「発酵」がテーマの話題のスポット。「湖のスコーレ」を徹底解剖!|滋賀
滋賀県長浜市の商業文化施設「湖(うみ)のスコーレ」は、黒壁スクエアや長浜大手門通り商店街からすぐの場所にある、長浜観光でぜひ行きたいスポット。「発酵」に注目したショッピングや学びの体験が叶う施設の魅力を余すことなくご紹介します。
Summary
「湖のスコーレ」ってどんなところ?
特産の鮒ずしをはじめ、日本酒や味噌、醤油など、様々な発酵食品が人々の生活に根付く滋賀県。その源でもある琵琶湖のことを、県民は親しみを込めて「うみ」とよんでいます。「湖(うみ)のスコーレ」は、そんな滋賀に伝わる暮らしの知恵を学べる場所としてオープンしました。
施設内には醸造室やチーズ製造所、熟成庫などが設けられ、スタッフ自身が作り手として携わるのが大きな特徴。自ら手がけたからこそ分かる商品の魅力を、実感を持って伝えてくれます。また地域の生産者との距離も近いため、商品の裏側にある豊かなストーリーも感じながらショッピングや体験を楽しめるんです。
空間プロデューサーには、奈良県の人気カフェ「くるみの木」を手がけたことで知られる石村由起子さんを迎え、「発酵」をキーワードに空間づくりが行われました。白を基調としたやわらかな雰囲気の施設内は、ストアや体験教室、喫茶室などが設けられたフロアと、図書印刷室やギャラリーなどがあるフロアに分かれ、発酵について様々な学びの機会を得られます。
絶品!「ハッピー太郎醸造所」のどぶろくと職人監修のチーズ
まず訪れたのが、湖のスコーレ内で糀、味噌、甘酒、どぶろくを製造するハッピー太郎醸造所です。店主の「ハッピー太郎」こと池島幸太郎さんは、滋賀県内の酒蔵をはじめ農業や日本酒の販売などで得た経験と知識を生かし、2017年に滋賀県彦根市で「ハッピー太郎醸造所」を開業。発酵食品に欠かせない糀(こうじ)屋として活動を続け、湖のスコーレでは長年の夢であったどぶろく醸造に挑戦しています。
長浜市内で育てられた無農薬無肥料栽培米と池島さんが丹精込めて仕込んだ米糀、地下水を原料としたハッピー太郎醸造所のどぶろく。造りの工程で出る「もろみ」を漉(こ)していないため、日本酒とは異なり白濁した見た目にとろりとした口当たり。後味がスッキリしているのも特徴です。通常、酒蔵では米糀造りの作業を見学することはできませんが、湖のスコーレでは池島さんが米糀造りを行う様子をガラス越しに見学できます。
2022年から販売を開始した池島さん渾身のどぶろくは種類豊富。「ハッピーどぶろく」は、すっきりとしたのど越しと上品な香り、豊かなうま味と後味に心地良い酸味を楽しめます。ほかにも、室町時代から受け継がれた栽培法で育てた滋賀県永源寺町政所(まんどころ)の平番茶を使った「政所の茶縁」やチーズの副産物で出るホエイを使用した「オリエンタルホエー」など、どれも個性豊か。どぶろくを初めて飲む人もきっとそのおいしさに驚くはずです!
続いて特別に許可をいただき訪れたのが、チーズ製造室です。滋賀県竜王町にある古株牧場の搾りたての生乳を使って作るスコーレオリジナルのチーズは、チーズ職人・中野つや子さん監修のもと、滋賀の発酵文化や風土を取り入れた約10種類ほどをラインアップ。
「みそフロマージュ」は、ハッピー太郎醸造所の白味噌をまとわせた、日本酒やワインによく合う味わい。竹炭をチーズの表皮にまぶした「竹炭フロマージュ」は熟成が進むにつれ、とろりとした食感を楽しめます。また爽やかな酸味とコクのある「フロマージュブラン」は、添付のいちごソースをかけて食べると、より深い甘みとコクを感じられます。
発酵食品や滋賀の食材が堪能できるカフェでひと休み
チーズ製造室で作られたチーズを使ったメニューをいただけるのが、メインフロアにある喫茶室です。人気の「スコーレ特製クロックムッシュのワンプレートランチ」(内容は季節により変更)は、熟成の竹炭フロマージュを使い、近江八幡のパンスタンダードの食パンに、ホクホク食感のカボチャ、ホエイで伸ばしたホワイトソースやミートソースを合わせて仕上げた逸品。発酵ショウガを利かせた塩糀卵と酸味の副菜やサラダも一緒にめしあがれ♪
スイーツ類も充実。「米糀チーズケーキ」は、ハッピー太郎醸造所の米糀を甘酒と生クリームで炊き、スコーレのフレッシュチーズを加えた人気メニュー。「ハッピー甘酒いちごスムージー」は、ハッピー太郎さん特製の甘酒に野洲「苺屋はな」のイチゴを合わせた濃厚な味わいがたまりません!
また、通りに面したテイクアウトスタイルのスタンドカフェでは、「近江牛の煮込みと白菜たたみ漬けの滋賀サンド」などをいただけます。あっさりと和風に仕上げた近江牛の煮込みに長浜の伝統食「白菜のたたみ漬け」と葉野菜、タマネギ、ソース代わりに粉末状の和出汁をふりかけて仕上げているのが特徴。長浜散策の食べ歩きや休憩のおともにいかがでしょうか。
滋賀のええもんが揃うストアでおみやげ探し♪
ストアには、「くるみの木」がセレクトした商品がおよそ200坪の店内を埋め尽くしています。その中から滋賀県ならではのおみやげを探しましょう。
米ぬかから抽出した蝋分だけで作る和ろうそくは、やわらかく美しい炎が揺らめき、煙りが少ないのが特徴です。滋賀県高島市にある近江手造り和ろうそく大與が手がけた米ぬかろうそくは、環境にやさしいのはもちろん、蝋垂れや油煙が少なく、おうちでも安心して使えます。かわいいパッケージにも注目です。
長浜市から程近い場所にある伊吹山は、古くから薬草の宝庫として知られ、この地域の人々は薬草を使った商品を生活の中に取り入れています。よもぎエキス入りの無添加のモグサバームは毎日のお肌のケアに最適。乾燥しやすい人におすすめのよもぎ石鹸は、天然のグリセリンを多く含む、国産よもぎ100%の石鹸です。
バスタイムがさらに充実する入浴剤もおみやげにぴったり!湖のスコーレでは、長浜市木之本町の老舗酒蔵が手がけた入浴剤「ナナヒラ酒粕入浴料」をはじめ老舗薬品メーカーが作る入浴剤「麗山湯」の他、奈良の「くるみの木」がプロデュースした入浴剤も販売しています。
発酵食だけでなく多彩なワークショップも開かれる体験教室
メインフロアの奥に設けられているのが、ドイツのメーカー「Miele」の家電を取り入れたキッチン付きの体験教室です。
ここでは、おいしい出汁の取り方をはじめ、チーズや味噌づくりを学べるほか、料理教室やリソグラフ印刷ワークショップなどを開催。予約制の教室・イベントもあるので、詳しくは湖のスコーレの公式webサイトを確認してください。
続いて訪れたのが文化棟にある図書印刷室。こちらには彦根市の本と雑貨のお店「ミッツファインブックストア」がセレクトした新刊書籍に加え、東西の古書市で集めた古書など合わせて約3000冊が並び、手に取ったり購入したりできます。
また、環境に配慮した米ぬか油のライスインクを使用したリソグラフ印刷機もあり、印刷ワークショップの開催や展示を通じて「創意工夫を込めて何かを伝える楽しみを体験できる」機会を提供しています。
文化棟にはギャラリーも併設され、滋賀県甲賀市のアートセンター&福祉施設「やまなみ工房」で生まれたアールブリュット(アウトサイダーアート)の作品を展示。もともと滋賀県では、地域の福祉施設の取組として、アールブリュットの制作活動に力を入れてきた歴史があり、このギャラリーを通して、県内外の様々な地域や福祉施設とも連携し、交流の場になることを目指しているそうです。
滋賀の豊かな自然が育んだ「発酵」という食文化。その魅力を体感できる「湖のスコーレ」は、子どもから大人まで世代を問わず楽しめる施設です。長浜観光の途中に立ち寄りやすいロケーションもいいですね。ぜひ足を運んでみてください。
■湖のスコーレ(うみのすこーれ)
住所:滋賀県長浜市元浜町 13-29
TEL:0749-53-3401
営業時間:11~18時(喫茶室は~17時)
定休日:火曜
アクセス:JR長浜駅から徒歩約5分、北陸自動車道長浜I.C.から車で約10分
Photo:増田えみ(一部施設より提供)
Text:津曲克彦
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