奈良国立博物館

奈良国立博物館を徹底解説!国宝や常設展示は? アクセスやチケット情報も!|奈良

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鹿が遊ぶ緑豊かな奈良公園の中に、重厚な西洋建築が立っています。仏教美術の収蔵・展示では国内随一の質と量を誇る「奈良国立博物館」です。多くの優れた仏像を一堂で見ることができるとあって、“仏像好きの聖地”として知られています。今回は、そんな「奈良国立博物館」のみどころと魅力を紹介します。

Summary

「奈良国立博物館」ってどんなところ?

奈良国立博物館
正倉院の宝庫をイメージして建てられた東新館・西新館 写真提供:奈良国立博物館

明治28年(1895)、日本で2番目の帝国博物館として、優れた仏教美術が多数伝わる奈良の地に開館しました。国宝、重要文化財を含む館蔵品が約2000件、奈良県内外の社寺からの寄託品が約2000件、計4000件近い名品を収蔵しています。

開館当時のまま残るフレンチルネサンス様式の「なら仏像館」(旧本館)と、特別展の会場となる東新館・西新館、ミュージアムショップやカフェを備えた地下回廊などから構成されています。東西の新館は、毎年秋に開催される「正倉院展」の会場ともなっていて、正倉院に伝わるワールドクラスの貴重な宝物をひと目見ようと、世界中から多くの人が訪れます。出陳される宝物は年によって変わるので、毎年訪れる楽しみも。

まずは必見!仏教美術の殿堂「なら仏像館」へ

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第8室の展示風景。中央は重要文化財 阿弥陀如来立像(裸形)(兵庫 浄土寺)、左は重要文化財 救脱菩薩立像(奈良 秋篠寺)、右は重要文化財 梵天立像(奈良 秋篠寺)

「なら仏像館」というネーミングの通り、館内には仏像がずらり!多数の国宝、重要文化財を含む常時100体ほどの仏像が展示されています。館内は第1室から第13室までぐるりと回遊する仕組みとなっていて、飛鳥~鎌倉時代の主要な仏像を見ることができます。たとえば第8室では、天才仏師・快慶(かいけい)作の阿弥陀如来立像(重要文化財)を間近に拝めるなど、感動モノの仏像とのご対面が連続します。

こちらはメインホールの第6室。見ごたえのある貴重な仏像が並びます。中央に立つのは元興寺(奈良市)の寄託品である国宝の薬師如来立像。平安時代初期に造られた、等身大の威厳ある美仏です。

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第6室で、気になるのがこちら。禅宗寺院を護る神さま・伽藍神立像(がらんしんりゅうぞう)です。この姿から、「走り大黒」という愛称でよばれています。毎年12月に開催される奈良マラソンのポスターにも起用される人気者なんですよ。

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こちらは第12室に居並ぶ十二神将立像(じゅうにしんしょうりゅうぞう)。軽妙な動きと険しい表情で、仏敵をやっつけようとする姿を表しています。それぞれの頭上には十二支ゆかりの動物が。自分の干支の像を見つけるとなんだかうれしい気分に。

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第13室はグッと趣が異なります。名付けて「破損仏像残欠コレクション」。さまざまな素材の仏像の手先や腕、持物や装身具など約100点が並びます。本体は失われたものの、ひとつひとつのパーツには“細部に宿る美”が感じられ、得も言われぬ存在感を放っています。

2028年まで「金峯山寺仁王門 金剛力士立像」と記念撮影ができる!

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第6室の展示風景。重要文化財 金剛力士立像(奈良 金峯山寺)

さて、メインホールの第6室で特別公開されているのは、重要文化財の金剛力士立像(こんごうりきしりゅうぞう)。像高はともに約5mという巨像です。向かって右に口を大きく開いた阿形(あぎょう)、左に口をギュッと結んだ吽形(うんぎょう)が、天井に届かんばかりの大迫力で“仁王立ち”。桜の名所、奈良県吉野山にある世界遺産・金峯山寺仁王門(国宝)に本来は安置されているのですが、仁王門が修理中のため、2028年まで同館に仮住まいされていらっしゃるのだとか。

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金剛力士立像の足元をふと見ると、なにやらカメラのサインが。これは「撮影OK」という意味で、同館が2023年から取り入れている新しいシステム。基本的に展示室内は撮影禁止なのですが、この「撮影OK」マークが付いている作品は個人で楽しむ目的での写真撮影が可能となりました。貴重な仏像と一緒に記念撮影ができるとは、仏像ファンならずともテンションが上がります!

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メインホールの西側にある部屋は「休憩コーナー」。椅子に腰かけて一息つこうと上を見ると、華麗な装飾に目を奪われます。それもそのはず、このスペースは本来の正面玄関ホールにあたり、明治27年(1894)完成当時のままの姿を残しているのです。設計は、宮廷建築家として活躍し、旧東宮御所(現・迎賓館)なども手がけた片山東熊(かたやまとうくま)。フレンチルネサンス様式の美しい「なら仏像館」は、建物自体が重要文化財に指定されています。

正倉院展の会場ともなる「新館」をはじめ、ほかにもみどころがたくさん

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右手前は西新館、左は地下回廊(無料ゾーン)への入口

昭和47年(1972)に完成した「西新館」と、平成9年(1997)に完成した「東新館」は、正倉院展など特別展の会場として利用されています。取材時はちょうど正倉院展の会期中で、入館を待つ人の長い列ができていました。地上にある入口のほか、「なら仏像館」とは地下回廊でつながっているので、天候を気にせず行き来することができます。

なお、「西新館」では特別展のほかに、絵画・書跡・工芸品・考古遺品の名品展(平常展)などを開催しています。

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「地下回廊」は、観覧者以外も自由に利用することができる無料ゾーン。仏教美術をやさしく解説する「学習コーナー」があり、パネルや模型で仏像の造り方や印相(仏像の手が表すメッセージ)などを知ることができます。

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こちらは中国古代の青銅器(坂本コレクション)を常設展示する「青銅器館」。「なら仏像館」と渡り廊下で結ばれています。見過ごされがちですが、実はマニア垂涎の青銅器の名品が集結しているんです! 中央に展示されているのは紀元前11~10世紀に作られた鳳凰文ユウ(ほうおうもんゆう)という器。緻密なデザインと浮き彫りの技術に驚かされます。

ここでしか買えないオリジナルグッズが揃うミュージアムショップ

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地下回廊にあるミュージアムショップでは、展覧会のカタログや仏教美術の書籍はもちろん、ユニークなオリジナルグッズも充実しています。

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左から、「がーぜすかーふ 五絃琵琶」各1540円、「元気が出る仏像 マーキングクリップ(カラー)」6個入630円、「飴缶 鹿」各770円、「チャーム付きボールペン 五絃琵琶」各715円、「アルミ定規 五絃琵琶」各880円、「蒔絵しおり 五絃琵琶」各550円

なかでも、仏像をかわいらしくデザインした「元気が出る仏像」シリーズのクリップやTシャツ、正倉院宝物の琵琶をモチーフにした文具やスカーフなどが人気です。

ミュージアムショップの向かいにはカフェもあり、休憩するのにぴったり。広々とした明るい店内で、スイーツセットなどを味わいながら仏像鑑賞の余韻を楽しみましょう。

「奈良国立博物館」へのアクセス方法をチェック

奈良国立博物館へは、近鉄奈良駅から東へ徒歩15分。奈良公園の中を鹿に誘われながらのんびり歩くと、重厚な西洋建築の「なら仏像館」が見えてきます。JR奈良駅からは、奈良交通バスの市内循環外回りなどで9分、「氷室神社・国立博物館」下車すぐです。

チケットは、なら仏像館または新館入口にあるチケット売り場で当日購入できます。クレジットカードや各種電子マネーも利用可。ただし、正倉院展など特別展については入館システムが通常とは異なる場合もあるので、会期前に公式WEBサイトを参照してください。

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写真提供:奈良国立博物館

奈良国立博物館の敷地内にもたくさんの鹿が遊んでいますが、夏に見られる“風物詩”を2つご紹介します。
1つ目は「鹿プール」。夏になると新館前の池に鹿が入って涼をとる姿を見ることができます。暑いとき水浴びしたくなるのは鹿も人間も同じですね!

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写真提供:奈良国立博物館

2つ目は「鹿だまり」。例年7~8月にかけて、夕方になるとどこからともなく新館前の芝生地帯に大勢の鹿が集まってきます。まさにギュウギュウの「鹿だんご」状態で小一時間くつろいだ後、日没とともに春日大社の方へ帰っていくのだとか。理由は不明とのことですが、なんだかおとぎ話のようでロマンを感じます。夏に訪れるならぜひチェックしてみてください。

■奈良国立博物館(ならこくりつはくぶつかん)
住所:奈良県奈良市登大路町50
TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
料金:一般700円(特別展は別途)
時間:9時30分~17時(変更の場合あり)
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)、12月28日~1月1日、臨時休館日あり
※なら仏像館は展示替えがあるため、掲載されている仏像が見られない場合があります。詳しくは公式WEBサイトをご確認ください。

Text:長谷川ゆかり(パーソナル企画)
Photo:八木孝(パーソナル企画)

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