東京から最短約45分の島・神津島へ!美しい星空と水が作り出す島の魅力にふれる旅
地元・東京の「いいところ」を改めて感じ、新しい魅力を都民のみなさんと一緒に生み出していく「あしたの東京プロジェクト」。東京に住んでいても今まで知らなかったさまざまな魅力に気づき、東京の”あした”を考えるプロジェクトです。その第2弾のイベントとして2023年12月に実施された「東京島ネイチャーツーリズム」に、私6151(@6151)が参加してきました。今回訪れたのは、東京都にある伊豆諸島の一つ、神津島。満点の星や美しい水が有名な自然豊かな島で、私がいつか訪れてみたいと思っていた場所の一つです。その名のとおり古の神々にまつわる伝承が多く残る地としても知られていて、地元の方とのふれあいを通じ、神津島の伝説や文化を知ることができました。ちょっとしたハプニングもありましたが、東京・神津島のさまざまな魅力を知るきっかけになりました。
Summary
神津島の“水”と“星”をテーマに島の魅力を知るツアーに参加!
・星空保護区を守るための取組み
・星空ガイド制度とガイド育成の課題について
・「東京の名湧水57選」の湧水など豊富な水の資源
今回、私6151(@6151)が参加したのは、2023年12月16日(土)・17日(日)に伊豆諸島の一つ、神津島で実施された「東京ネイチャーツーリズム」。神津島は豊かな水に恵まれた島として知られ、2020年に東京都で初めて星空保護区に認定されました。島民の生活に根付いている“水”や“星空保護”の取組みを学び、トレッキングや星空観察などさまざまなプログラムを通して、島の魅力を体感できるツアーに参加してきました。島民ガイドによるユニークなトークとともに巡る神津島。その名のとおり神々にまつわる伝説も多く残るこの土地で、神秘的な光景を探す旅へ。
東京から神津島へ行く方法は主に2つ。調布飛行場から飛行機、あるいは竹芝客船ターミナルから大型客船または高速ジェット船で、神津島にアクセスできます。今回、私は飛行機で神津島へ。調布から約45分とあっという間に到着…のはずが、乗った飛行機が強風により着陸ができず一度引き返すことに。二度目も島を目の前にしながら時化で着陸できず、三度目の便で無事15時に到着。私自身もめったにない経験でしたが、島の方に聞くとこのようなことはとても珍しいとのことで、ある意味貴重な体験ができました。
小型プロペラ機から見下ろせるのは深く青い海に浮かぶ神秘的な神津島。映画のようなドラマチックな旅の始まりに胸が高鳴ります。旅にハプニングはつきもの。盛り上がる気分のなか、いよいよ島に上陸です。
神津島は東京で初めて「星空保護区」に認定された島。夜空に光が漏れないよう街灯を光害対策型のものに取り替え、美しい星空を守るための取組みを行っています。星空保護区は単に「星がきれいに見える場所」ではなく、光害から夜を守ることを目的としているため、光害対策のほか光害に関する教育プログラムやイベントを行っていることなどが認定の条件。
光害対策は野生動物の保護やエネルギー節減にもつながっていて、夜の暗闇を守ることが島の自然や人々の暮らしを守ることにもつながっています。目指す目的は「美しい神津島の星空を子や孫に残すこと」。
課題として抱えているのは「島民ガイド」の育成だそう。ガイドは「神津島星空ガイド養成講座」を受講した島民のみなさん。星に詳しいことはもちろん、「島のことを知ってもらいたい」という思いをもって活動されています。ツアー中、質問疑問を投げかけるとウィットに富んだレスポンスをいただけ、ガイドさんの島愛にあふれるトークには思わず顔がほころびました。
島全体まるごと保護区として認定されたという特徴から「ダークスカイ・アイランド」という呼称を使用することが認められているのだそう。国内に4カ所ある星空保護区のうち「ダークスカイ・アイランド」はここ神津島しかないのです。
美しい豊かな水が織りなす島内スポット巡り
・伊豆諸島の神々が集まり、水を分配する会議をしたという水配り伝説について
・美しい海の資源と景観を生かしたスポット
途中参加となった私は島内の水にまつわるスポット巡りから参加!スポットを巡りながら、水と島の関わりについてさまざまな角度から学びます。まず訪れたのは白い砂浜が広がる「長浜海岸」。色とりどりの玉石が流れ着くことから「五色浜」ともよばれています。
「長浜海岸」には、ある伝説が。それは、日本神話に登場する神・事代主命(ことしろぬしのみこと)があちこちに后をつくることに嫉妬した阿波咩命(あわのめのみこと)が、ほかの后たちの宝石を奪い集め、これが玉石になったというもの。そのため、今でも後述する「潮花」という風習以外の目的で海岸の石を持ち出すと神罰が下ると言い伝えられているそう。石は島から持ち出さず美しい光景だけを持ち帰りましょう。
次なる目的地「阿波命神社」を訪れる前に、陽が傾いた「長浜海岸」で、彩り豊かで平たい石探しを。まるで子どものころにした宝探しの続きのような時間を過ごせて心が洗われたよう。
■長浜海岸(ながはまかいがん)
住所:東京都神津島村
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
続いて訪れた「阿波命神社」は、大漁祈願や海上安全祈願など、海と島を結び付ける存在。「長浜海岸」の奥に位置し、緑に覆われた鳥居をくぐり抜けると見えてくる「阿波命神社」は、海のそばとは思えない静けさに包まれていました。
この地では海辺の砂や小石にも神が籠るとされ、これらを「潮花」とよび、神に捧げる習わしがあるのだそう。先ほど「長浜海岸」で拾った平たい石の上に濡れた砂をのせてから、鳥居の下にお供えをして参拝を行います。
「阿波命神社」は「長浜海岸」から歩いてすぐの場所にあるのでセットで訪れると◎
■阿波命神社(あわのみことじんじゃ)
住所:東京都神津島村長浜1-2
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
島の北部に位置する赤崎海岸は島でも人気の岩場の海水浴場。砂浜ではないところが新鮮です!赤崎海岸に造られた全長約500mの木造遊歩道「赤崎遊歩道」は、アスレチックのような気分で渡れる絶景スポット。
展望台からは伊豆諸島北部の島々や、富士山、南アルプスなどを望むことができ、夏には島の子どもたちや観光客が遊歩道に設けられた飛び込み台から海へのダイブを楽しむのだそう。青く透明度の高い海に吸い込まれそうな気持ちになったので、改めて夏にタオルを持参して挑みたいところ。
深さもある入江なので、シーズン中にはダイビングやシュノーケリングなどのアクティビティを楽しむこともできるそう。
この日は日の入りに合わせて訪れたので、淡く暮れていく空と海を眺めながら遊歩道をお散歩しました。高過ぎない展望台なので高所が苦手でもきっと大丈夫。夜は星空スポットとしても人気があり、ここでなら満点の星空をひとりじめできそうです。
■赤崎遊歩道(あかさきゆうほどう)
住所:東京都神津島村神戸山1
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
海岸沿いは海と空が続く眺めのよい景色が続いていて気分爽快。神津島の美しい水は島民の生活に根付いた大切な資源であり、観光スポットとしても生かされていました。神話と照らし合わせて巡るとより旅を楽しめます。
ランタンワークショップで島の魅力をメッセージに込めて
ツアーで星と水を大切にするための神津島での取組みを学んだあとは、島の魅力を振り返りながら、ペットボトルランタン作りのワークショップに参加しました。廃棄予定だったペットボトルを使い、自分が感じた島の魅力などをランタンにメッセージとして記していきます。
私が書いたメッセージはこちら。島での体験と島にまつわるあれこれを詰め込んだ欲張り仕様!かわいい!…と大見え切ってみましたが実はお手伝いいただきやっと仕上げることができたのでした。
ツアー参加中のみなさんが真剣な眼差しでランタン作成に向き合ってる姿、なかなかの熱量に圧倒されたワークショップでした。
まるで天然のプラネタリウム!島民ガイドの解説とともに星空観賞
・集落が島の西側に集中する一村一集落のため、夜の暗さが際立つ星空
・島民ガイドの説明を聞きながら見る天然のプラネタリウム
空も暗くなり、見晴らしのいい「よたね広場」でいよいよお楽しみの星空観賞!
島民ガイドの解説を聞きながらの星空観察は、まるで天然のプラネタリウム!
…という予定だったのですが、残念なことにこの日は曇り空に覆われて運悪く星空を拝むことが叶わず。かなり粘ったのですが晴れそうもないので泣く泣く解散に。
今回は神津島観光協会の”翔ちゃん”こと江藤翔さんに星空ガイドをしていただきました。あいにくの曇り空でしたが、星や神津島に関するクイズの話を聞きながら楽しく待つことができました。島民ガイドの案内はそれぞれオリジナリティがあふれていて地元ならではの話を聞けるところも醍醐味の一つ。初めてでも、季節を変えて再び訪れても、何度でも楽しめるはず。
後ろ髪引かれながら解散になってしまいましたが、タイミングよく天上山の上にある雲の切れ間から無数の星が見えたときには思わず歓喜の声が上がりました。
ちなみに…夜明け前に目を覚ましてダメ元で宿の窓から空をのぞいてみたらすっかり晴れて星がびっしり見えました。これは…絶対にまた訪れてぜひ星空観察にトライしたい!
※星空観賞会については、神津島観光協会の公式サイトをご確認ください。
https://kozushima.com/star/
星の邪魔にならないよう街灯の灯りを少なくするなど、島全体で夜の暗闇を守っている神津島。その様子は、実際に夜空を目の当たりにすることで体感でき、感激。真っ暗闇だからこそ肉眼でもプラネタリウムのようにしっかりと星空を見られることを改めて実感しました。流星群のタイミングでも訪れてみたい!
四方を海に囲まれた“島の山”天上山のトレッキングツアー
2日目は、朝から絶景を求めて天上山のトレッキングツアーへ!天上山は神津島を代表するトレッキングスポットですが、昔から島の神聖な場所とされ、今は国立公園の特別保護区に指定されています。5~6月ごろにはオオシマツツジの花が見頃を迎えます(特別保護区のため植物の採集は禁止されています)。
この日は強風のため、6号目までは車で向かいスタート。8合目から少し絶景を眺めることができました。
360°のパノラマが満喫できる天空の丘や、「新東京百景」にも選ばれた展望地では伊豆諸島を見渡すことも。雨が降ったあとだけに現れるハート型の不動池などみどころも多いので、体力に自信のある方はここでしか出合えない非日常を探してみて!
■天上山(てんじょうさん)
住所:東京都神津島村天上山
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
ツアーではこんなスポットにも!
今回私が途中からの参加になってしまったために体験できませんでしたが、ツアー内ではランチ交流会や、水と神津島について理解を深めることができるさまざまなスポットにも訪れたそうです。
ランチ交流会は、伊豆諸島初のクラフトビールを扱う「HYUGA BREWERY(ひゅーが ぶるわりー)」で。神津島の資源の一つである水を使ったクラフトビールと一緒に、神津島の特産品を使った料理を楽しんだそう。
神津島の特産品を使った料理とともに味わったクラフトビールは、天草や甘夏ピールを使った「じもてぃらがぁ」や明日葉を使った「アンジー」など。島生まれのクラフトビールはすべて島の湧水を使って造られていて、原料も島の食材を使用しているんですって。おしゃれなお店の雰囲気と一緒に島をたっぷり味わい尽くせそうです。
■HYUGA BREWERY(ひゅーが ぶるわりー)
住所:東京都神津島村142-2
TEL:04992-7-5335
営業時間:17時30分~22時
定休日:火~木曜
※ツアーでは特別にランチの時間に訪問
こちらは「東京の名湧水57選」に選ばれた「多幸湧水」。島民愛用の湧き水として有名な場所だそう。実際に湧水の水をコップに汲んで飲むこともできるんです。島のあちこちに湧水ポイントが存在していて、村の水道水は地下水を利用しています。
この多幸湧水の水で炊いたお米がおいしいとの噂も。口当たりがなめらかな水で地元の方もわざわざ汲みに来る方もいるそう。訪れる際はぜひ空のボトルを持参してくださいね。
■多幸湧水(たこうゆうすい)
住所:東京都神津島村榎木が沢
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
神津島に伝わる神話・水配り伝説を象徴する「水配り像」。その昔、神津島の天上山に伊豆諸島の神々が集まり命の源「水」をどのように分配するか会議を行ったという伝説が語り継がれているのだそう。物語では話し合いの結果、分け合った水の少なさに怒った利島の神様がわずかに残った水に飛び込んで暴れ回ると、この水が四方八方に飛び散り、神津島では至る所で水が湧き出るようになったといいます。
島の伝説や歴史を調べて訪れるとより旅が濃厚になりそう。「水配り像」へ訪れる際は前浜海水浴場から望む海を背景に記念撮影を楽しんで!夕焼けタイムならシルエット撮影も楽しめそうです。
■水配り像(みずくばりぞう)
住所:東京都神津島前浜海岸
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
こちらは神津島の開祖・物忌奈命(ものいみなのみこと)を祭る「物忌奈命神社」。集落に近い前浜の漁港の上に鎮座する神社です。毎年8月2日の例大祭には重要無形民俗文化財に指定された「かつお釣り神事」が行われます。
「かつお釣り神事」は、島の暮らしを支えてきたカツオ漁を背景に安全と豊漁を祈願した行事で、青竹を船に、境内を漁場に、そして島民をカツオに見立て、一本釣りを演じる神津島の大行事。釣れたカツオの入札寸劇や女装した若衆の愉快な踊りなどで、カツオ漁の様子を再現しているのだそう。
活気のある歌声や掛け声が響くこのお祭りは年に1度のタイミングでしか開催されていないので、体験したい方はスケジュールを要チェックです。私も次は夏に訪れてみたい!
■物忌奈命神社(ものいみなのみことじんじゃ)
住所:東京都神津島村41
TEL:なし
営業時間:見学自由
定休日:無休
生まれも育ちも東京の私ですが、まだ知らない魅力がたくさんあることに気付いた神津島の旅。島の方々が築き上げてきた文化や歴史、未来に残したいと願う特別な景色はここで暮らす人々が大切に守ってきた資源だからこそ体験できたのだと改めて感じます。
同じ東京都で生きていることを誇らしいという気持ちになるとともに、神津島の水と星を守る取組みとその魅力、そして生産者不足など抱える課題について考えるきっかけにもなりました。何より印象的だったのは島の人々がまとう穏やかな空気。気張った気持ちを解いてくれるようなトーンで迎え入れてくださるので、帰るころにはすっかり島のファンになってしまいました。
東京の「いいところ」を改めて感じ、新しい魅力を都民のみなさんと一緒に生み出していく参加型キャンペーン「あしたの東京プロジェクト」。都内の産業や伝統文化、大自然など、数多くある東京の魅力を体感することで、みなさんも「あしたの東京」について考えてみませんか?
Text:6151
Photo:6151、水戸孝造
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