紫式部との縁も!国宝・重文も豊富な三井寺のみどころ&御朱印&アクセスは?|滋賀

紫式部との縁も!国宝・重文も豊富な三井寺のみどころ&御朱印&アクセスは?|滋賀

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びわ湖の南西岸に立つ「三井寺(園城寺)」は、滋賀県を代表する名刹の一つ。国宝・金堂をはじめとする荘厳な建造物の数々や近江八景の「三井の晩鐘」、春の桜など、魅力が尽きません。境内のみどころやアクセスなど、参拝に役立つ情報をお届けします。

Summary

紫式部ともご縁アリ!法難を乗り越えた❝不死鳥の寺❞

三井寺(みいでら)は天武天皇元年(672)頃、天智天皇の後継争い(壬申の乱)に敗れて自害した大友皇子を弔うため、息子の大友与多王が土地を寄進して創建。このとき天武天皇から「園城」の勅額を与えられたので、「長等山園城寺(ながらさんおんじょうじ)」が正式名称です。通称の「三井寺」は、天智・天武・持統天皇の産湯に使われた霊泉(御井)が境内に湧いていることが由来なのだそう。

重要文化財「智証大師坐像」(三井寺所蔵、鎌倉時代)/写真提供:三井寺
重要文化財「智証大師坐像」(三井寺所蔵、鎌倉時代)/写真提供:三井寺

三井寺が大きく発展したのは、中興の祖・智証大師円珍のころ。天台宗の総本山・比叡山延暦寺の別院となり、東大寺・興福寺・延暦寺と並んで有力寺院の仲間入りを果たします。
智証大師の死後、彼の教えを受けた僧侶たちが宗派内の対立によって比叡山を下り、三井寺を拠点に天台寺門宗を開きます。延暦寺との争いや源平合戦、豊臣秀吉による寺領没収など、幾多の法難を乗り越えたことから❝不死鳥の寺❞とよばれています。

修業を終えた僧侶に密教の奥義を伝える「伝法灌頂」の儀式が行われる唐院の灌頂堂(手前)。現在の建物は桃山時代の建築
修業を終えた僧侶に密教の奥義を伝える「伝法灌頂」の儀式が行われる唐院の灌頂堂(手前)。現在の建物は桃山時代の建築

ドラマで話題の紫式部も、三井寺に縁の深い人物。父・藤原為時が晩年に三井寺で出家しているほか、異母兄弟の定暹(じょうせん)も三井寺の高僧(阿闍梨)だったことが知られています。
2024年のドラマ放映に合わせ、ぜひ訪れたいスポットの一つです。

絶対に見逃せない!文化財と絶景スポット

三井寺の境内には、南北朝時代~江戸時代に建てられた歴史ある建物が点在。そのうち4件が国宝に、8件が重要文化財に指定されています。
まずは、本堂である金堂へ。豊臣秀吉の正室・ねね(高台院)によって慶長4年(1599)に再建された壮大な伽藍は、境内でもひときわ目を引きます。
本尊は、天武天皇から贈られたと伝わる弥勒菩薩像。永久に開帳されることのない絶対秘仏として大切に守られています。仏様の姿に思いを馳せながら手を合わせましょう。

12月31日の除夜の鐘は、三井寺の年中行事のハイライト。役僧の厳かな声と銅鑼の音を合図に、古式にのっとって鐘が鳴らされる/写真提供:三井寺
12月31日の除夜の鐘は、三井寺の年中行事のハイライト。役僧の厳かな声と銅鑼の音を合図に、古式にのっとって鐘が鳴らされる/写真提供:三井寺

金堂の隣の鐘楼に架かっている鐘は、びわ湖周辺の優れた情景を選んだ「近江八景」のうち、「三井の晩鐘」として有名。音色が美しいことで名高く、京都の神護寺・平等院の鐘と並んで日本三名鐘の一つに数えられています。
鐘は現在も毎日夕方ごろに鳴らされているほか、鐘撞き体験も可能(別途冥加料800円)!日本一とも称される荘厳な響きに聴き入ってみて。

金堂の背後に控える唐院は智証大師の廟所(墓)で、境内で最も清浄な空間です。参道には、鎌倉・室町時代の探題(地方を統治する要職者)が代々奉納した「探題灯篭」がずらり。厳粛な雰囲気に思わず背筋が伸びますね。
大師堂や三重塔(いずれも重文)といった唐院の諸堂は通常非公開。参拝者が入れるのは、門をくぐった先にある灌頂堂(重文)の前までです。

境内南側の高台にある観音堂は、西国三十三箇所観音霊場の第14番札所。秘仏本尊・如意輪観音坐像(重文)をまつるお堂は元禄2年(1689)の再建で、軒下に所狭しと貼られた千社札が信仰の厚さを伺わせます。

お参りの後はもうひと頑張り!観音堂からさらに石段を上り、大津市街を一望する展望台へ。眼下に連なるお堂の屋根から、遥か向こうにきらめくびわ湖まで、奥行きのある絶景が楽しめます。

写真提供:三井寺
写真提供:三井寺

重要文化財13点53件を展示する文化財収蔵庫もはずせません。桃山絵画の最高傑作の一つに数えられる狩野光信筆「勧学院客殿障壁画」をはじめ、仏像、仏画、仏具など、寺の歴史と伝統を物語る収蔵品の数々は必見です。

お堂や別所を巡って御朱印をいただこう

境内にはこのほかにも、お堂や別所(仏教を広めるために設けられた出張所)が多数。仁王門を入ってすぐ右手にある釈迦堂(重文)は、室町時代に造られた質素な建物で、御所の清涼殿を移築したものだそう。当初は、僧侶たちが食事をとる食堂(じきどう)として使われていたようですが、現在は釈迦如来像をまつる釈迦堂として信仰を集めています。

観音堂へ向かう石段の登り口付近にある水観寺は、平安時代以降に設置された「園城寺五別所」の一つ。病気や災難から救ってくれる薬師如来をまつり、健康を願う人々の参拝が絶えません。

境内南側の微妙寺も五別所の一つで、厄除開運や健康長寿などのご利益で知られる十一面観音立像(重文)が本尊。かつて多くの参拝者が詰めかけ、人々が頭にかぶっていた笠が破れるほどだったことから、「笠ぬげの観音様」という別名で親しまれています。

左上から時計回りに釈迦堂・金堂・水観寺・釈迦堂・微妙寺の御朱印
左上から時計回りに釈迦堂・金堂・水観寺・観音堂・微妙寺の御朱印

三井寺では、上でご紹介した3つのお堂・別所に加え、金堂と観音堂の計5カ所で御朱印がいただけます。参拝の証や旅の思い出としてぜひ集めてみて。

名物グルメを本家力軒とCaFe KanOnで♪

写真提供:株式会社叶匠壽庵
写真提供:本家力軒

広い境内には、参拝途中のひと休みにぴったりな甘味処やカフェも充実!昔ながらのお休み処として親しまれているのが、文化7年(1810)創業の本家力軒です。

写真提供:株式会社叶匠壽庵
写真提供:本家力軒

名物の「辯慶力餅」360円(2本、ほうじ茶付き)は、寺に伝わる「弁慶の引き摺り鐘」にちなんだお菓子。軟らかくコシのある求肥に、国産きな粉と抹茶、和三盆糖をたっぷりとまぶし、上品な味わいに仕上げています。持ち帰り用の賞味期限は4日と短く、作りたてがいただけるのはこのお店だけ。モチモチ食感と優しい甘さが染み渡ります。

■本家力軒(ほんけちからけん)
TEL:077-524-0797
営業時間:10~17時(16時30分LO)
定休日:水曜、不定休

CaFe KanOn(かふぇ・かんのん)は、フォトジェニックなイマドキカフェ。観音堂のすぐそばという絶好のロケーションで、愛らしいひと口サイズのおはぎとドイツ・ロンネフェルト社製の紅茶が楽しめます。

おはぎのテイクアウトは3個750円、6個1500円
「おはぎ」のテイクアウトは3個750円、6個1500円

名物の「おはぎ」は、和三盆糖で味付けした大納言あずきの餡と、滋賀県産のお米が味の決め手。定番のあずき・抹茶・ナッツのほか、季節ごとに変わる限定フレーバーも揃い、1個250円から注文可能です。店内でいただけるおはぎセット(ドリンクとセットで2個950円、3個1200円)のほか、天気の良い日はテイクアウトするのも◎。びわ湖を眺めながらいただくとおいしさも格別です。

■CaFe KanOn(かふぇ かんのん)
TEL:080-7827-5914
営業時間:夏季(6~9月)10時30分~16時30分、冬季(10~5月)10時30分~16時
定休日:火曜

春は桜が有名!ライトアップも要チェック

観音堂の隣の観月舞台は、アクリル板を敷き詰めた床に桜が反射する絶好のフォトスポット。拝観は有料、要予約(詳細は三井寺HPを要確認)/写真提供:三井寺
観音堂の隣の観月舞台は、アクリル板を敷き詰めた床に桜が反射する絶好のフォトスポット。桜の特別拝観は有料(入山料別途)、要予約(詳細は三井寺公式webサイトを要確認)/写真提供:三井寺

桜の名所としても知られる三井寺。ソメイヨシノや山桜、しだれ桜など約1300本が咲き誇り、満開の時期には夜桜のライトアップも行われます。例年4月上旬~中旬に見頃を迎えるので、この時期に合わせて参拝のプランを組むのがおすすめです。

「三井寺」のアクセス・拝観情報は?

大阪・京都方面から三井寺へのアクセスは電車が便利です。
JR東海道・山陽本線の野洲方面行きに乗車し、膳所(ぜぜ)駅で下車。徒歩すぐの京阪膳所駅から、京阪石山坂本線の坂本比叡山口方面行きに乗り換えて約7分、三井寺駅で下車。徒歩約7分で三井寺に到着です。
たくさんのみどころが点在する三井寺をじっくり拝観するなら、1時間程度が目安。境内はとても広く、長い石段や坂道もあるので、履きなれた靴と動きやすい服は必須です。コンディションを整え、清々しい気持ちでお参りしましょう♪

■三井寺(みいでら)
住所:滋賀県大津市園城寺町246
TEL:077-522-2238
参拝時間:8~17時(最終受付16時30分)、文化財収蔵庫は8時30分~16時30分(最終受付16時)
参拝料:600円
駐車場:350台(有料)

Photo:増田えみ
Text:安岡遥(エディットプラス)

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