カナダの秋!~その1観光列車編~ 紅葉✕アートの旅

カナダの秋!~その1観光列車編~ 紅葉✕アートの旅

るるぶ情報版(海外)編集部 るるぶ&more.編集部 カナダ 紅葉 列車旅 芸術
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カナダといえば、その国旗にも描かれたメープル(カエデ)の森が広がる大自然。その森が色づく秋の紅葉は世界的に有名で、一度は訪れてみたい場所です。カナダの紅葉の魅力は、真っ赤に染まるメープルはもちろん、黄色やオレンジ、針葉樹の緑もあわさったカラフルさと広大さ。そのいずれをも楽しめるのが、日本ではまだあまり知られていない、アガワ渓谷鉄道の観光列車なのです! 今回はこの乗車体験レポートと、起点となるスーセントマリーの情報をお伝えします。

Summary

紅葉の森を走るアガワ渓谷鉄道とは?

アガワ渓谷鉄道
紅葉最盛期には17両を連結、大人気の観光列車

アガワ渓谷鉄道(Agawa Canyon Tour Train)は、カナダ東部、有名なナイアガラ滝の北西約800kmにある街・スーセントマリーを起点に、メープルの森の中を、時速約40kmでのんびりと走る観光列車。片道114マイル(約180キロ)を、行きは4時間、帰りは4時間30分(終着地で1時間30分停車)で、車窓の紅葉をたっぷり楽しめます。

アガワ渓谷鉄道からの景色
この日の朝は小雨でしたが、霧がかった車窓の紅葉もステキ。カエデの赤が多いのがカナダならでは

一般的に「メープル街道」として知られるエリアは、ここから東の地域を指すことが多いですが、アガワ渓谷を含むここオンタリオ州北部はほとんどのエリアが紅葉の名所といっても過言ではないのです。

アガワの自然を愛した「グループオブセブン」

スーセントマリー駅にある、ボックスカーのレプリカ
スーセントマリー駅にある、ボックスカーのレプリカ

今回の旅のもうひとつのテーマはアート。アガワ渓谷をはじめ、オンタリオ州北部の手つかずの自然に魅了された、7人の芸術家のアート世界をたどります。「グループオブセブン」は、1920年代に結成され活躍したカナダの画家集団で、カナダで知らない人はほぼいないといわれる巨匠たち。ヨーロッパ後期印象派の影響を受けた彼らは、ここオンタリオ州北部の自然、特にこのアガワの自然を愛し、多くの作品を描きました。そもそも、アガワ鉄道は、1914年に鉄鉱の採掘・輸送のために敷設されましたが、一歩森林に入ると宿泊できる宿などもなかったため、芸術家たちは、ボックスカーといわれる貨車を借りて沿線風景のスケッチをしていたそうです。

往路の終盤、モントリオール川にかかる約470mの橋を渡る時がシャッターチャンス!
往路の終盤、モントリオール川にかかる約470mの橋を渡る時がシャッターチャンス!

沿線には、彼らが描いた景色がたびたび現われ、100年近く経った今でも、その光景に出合うことができます。それらのポイント含め、絶景ポイントを通過する前には、車内チャイムとアナウンス(23年秋現在は英語のみ)が流れるので、絶景を見逃さないように。ちなみに、景色がよいポイントは左右いずれのシートでも複数回訪れ、帰りにも再び見られるチャンスがあるので、左右どちらの座席を選んでも楽しめます。(乗車は号車指定で、号車内は自由席)

絶景揃い! 終着地からのミニハイキング

展望所へ向かう散策道は紅葉まっさかり
展望所へ向かう散策道は紅葉まっさかり

列車は正午過ぎに終着地のアガワ渓谷に到着! ここでの停車時間は1時間30分です。 開放感いっぱいの渓谷でのんびりするのもいいですが、ぜひ行きたい場所が2つあります。

展望所へは300段超の階段をあがっていく
展望所へは、350段ほどある階段をあがっていく

1つは渓谷を望める展望所。ここへ行くには300段超の階段を登っていくことになります。また、階段は渋滞することもあるので到着後早めに目指すのがおすすめです。

紅葉の渓谷を望む展望所。ここから十数段あがった先が一番高い場所
紅葉の渓谷を望む展望所。ここから十数段あがった先が一番高い場所

もちろん、その先で望める渓谷の景色は格別なので、体力のある人はぜひ!

ブライダルベール滝。今回取材で案内いただいたグループオブセブンの専門家・マイケルバーチさんにポーズを撮っていただきました
ブライダルベール滝。今回取材で案内いただいたグループオブセブンの絵画の研究者であり、アルゴマ美術館の元館長、マイケル・バーチさんにポーズを撮っていただきました

もう1つがアートオブセブンの絵画にも描かれた「ブライダルベール滝」。断崖を流れる滝と紅葉が水面に映ります。

滝へいく道すがらには、この場所を描いたグループオブセブンの説明版が置かれています
滝へいく道すがらには、この場所を描いたグループオブセブンの説明板が置かれています

いずれも、往復するのにやや急ぎ足でも30~40分はかかるので、行く場合はどちらかを選んだほうが無難。停車時間は1時間30分で、出発時刻には容赦なく発車してしまうので、ご注意を。
ちなみに体力派を自認する筆者は両方行きましたが、到着後すぐの行動で展望所への階段を駆け上がり(心臓破りでした)、展望所では数分の滞在。一度元の場所に戻って、滝への往復も早足で(こちらは平坦な散策道です)、急ぎ写真を撮って列車へという分刻みのスケジュール。それでも、かなりギリギリ(ぐったり疲れます)だったので、目指す方は参考にしてください。

スナック・カーでオーダーできるメニューは、「ミートボールのペンネ」 $26、「チキンラップサンド」 $18、「ロティスリーチキンサラダ」 $24 など

復路にて遅めのランチに。今回取材ではスナック・カーに乗車、朝食も利用できますが、ランチメニューは「ミートボールのペンネ」、「チキンラップサンド」、「ロティスリーチキンサラダ」など5種から選べました(食事は予約がベターです)。

発着駅のショップでは、「ぬいぐるみ」$25(右)などのアガワ鉄道グッズが買えます。

■アガワ渓谷鉄道 Agawa Canyon Tour Train
https://agawatrain.com/
スーセントマリー駅からの往復10時間、8時発~18時帰着。
営業期間:5月上旬~10月中旬運行
乗車料金:$155(9月中旬~10月中旬。左記以外は $140)
TEL:844-246-9458
※日本からオンタリオ州への玄関口となるカナダ・トロントへは、東京羽田・成田空港から直行便で約12時間。アガワ渓谷鉄道の起点となるスーセントマリー(空港)へは、トロントから国内線に乗り継ぎ約1時間30分。空港から、アガワ渓谷鉄道の発着駅へは約20km。 観光には、トロントから旅行会社等のツアー利用が一般的。日本からのツアーで、この内容が含まれているツアーがあれば選択肢にしてみましょう。

アガワ渓谷鉄道の起点、スーセントマリーの街とは

スーセントマリーは、セントマリー川をはさんでアメリカに隣接する国境の街。また、五大湖のスペリオル湖とヒューロン湖の境に位置し、2つの湖をつなぎ水運の役割を担った運河史跡が残っています。その水門の仕組は、当時非常に画期的なものだったとのことです。
アガワ鉄道が鉄鉱石の輸送を担ってきたように、鉄鉱の街としても知られるスーセントマリー。取材時には、観光列車が出発する朝の薄闇のなか、鉄工所の炎が辺りを赤く染める光景は幻想的でもありました。

グループオブセブンの作品に会いに、街のアートギャラリーへ

セントマリー川に面した公園内にあるアルゴマ美術館では、グループオブセブンの作品が展示されています。

グループオブセブンのひとり、J・E・H・マクドナルドが描いたアガワ鉄道沿線の風景
グループオブセブンのひとり、J・E・H・マクドナルドが描いたアガワ鉄道沿線の風景

意外に、色調が暗い作品が多いのですが、このあたりは雨や霧に曇る日が多いようで、画家たちもその多様な姿を見せてくれるこの地を愛したということです。

■アルゴマ美術館 Art Gallery of Algoma
https://www.artgalleryofalgoma.com/
住所:10 East Street, Sault Ste. Marie
TEL:705-949-9067
料金:入館$7.00
時間:10~16時
休み:日曜閉館(季節により異なる)

森林を守った飛行機・ブッシュプレーンの実機を見学!

水上から離着陸するためのフロートがついた飛行機など、なかなか見られない機体が勢ぞろい
水上から離着陸するためのフロートがついた飛行機など、なかなか見られない機体が勢揃い

森林の多いオンタリオ州では、かつてそして現在でも、たびたび山火事が発生することがあります。カナディアン・ブッシュプレーン・ヘリテージ・センターでは、消防で活躍した飛行機とその歴史を展示解説。1920年代から続く歴史と、改良が重ねられた実機が並び、なかには機内に入れるものもあって、操縦席のほか大量の水を放出する機能的な構造を見ることができます。

■カナディアン・ブッシュプレーン・ヘリテージ・センター Canadian Bushplane Heritage Centre
https://bushplane.com/
住所:50 Pim Street, Sault Ste. Marie
TEL:705-945-6242
料金:$15
時間:9~17時

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