「四天王寺」聖徳太子が建立したお寺の御利益スポットから御朱印、骨董市までみどころ徹底解説!|大阪
約1430年前に聖徳太子が建立し、日本で最も古い寺院の一つである「四天王寺」。大阪の街なかにありながら甲子園球場の約3倍という広大な境内には、長い歴史を感じさせる伽藍はもちろん、御利益スポットや庭園、御朱印&お守り、骨董市など、みどころが盛りだくさん。所要時間はサクッとなら約1時間、じっくりなら約3時間。じっくり派さん向けに、広い境内をしっかりご紹介します。
Summary
大阪の街なかにある、日本最古のお寺の一つ
推古天皇元年(593)、聖徳太子が日本仏法最初の大寺である「四天王寺」を建立。奈良の法隆寺や京都の広隆寺などとともに、聖徳太子が建てた七大寺の一つといわれています。
『日本書紀』によると、物部守屋と蘇我馬子の合戦の際、蘇我馬子側についた聖徳太子が仏教の守護神である四天王像(持国天・増長天・広目天・多聞天)を彫り、勝利したらその像を安置する寺を建てて世の人々を救うと誓願。その後勝利を収め、建立されたと伝えられています。
「石の鳥居」は、永仁2年(1294)に木造から石造に建て替えられたもの。昔も今も多くの人々がここから参拝しています。
南側にある「中門(仁王門)」は創建当時からあり、今の門は昭和38年(1963)に建てられた八代目。身長約5.3m、重さ約1トンと日本最大級の大きさを誇る、青と赤、二体の仁王像が伽藍を守っています。
一直線に並ぶ伽藍の配置は創建時から!境内のみどころは?
西重門で拝観料を払い、伽藍をロの字型に囲む回廊の内側へ。その際、中門・五重塔・金堂・講堂が一直線上に並んでいることにぜひ注目を。四天王寺最大のポイントで、「四天王寺式伽藍」とよばれる日本最古の伽藍配置になっています。戦火や災害で何度も焼失しながら、1430年前の創建時と同じ場所に配置されています。
回廊内の主なみどころは次の二つです。
■五重塔
創建時に建てられ、今の塔は昭和34年(1959)に再建された八代目です。聖徳太子が六道利救の悲願を込めて六粒の仏舎利(釈迦の遺骨)と六つの髪の束を塔の心中に納めたことから、「六道利救の塔」とも。内部は開放され、四天王の木像や舎利塔が拝観できます。ぜひ上層部まで上がってみてください。
■金堂
本堂にあたる「金堂」では、聖徳太子のご本地仏である救世観音を祀り、四方を四天王が守護しています。中に入って参拝することができます。
毎月21 日の大師会と22 日の太子会、3 月春季彼岸会、9 月秋季彼岸会では中心伽藍が無料で開放されているので、その日に訪れるのもおすすめです。
そのほか、回廊の外にもみどころがいっぱいです!
■太子殿
聖徳太子の御霊を祀る「太子殿」では、前殿に祀られている十六歳像・太子二歳像・四天王を拝観することができます。後殿には1月22日のみ公開される秘仏・太子四十九歳像が祀られています。
■四天王寺宝物館
時間に余裕がある人は、「四天王寺宝物館」へ。7世紀の白鳳時代から昭和まで約500点の寺宝が保存され、その一部を常設で展示。テーマを設けて寺宝を紹介する期間限定の名宝展も開催されています。
一緒に巡りたい御利益スポットはこちら
境内には御利益がいただけるパワースポットも点在しています。
■おもかる地蔵
願いごとを祈念した後に持ち上げて、軽ければ願いが叶い、重たければまだその時期ではないことを教えてくれるお地蔵様。通常は「六寺礼賛堂」の入口で拝観できますが、2026年3月末(予定)までは工事のため、「西大門」近くに祀られています。
■木槌たたき
「万燈院」は紙の衣を着て修業した羅漢をかたどった仏像が祀られ、病気の回復に功徳があるといわれています。入口に木槌と臼が用意され、臼を3回叩いた木槌で病のある箇所を3回叩く、それを2回繰り返せば直る、と伝えられています。
■ちえの輪くぐり
おみくじの創始者でもある元三大師(がんざんだいし)を祀る「元三大師堂」では、「ちえの輪くぐり」を。輪をくぐり、さらに大きな知恵が授かるよう、元三大師のご真言(マントラ)「おんばらだはんどめいうん」と唱えてくぐるとよいそう。
江戸時代初期に造られた庭園は、都会のオアシス
境内には、広さ約1万m²の池泉廻遊式庭園「極楽浄土の庭」もあります。江戸時代初期に着工されたと伝わり、現在の庭は中国の僧侶・善導が説いた「二河白道」の話を元に、明治時代初期に改修されたもの。
生き地獄を表す2本の小川「火の河」「水の河」に加えて、極楽浄土へ至る「白道」、「瑠璃光の池」「極楽の池」と名が付く2つの池 を配しています。
庭園では湯屋方丈にも注目を。江戸時代初期に建立され、幾度も戦災を免れた伽藍で国の重要文化財にも指定されています。
見事なハスが広がる「極楽の池」の脇には、洋風建築「八角亭」も。明治36年(1903)の第5回内国観業博覧会のパビリオンが移築されたもので、今は穴場のフォトスポットになっています。
御朱印やお守、お寺グッズもチェック!
御朱印は20種以上もありますが、王道なら「聖徳太子」と書かれた「太子殿」と、「大悲殿」と書かれた中心伽藍「金堂」の御朱印がおすすめ。御朱印は「西大門」近くの「納経所」で授与されています。
オリジナルの御朱印帳も要チェック。開くと「浪速名所図屛風」の一部がパノラマに広がる、豪華絢爛な「浪速無地帖」が人気だそう。グリーンの「四天王寺 無地宝印帖」には、「大日本佛法最初 四天王寺」と書かれています。
お守りは多種多様ですが、イチオシは四天王寺でしか取扱いのない「八方除守」と「孝養御守」の二つ。「八方除守」はすべての災難を取り除き、八方ふさがりになるのを防ぐ御利益があります。「孝養御守」は柄香炉を持ち、父の病気平癒を祈願した聖徳太子にちなんだもので、健康・長寿・病気平癒に御利益があります。
参拝記念には、仏像や寺宝の肖像画が描かれたクリアファイルをぜひ。聖徳太子の御持仏という伝承をもつ阿弥陀三尊像や、細やかな美しい光背をもった聖徳太子童形像などがあります。
毎月21・22日は骨董市。お宝を探そう
毎月21・22日には、約300の露店が並ぶ大規模な骨董市を開催。古道具や陶器、着物、日用品など、昭和を感じさせる懐かしの品々を見ていると、あっという間に時間がたってしまいます。
場所や時代を問わずセレクトされたアンティーク雑貨が並ぶ、「古道具オノマトペ」。ひと際目をひくかわいさで、どんどん売れていくので、お気に入りに出合ったら即購入するのがおすすめです。
アンティーク着物のお店が多いのも特徴です。カラフルな着物が並ぶ「着物屋はやし」では、着物1000円~、帯1500円~と値段もお手ごろ!
ミニサイズの多肉植物を数多く扱う「花笑萬屋」など、アンティーク以外のお店もあり、見ごたえがあります。
食べもののお店もあります。おすすめは「南大門」の近くにある赤飯のお店。屋台の裏で蒸し上げたホカホカの赤飯はあっという間に大行列ができるほど人気なので、朝早く行くのがベストです。
ほかにも広島焼や100円のお好み焼、甘酒、コーヒー&パンの店などがありますよ。
「四天王寺」へのアクセスは?
公共交通機関で行く場合は、Osaka Metro谷町線の四天王寺前夕陽ケ丘駅、4番出口から南へ徒歩5分。四天王寺前夕陽ケ丘駅の改札口にある、矢印で道筋が描かれた案内地図をぜひ参考にしてみてください。
そのほかの行き方は、
・JR大阪環状線天王寺駅から北へ徒歩12分。
・Osaka Metro御堂筋線天王寺駅から北へ徒歩12分。
・近鉄南大阪線阿部野橋駅から北へ徒歩14分。
車の場合は、
・環状線方面からの場合は、阪神高速道路14 号松原線夕陽ケ丘出口から車で約6 分。
・松原方面からの場合は、阪神高速道路14 号松原線文の里出口から車で約10 分。
駐車場は、四天王寺の南大門に隣接した有料のコインパーキングを使用します。
大阪の街なかにあり、気軽に訪れることができる「四天王寺」。約1430年という長い歴史を今に伝える伽藍を鑑賞したり、御利益スポットを巡ったり、骨董市をのぞいたり、思い思いに楽しんでみてください。
■和宗総本山 四天王寺(わしゅうそうほんざん してんのうじ)
住所:大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
TEL:06-6771-0066
料金:拝観自由(伽藍拝観300円、宝物館500円、庭園300円)
営業時間:伽藍・庭園8時30分~16時30分(10月~3月は~16時) ※庭園の入園は閉園30分前まで
定休日:無休
Text:こばやしみもざ
Photo:沖本明
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●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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