【福井県越前市】紫式部が青春時代を過ごした地で、ゆかりのスポット巡り

【福井県越前市】紫式部が青春時代を過ごした地で、ゆかりのスポット巡り

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平安時代に花開いた王朝文学の傑作『源氏物語』。作者の紫式部が生涯でただ一度、都を離れて暮らしたのが福井県越前市です。この地には若き日の紫式部にまつわるスポットがあり、平安時代の文化や歴史、古から受け継がれる伝統工芸に親しむことができます。紫式部の足跡をたどり、王朝文学の世界を体感する旅に出かけてみませんか。

Summary

紫式部と越前の関係って?

福井県越前市の紫式部公園に立つ金色の紫式部像
福井県越前市の紫式部公園に立つ金色の紫式部像
平安時代の女流作家・歌人である紫式部は長徳2年(996年)、越前国司に任じられた父・藤原為時とともに越前国に入り、1年半あまりを過ごしました。当時の都の女性には珍しかった地方の暮らしを体験したことは、後の源氏物語の執筆に大きな影響を与えたと言われています。

紫式部と越前のつながりを知る「紫ゆかりの館」へ

源氏物語のゆかりの場面が描かれた窓は記念撮影にぴったり
『源氏物語』のゆかりの場面が描かれた窓は記念撮影にぴったり
お洒落なグラフィックにも注目です
お洒落なグラフィックにも注目です
越前市で紫式部にまつわるスポットを訪ねるなら「紫ゆかりの館」と「紫式部公園」へ。「紫ゆかりの館」は紫式部が越前で過ごした時代や地方政治の中心地だった越前国府の文化を紹介する資料館で、平安時代や『源氏物語』を思い起こさせる優雅な展示が魅力です。
宮中に仕える女房がまとった装束を越前和紙で再現。御簾の隙間からのぞき見てみました
宮中に仕える女房がまとった装束を越前和紙で再現
館内の中心にある「紫式部の間」の入口には、紫式部の後姿をイメージした十二単(じゅうにひとえ)姿の和紙人形が御簾(みす)越しに展示されています。平安時代の高貴な女性は人に会うときに、御簾や几帳越しで対面していました。『源氏物語』に記されている「すきかげ」(御簾を通して見える姿)とは、こういう感じだったのかなあ、と想像が膨らみます。
絵巻物風のアニメーション映像「百花繚乱 紫式部が出会った越前国府」(約6分)
絵巻物風のアニメーション映像「百花繚乱 紫式部が出会った越前国府」(約6分)
繊細な手仕事で作られた越前和紙の人形。間近でじっくりと鑑賞できます
繊細な手しごとで作られた越前和紙の人形。間近でじっくりと鑑賞できます
中央の大型スクリーンでは、越前への旅立ちから源氏物語を描くまでの紫式部の心模様をたどった絵巻物風の映像を上映。床面にも映像が広がる幻想的な光景を楽しみながら、紫式部の青春時代に思いを馳せることができます。優雅な几帳風グラフィックの解説や国司として越前に向かう下向行列を再現した和紙人形も見ごたえがあります。

源氏物語の姫君が恋のアドバイス「姫君タイプ診断」に挑戦!

タッチモニターで気軽に体験できます
タッチモニターで気軽に体験できます
診断後は小物棚から姫君短冊(100円)を引きます
診断後は小物棚から姫君短冊(100円)を引きます
「紫式部の間」には源氏物語に登場する姫君になぞらえた恋の体験プログラムがあり、タッチモニターの質問に答えていくと自分の姫君タイプが診断できます。藤壺や紫の上、六条御息所など、7人の姫君の誰と似ているのかワクワクしながら診断してみましょう。小物棚に入った姫君短冊にはゆかりの和歌や診断結果、恋のアドバイスが記されているので、おみくじ感覚で引いてみては。意外に刺さる内容にドキッとするかもしれませんよ。
「しるべの間」では生活に取り入れやすくデザインされたお洒落な伝統工芸品や和雑貨を中心に販売
「しるべの間」では生活に取り入れやすくデザインされたお洒落な伝統工芸品や和雑貨を中心に販売
隣の紫式部公園が見える場所に休憩スペースもあります
隣の「紫式部公園」が見える場所に休憩スペースもあります
ほかにも「紫ゆかりの館」には、紫式部や『源氏物語』ゆかりの作品や、越前国府の歴史に触れる企画展が開催される「催しの間」、越前市を含む丹南地域の伝統工芸品や源氏物語をモチーフにしたグッズを販売する「しるべの間」があります。紫式部も使ったであろう越前和紙や越前漆器のショッピングも楽しめますよ。

■紫ゆかりの館(むらさきゆかりのやかた)
住所:福井県越前市東千福町21-12
TEL:0778-43-5013
営業時間:9~17時
定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)
料金:無料

平安時代の庭園を再現した「紫式部公園」で紫式部が見た風景を体感

像の台座部分には紫式部の人生の場面を描いたレリーフもあります
像の台座部分には紫式部の人生の場面を描いたレリーフもあります
「紫ゆかりの館」の隣には平安時代の庭園を再現した、珍しい寝殿造庭園を持つ「紫式部公園」があります。園内には都に向かって立つ黄金の紫式部像があり、視線の先には越前富士とよばれる日野山が見えます。紫式部は越前国府があった武生(現越前市)から日野山を眺めていたと伝えられていて、その様子が伝わる和歌が紫式部像の周囲に置かれた歌碑に刻まれています。
日野山を借景に池や築山を配置。池にかかる橋を中心に八の地型に歩くのがおススメ
日野山を借景に池や築山を配置。池にかかる橋を中心に八の字型に歩くのがオススメです
公園のビューポイントとして人気なのが「釣殿(つりどの)」とよばれる寝殿造の建物と朱色の太鼓橋。釣殿は平安貴族たちが花見や月見、詩歌管弦の宴などに興じた場所で、舟遊びの乗降にも使われていました。ここから庭の風景や四季の風情を眺めていると、まるで平安時代にタイムスリップしたような気分になれますよ。

春の風物詩・藤の回廊巡り

藤の回廊と呼ばれる広場の遊歩道
藤の回廊とよばれる広場の遊歩道
秋のイベントでは雅楽の演奏や舞などの鑑賞を通して平安貴族の宴の世界が楽しめます
秋のイベントでは雅楽の演奏や舞などの鑑賞を通して平安貴族の宴の世界が楽しめます
「紫式部公園」の広場には全長約160mの藤棚が設けられていて、4月末からゴールデンウィークにかけて藤の花が満開に。桜とはまた違った雅さを愛でながら藤のトンネルくぐりができます。毎年10月には平安時代の文化を体感できるイベントや期間限定のイルミネーションも開催。2024年1月スタートのNHK大河ドラマ『光る君へ』の主人公として注目される紫式部ゆかりの越前市で、平安貴族のロマンあふれる世界に触れてみませんか。

■紫式部公園(むらさきしきぶこうえん)
住所:福井県越前市東千福町20-369
TEL:0778-22-3012(越前市都市計画課)
営業時間:散策自由
料金:無料

Text:佐藤公美恵
Photo:高橋良典、越前市役所

●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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