京都御所のみどころやアクセスをチェック!通年公開された京都観光必訪の名所

京都御所のみどころやアクセスをチェック!通年公開された京都観光必訪の名所

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明治維新まで天皇が住まいとしていた京都御所。延暦13年(794)に桓武天皇が平安京に都を移して以来、1000年以上にわたって儀式・公務が執り行われました。以前は春・秋のみの限定公開でしたが、平成28年(2016)から通年参観が可能になり、国内外から多くの人が訪れています。今回は、京都御所の歴史やみどころ、参観に関する注意点やアクセスなどをご紹介します。

Summary

16回もの火災から逃れて現在の場所に移転

平安京に都が置かれた時の御所は、現在の場所から約2キロ西にある千本丸太町辺りにありました。当時の御所は天徳4年(960)に火災に遭い焼失。その後15回にわたり焼失したというから驚きです。嘉禄3年(1227)に16回目の焼失に遭ってからは御所の再建は断念されていましたが、南北朝時代の元徳3年(1331)に光厳天皇が仮の御所(里内裏)のひとつであった土御門東洞院殿(つちみかどひがしのとういんどの)で即位の礼が執り行われたことを機に、この場所が約500年にわたって内裏として使われました。

その間、京都御所は、足利義満や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など、時の権力者によって徐々に拡張されました。現在ある多くの建造物は江戸時代末期の大火で焼失した翌安政2年(1855)に徳川幕府によって再建されたもの。江戸時代初期の姿で再建された京都御所は、歴史の授業で習った平安時代の寝殿造や室町時代の書院造などの建築様式が取り入れられ、長い歴史を現在に伝えています。

京都御所の参観は西側の「清所門」から

京都御所の参観は、西側中央にある清所門(せいしょもん)で受付を行います。持ち物検査を通ると「京都御所入門証」を渡されるので、見学中は首からかけて歩くようにします。入ってすぐの場所に休憩所があるので、ここでパンフレットをもらいましょう。

京都御所の参観はルートに沿って進みます。こちらは高位の貴族などが参内した際に使用した御車寄(みくるまよせ)。今でいう家の玄関です。立派な唐破風の屋根が格式高い場所であることを印象づけます。

御車寄の南側にあるのが、諸大夫の間(しょだいぶのま)です。正式な用向きで参内した際の控えの間として利用され、襖絵にちなんで格式の高い順に「虎の間」「鶴の間」「桜の間」が設けられています。本来、諸大夫の間は「桜の間」のみを指しますが、現在はこの一棟三間の建物の総称としてよばれています。それぞれの間に飾られた襖絵はガラス越しに見学可能です。

新御車寄(しんみくるまよせ)は、大正4年(1915)の大正天皇の即位礼に際して建てられたもので、自動車が横付けしやすいように工夫されています。現在も、天皇皇后両陛下の玄関として利用されています。

日本の歴史の転換点となった紫宸殿(ししんでん)

新御車寄から歩くと、御所の正面に到着します。朱塗りの門と回廊の奥にたたずんでいるのが、京都御所の建造物のなかで最も格式が高い紫宸殿(ししんでん)です。慶応4年(1868)に明治天皇が新政府の基本方針である「五箇条の御誓文」を示し、明治天皇、大正天皇、昭和天皇の即位の礼が執り行われたのもこの紫宸殿でした。

紫宸殿は、東西約33m、南北約23m(簀の子縁を除く)、屋根は東西約44m、南北33mにも及ぶ巨大な高床式宮殿建築で、中央に天皇の御座「高御座(たかみくら)」、東に皇后の御座「御帳台(みちょうだい)」が置かれています。紫宸殿前に広がる南庭(だんてい)には東に左近の桜、西に右近の橘が植えられ、左近の桜は毎年4月になると美しい花を咲かせます。

紫宸殿の東側に立つこちらの建物は、京都御所で行われた大正天皇の即位の礼に合わせて造営された春興殿(しゅんこうでん)です。式の際に皇位とともに継承される三種の神器の「御鏡」を皇居からお移しして奉安。天皇が即位したことを奉告する賢所大前の儀(かしこどころおおまえのぎ)が執り行われました。

紫宸殿の裏を通った先にあるのが、『源氏物語』や『枕草子』にもその名前が登場する清涼殿です。平安時代に天皇が生活された場であったときの寝殿造を復元し、中央には天皇が休息される際に使われた御帳台が設置。手前にある厚い畳は「昼御座(ひのおまし)」とよばれ、天皇が日中にお使いになられた御座所です。令和4年(2022)3月に檜皮葺屋根の葺き替えや漆喰壁の塗り替え、建具の修理を終え、再び見学できるようになりました。

趣の異なる2つの美しい庭園に心奪われて…

清涼殿の東北に建つ小御所は、室町時代に将軍が参内する際に休息したり装束を改めてたりするために設けられた書院造の建物です。慶応3年(1868)に王政復古の大号令が発せられた夜、明治天皇らによる新政府の会議「小御所会議」が開かれました。

小御所の向かいには回遊式庭園の御池庭(おいけにわ)が広がります。実際に回遊することはできませんが、前面に州浜が配置され、奥には舟着への飛び石や右手の欅橋、対岸の樹木が絶妙なバランスを創り出し、角度によって様々な景色を楽しめます。

小御所と同じ書院造の御常御殿(おつねごてん)は、天正17年(1589)に、豊臣秀吉が造営を命じた御殿。後陽成天皇から明治天皇までの16代の天皇のプライベート空間として使われ、成人前の稚児と年老いた何人かの男性を除いては男子禁制。まるで江戸城の大奥のような空間だったようです。

御常御殿の前には、遣り水を流した曲水庭園の御内庭(ごないてい)が設けられています。土橋や石橋など趣向が凝らされ、奥には茶室を構えているのが特徴です。松やススキなどが植栽され、御池庭とは違った風情を感じられます。

ここまで主な建造物や庭園を中心にご紹介しましたが、京都御所をゆっくりと巡ってだいたい1時間~1時間半かかります。休憩所には西陣織の「御朱印帳」3000円や参観日を記入してもらえる和紙でできた特製の「記念符」300円などが販売されています。記念に購入してはいかがでしょうか。

京都御所へのアクセス、参観休止日は?

京都御所へは、京都駅から京都市営地下鉄烏丸線国際会館行きに乗り約9分の今出川駅から徒歩5分、または京都市バス烏丸今出川から徒歩5分のアクセス。烏丸通にある中立売御門から抜けるとスムーズに受付がある清所門へと向かえます。

また京都御所の公開時間はシーズンにより異なりますのでご注意を。年末年始と月曜日(祝日の場合は翌日)のほか、行事などの実施により公開休止となる日があります。詳細は、宮内庁の公式HPをご確認ください。
※宮内庁の公式WEBサイト
https://kyoto-gosho.kunaicho.go.jp/

■京都御所(きょうとごしょ)
住所:京都市上京区京都御苑
TEL:075-211-1215(宮内庁京都事務所参観係)
公開時間:【4月~8月】9時~16時20分(最終退出17時)【9月及び3月】9時~15時50分(最終退出16時30分)、【10月~2月】9時~15時20分(最終退出16時)
公開休止日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始※その他行事などの実施により公開休止日あり。詳細は宮内庁の公式Webサイトを確認
アクセス:地下鉄烏丸線今出川から徒歩5分、市バス停烏丸線今出川から徒歩5分
参観料:無料
駐車場:京都御苑駐車場を利用

Photo:鈴木誠一
Text:津曲克彦

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