迎賓館」として一般公開されるように。ライトが設計した建築物で日本国内に現存するのは、「ヨドコウ迎賓館」「自由学園明日館」「旧林愛作邸」「旧帝国ホテル中央玄関」の4カ所だけという、とても貴重な施設なのです。

ソロおすすめPoint
施設の開館日は、水・土・日曜と祝日。休日は混雑することが多いようですが、平日の水曜日は比較的ゆっくりと見学できるそう。ひとりで静かにじっくり見学するなら、水曜日が狙い目です。



細部までこだわりが詰まった建物のみどころとは?

門から玄関までのアプローチを歩いていくと、重厚感のある建物がお目見え。最も奥まったところに玄関を設けているのはライト独特のもので、左右対称にデザインされた車寄せには、栃木県宇都宮市の大谷町付近で採掘された大谷石(おおやいし)が使用されています。

垂直を意識したすっきりとしたデザインが印象深い車寄せ
垂直を意識したすっきりとしたデザインが印象深い車寄せ
エントランスは入り口がとても狭いのが特徴
エントランスは入り口がとても狭いのが特徴

左側の扉から中に入り、受付後スリッパへ履き替え、早速館内を見学しましょう。見学エリアは2~4階までで、バルコニーの見学もできます。

上部左右の小窓はそれぞれ扉を開け締めできるようになっている
上部左右の小窓はそれぞれ扉を開け締めできるようになっている

最初に向かった2階の応接室の入り口も幅約62cmと、とても狭いのですが、これは扉の向こうを広く見せるための工夫だそう。中に入ると天井が高く、開放感たっぷりの空間が広がっています。見上げると、部屋の両サイドには彩光や風を通すために設置された小さな小窓がずらりと並んでいます。

応接室の左右には大きなピクチャーウインドウがあります。そこから見る景色はまるで絵画のよう。時間帯や季節によって、陰影や葉の色合いが変わり、さまざまな景色を見せてくれます。

3階西側の廊下
3階西側の廊下

3階には和室や家族の寝室があります。なかでも注目してほしいのが、3階西側の廊下。窓には植物の葉をモチーフにした飾り銅板が使用されており、太陽の光が入ると床に銅板の影が映るという演出効果も。この飾り銅板は、館内の至る所に使われています。

広々とした和室もある
広々とした和室もある
2つの蛇口からは冷水と電気で温めた温水が出てくる
2つの蛇口からは冷水と電気で温めた温水が出てくる

驚いたことに、この邸宅は大正時代に建てられたにもかかわらず、水洗トイレがあり、暖房器具や掃除機、炊飯器、冷蔵庫など電気を使った家電製品が使用されていました。大正時代といえば、まだほとんどの家庭が薪で火を起こし、湯を沸かしていた時代。オール電化の設備が整っていたことからも、この邸宅がどれだけ贅を尽くしたものだったかが伺えます。

ソロおすすめPoint
3階売店隣では、「ヨドコウ迎賓館」の歴史や建物のみどころを紹介した映像を視聴できます。建築にあまり詳しくない人でも、この映像を見ればポイントがつかめるので解説なしでも館内見学が楽しめます。



4階は芦屋の街が見渡せる絶好のビュースポット

4階の食堂は、独特なデザインが目を引きます。天井を見ると、高くなった中央に向かって四隅から伸びた梁で四角錘のような形になっており、縁取りがハートのような形に見えます。天井を囲むように並んだ三角形の小窓にも注目です。

4階食堂ドアからはバルコニーに出ることもできます。南側に長く突き出したバルコニーは、芦屋の街が一望できる絶好のビュースポット。芦屋市の条例上、高い建造物は建てられない決まりになっているので、視界が開け、大阪湾も見渡せますよ。

バルコニー先端から振り返ると、これまた独特な台形型の屋根が。庇(ひさし)の上に並ぶ飾り石など、細かなところまでじっくり見ると、思わず感嘆せずにはいられないデザインがあちこちにちりばめられていて、あっという間に時間が過ぎてゆきます。

飾り石
飾り石
©︎ヨドコウ迎賓館
©︎ヨドコウ迎賓館

来館記念のおみやげが欲しい人は、3階の売店に立ち寄りましょう。オリジナルのキーホルダーやクリアファイルのほか、ポストカードやライト関連の書籍などが並んでいます。なかでも、人気が高いのはトートバッグ。「ヨドコウ迎賓館」のイラストが描かれたオシャレなバッグです。

細部の設計にまでこだわり、贅を尽くして建てられた「ヨドコウ迎賓館」。自然と建物の調和を目指して造られたといわれるように、自然と一体感を感じさせる工夫が随所に感じられ、ひとつひとつ見てみるとおもしろい発見がたくさんあります。ひとりで訪れ、自分のペースでじっくり鑑賞してみては?施設の見学を終えたあとは、芦屋の街をあちこち散策してみる―。そんな休日の過ごし方は、いかがでしょうか?

ソロおすすめPoint
■取材時のソロ率:20%(水曜の午前)
■おすすめの利用シーン:建築について学びたいとき、非日常の空間を堪能したいとき、映えスポットを訪れたいとき



■ヨドコウ迎賓館(よどこうげいひんかん)
住所:兵庫県芦屋市山手町3-10
電話番号:0797-38-1720
営業時間:10~16時(最終入館は15時30分まで)
入館料:大人500円、小・中・高校生200円、未就学児無料 ※現金のみ
休館日:月・火・木・金曜(祝日は開館)


Text:中田優里奈(ウエストプラン)

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

Twitter Facebook LINE はてなブックマーク Pocket
記事トップに戻る

この記事に関連するタグ

編集部のおすすめ

ページトップへ戻る

検索したいキーワードを入力してください