紅葉色づく京都・嵐山へ!福田美術館で江戸絵画をゼロから学ぼう

紅葉色づく京都・嵐山へ!福田美術館で江戸絵画をゼロから学ぼう

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美しい自然と伝統的な文化が融合する日本の名所、京都・嵯峨嵐山。この地に日本文化の新たな発信拠点として2019年に開館したのが「福田美術館」です。今回は、この秋開催中の展覧会『ゼロからわかる江戸絵画 ーあ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪ー』とともに、嵐山が誇るミュージアムの魅力をたっぷりご紹介します。

Summary

四季を彩る嵐山の絶景に寄り添う、福田美術館

嵐山の景色を象徴する桂川。特に紅葉が美しい今の季節は多くの観光客で賑わい、皆思い思いに渡月橋から川面に映る山々の景色をぼうっと眺めています。嵐電嵐山駅を降りて、そんな渡月橋を左手に見ながら、桂川に沿って5分ほど進んだ先にあるのが「福田美術館」です。

周辺の自然に溶け込んでいるモダンな外観。伝統的な京町家のエッセンスを踏まえつつ、これからの100年のスタンダードとなるような新しい日本建築を志向したという建物にも注目です。

展示室へと続く廊下から外を眺めると、四季折々の花が咲く庭を望むことができます。日本家屋の縁側を想起させる、静謐で洗練された空間にうっとり…!

外壁のガラスには、伝統的な網代(あじろ)模様がプリントされており、嵐山を透かし見ることも。

日本画を守るための「蔵」をイメージしたという展示室内。展示ケースの一部は、作品に合わせて壁を動かすことができ、最短で30cmの至近距離で質感や色をまじまじと観察できるように工夫しているんだとか。

美術初心者に新しい楽しみ方を提案する『ゼロからわかる江戸絵画』

長沢芦雪(ろせつ) 作『山水鳥獣人物押絵貼屏風』
長沢芦雪(ろせつ) 作『山水鳥獣人物押絵貼屏風』

福田美術館と嵯峨嵐山文華館が共同で開催している展覧会『ゼロからわかる江戸絵画 ―あ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪―』は、名前の通り、江戸絵画に触れたことのない人でも、その魅力を存分に感じられる展覧会。とはいえ、「日本画に精通していないと、良さがわからないのでは…?」「高貴なイメージなので、見に行っていいのか不安」などという人も多いのではないでしょうか。

そんな日本絵画初心者さんにぜひ見てほしいのが、各絵画の近くに設置されている、今更聞けない基本の「き」から教えてくれるこのパネル。「掛け軸ってどんなもの?」「屏風って右から見るの?左から見るの?」といった基礎知識から、「葛飾北斎は長生きだったって本当?」といった豆知識まで、楽しく学びながら絵画鑑賞ができるんです。

くすっと笑えるキャプションにも注目。 例えばこちらは、葛飾北斎が80歳の頃に描いた『大天狗図』(嵯峨嵐山文華館)なのですが、キャプションには「どう見てもスパイダーマン」の文字が。
確かに、蜘蛛の巣のような背景で、右手を伸ばして飛行する様子は、それにしか見えない…!このように、日本画にツッコミを入れながら観るのも、新しい楽しみ方。肩肘張らず自分らしい楽しみ方でいいんだなと、だんだんと日本画の世界に魅了されていきます。

個人的なお気に入りは、こちらの中村芳中 画、江森月居 賛の『松尾芭蕉像』。キャプションでは、「ゆるかわ芭蕉先生」と称されていました。なんともいえない表情に力が抜けてしまいますね。

美術ファン必見!幻の名作『大黒天図』や、『東海道五十三次』全作品もお披露目

長沢芦雪(ろせつ) 作『大黒天図』
長沢芦雪(ろせつ) 作『大黒天図』

第一会場である福田美術館で、美術ファンを唸らせる本展覧会の目玉となるのが、最近じわじわと人気の出てきている画家、長沢芦雪(ろせつ)の作品『大黒天図』。長い間行方が分からなくなっていた本作品は、なんと52年ぶりに発見されたんだとか。縦164.2cm、横98.6cmという最大級の掛け軸にダイナミックに描かれた構図は、目の前に立つと大きなエネルギーを感じるもの。こっちをじっと見ているかのようなシンメトリーな顔にも不思議と惹き込まれます。

近づいてよく見てみると、足元には繊細なタッチで描かれたネズミたちが。今にも飛び出して生き生きと動き回りそう!

第二会場の嵯峨嵐山文華館では、誰もが一度は教科書で目にしたことがある歌川広重の傑作『東海道五十三次』を展示。「次」とは、宿駅のある場所をさす言葉で、徳川家康時代、江戸と京の間に53の宿駅が設置されており、その道中を描いたことから、その名がついたのだそう。今回、スタート地点の日本橋とゴールの京都・三条大橋を含んだ55枚からなる作品すべてを、前期・後期の2段階に渡って展示しています。

旅人の疲れを癒やす茶屋の情景、馬に乗った武士の威厳、小さな村々での賑わいなど、どの絵も細部まで物語が宿っていて、江戸時代の人々の生活を垣間見るよう。時間を忘れて没入してしまいました。

来館者限定で入れる穴場カフェでひと休み

日本画の楽しみ方がわかってきたところで、渡月橋が最も綺麗に見えるカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」で小休憩を。美術を鑑賞した余韻をゆったりと味わいながら、ドリンクや軽食、スイーツを楽しんで。

「ビーフパストラミとカマンベールのパニーニセット(ドリンク付き)」 1600円
「ビーフパストラミとカマンベールのパニーニセット(ドリンク付き)」 1600円

実はこちら、表参道にあるベーカリーカフェ「パンとエスプレッソと」の系列店。人気店のカスクートを使ったパニーニの味は、間違いないおいしさです。こぼれそうなほどのカマンベールとビーフパストラミはボリューム満点。程よい塩味と野菜のシャキシャキ感で大満足。

「季節の福パフェ(さつまいもとキャラメル)」 1400円※1/8まで。美術館の展示替えに合わせて内容が変わることがあります。
「季節の福パフェ(さつまいもとキャラメル)」 1400円 ※1/8まで
美術館の展示替えに合わせて内容が変わることがあります

13時から提供されるお店の名物、「季節の福パフェ」も要チェック。今秋は、濃厚なさつまいもクリームにさつまいものキャラメリゼ、キャラメルナッツ、メレンゲクッキー、アクセントに甘酸っぱいオレンジの果肉などをふんだんに詰め込んだ、秋らしい福パフェです。

左から時計回りに「マスキングテープ」各550円、「中皿 応挙「仔犬たち」」2530円、「応挙「仔犬たち」マグカップ」2530円、「缶マグネット」各550円、「クッションキーホルダー」各1870円
左から時計回りに「マスキングテープ」各550円、「中皿 応挙「仔犬たち」」2530円、「応挙「仔犬たち」マグカップ」2530円、「缶マグネット」各550円、「クッションキーホルダー」各1870円

カフェの隣には、ミュージアム・ショップも。展覧会に合わせて日本画のデザインが施されたオリジナルグッズや、日常のなかで使いたくなる実用的なアイテムが勢揃い。京都ゆかりの作家による工芸品なども展開しています。

カフェタイムなら、第2会場の嵯峨嵐山文華館に併設しているカフェ「嵐山OMOKAGE テラス」もおすすめ。川沿いから少し入った場所にあるせいか、人通りが少なく穴場スポットなんです。庭に面したテラスで、京の情緒を感じながらくつろぐことができますよ。

「『くちどけもちこ』の小倉あんバタートーストバニラアイスのせ」800円
「『くちどけもちこ』の小倉あんバタートーストバニラアイスのせ」800円

おすすめは、コスパ抜群の厚切り小倉あんバタートースト。国産もち米を使った、お餅のような食感が楽しめる新感覚のパンは、もちもち食感がたまりません。あふれんばかりの大粒の小倉あんは、小豆の食感が程よく残っており、糸状に絞られた有塩バター、豪快にのったバニラアイスとの相性抜群。旅で疲れた身体に優しい甘さが染み渡ります。

絵はがきを切り取ったかのような風景を体感できる嵐山の秋。自然と共鳴する隠れ家のような福田美術館・嵯峨嵐山文華館は、旅のプランに少しアートなスパイスを加えるのに最適。ぜひ、京都へ旅行の際は目的地の一つにしてみてはいかがでしょうか?日本美術の心温まる作品たちが、新しい世界へ誘ってくれるかもしれません。

■ゼロからわかる江戸絵画 ーあ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪ー
場所:第一会場 福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16)
   第二会場 嵯峨嵐山文華館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11)
TEL:075-863-0606(福田美術館)、075-882-1111(嵯峨嵐山美術館)
会期:開催中~2024年 1月8日(月・祝)
開館時間:10〜17時(最終入館 は~16時30分) ※ミュージアム・ショップも同様
休館日:12月5日(火)、12月30日(土)〜2024年1月1日(月)
入館料 :福田美術館1500円、嵯峨嵐山文華館1000円、二館共通券2300円
※福田美術館のオンラインチケットをご利用の方は、嵯峨嵐山文華館を団体割引料金で利用可能。従って、共通券と同じ金額で両館を利用することができます。


Text&Photo:久保田千晴/mogShore 

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。


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