約2000本の竹林が広がる鎌倉・報国寺「竹の庭」で優雅なお抹茶タイム【2024年1月10日更新】
鎌倉の“竹寺”としても名高い「報国寺」には、約2000本の孟宗竹(モウソウチク)が生える幻想的な「竹の庭」があります。しかも、散策するだけでなく、竹林を眺めながらお抹茶で一服ができるんです。非日常の空間でゆるりとしたひとときを過ごせば、心のデトックス&元気のチャージは完了!孟宗竹は一年を通して楽しめるので、季節を問わず「竹の庭」が堪能できますよ!
約2000本もの孟宗竹が広がる「竹の庭」へ
鎌倉の「竹の庭」で知られる「報国寺」へは、JR鎌倉駅東口からバスか徒歩で。バスの場合は、京浜急行バスで約10分。「浄明寺」バス停から歩いて3分ほどで山門「薬医門」に到着です。徒歩の場合は約30分。鶴岡八幡宮を抜けて金沢街道沿いをのんびりと散策しながら向かえば、その距離も案外苦にならないもの。時間にゆとりがあるのなら徒歩がおすすめです。
山門をくぐり季節の草花が咲く庭をその先へと進むと、目の前に本堂が。ここには鎌倉市指定文化財の本尊・釈迦如来坐像が安置されています。目指す「竹の庭」は、この本堂の奥に広がっているんです!
さっそく「竹の庭」へ!混雑時は入場制限が行われるので、比較的見学者の少ない開門直後から10時台が狙い目です。
一歩足を踏み入れると……。そこには約2000本もの孟宗竹(モウソウチク)による幻想的な世界が広がっていました。石の小道の途中には苔むした石塔や石仏も置かれています。孟宗竹は一年を通して楽しめるので、季節を問わず「竹の庭」が堪能できるのもうれしいポイント。
竹林の中間まで進んだら、ぜひ真上を見上げてみてください。葉の間から射し込む陽光やさらさらと聞こえる竹の葉ずれの音は、心地よさだけでなく非日常をもたらしてくれます。足を止めてゆっくりと深呼吸するのもいいかも。
お抹茶が楽しめる「休耕庵」へは、小道の突き当りを左に。右側へ進むと「足利氏一族の墓(やぐら)」や枯山水の中庭があります。
「竹の庭」を眺めながら贅沢なお抹茶タイム
茶席で一服する場合は、あらかじめ“抹茶券”が必要となるのでくれぐれもご注意を!本堂横の受付で拝観券と同時に購入してくださいね。
竹林に沿うように緩やかに湾曲している「茶席 休耕庵」。座席は「竹の庭」と向かい合うように配されているので、どこからでも見事な景色が楽しめます。
目の前に広がる竹林に目を奪われがちですが、庭の左奥には苔むした岩の間を流れる滝もあるんです。
お抹茶には2種類の落雁が添えられます。この日は竹と金魚。そのほかにも報国寺ゆかりの足利家の家紋や桜、モミジなど季節の干菓子もお目見えするそうです。ちなみに懐紙に描かれたこの竹の模様は、先代住職が描いた墨絵なんですって。
その日の天気や時間、季節によって、茶席から見える竹庭の姿はさまざま。何度訪れても新しい発見がありそうです。お抹茶の味わいにひたりながら、優雅なひとときにうっとり。
「竹の庭」以外にもみどころが充実!
孟宗竹(モウソウチク)の竹林が有名で、「竹寺」ともよばれる「報国寺」ですが、その敷地のすべてが竹で覆われているわけではなく、本堂をはじめ枯山水庭園や足利氏一族の墓(やぐら)など、実はみどころが多彩なんです。
ここであらためてお寺の歴史を少し。
「報国寺」の創建は1334年(建武元年)。臨済宗・建長寺派の禅宗寺院です。開基(かいき:寺院の創立者であり、現代でいうところのスポンサーの役割)は、足利尊氏の祖父・足利家時ですが、上杉重兼もお寺の創設にかかわっているのだそう。それゆえ、足利・上杉両家の菩提寺としても栄えました。
こちらがその足利氏一族の墓(やぐら)です。“やぐら”というのは、岩肌をくりぬいて造られた横穴式の墓所のことで、このスタイルは平地の少なかった鎌倉特有のものなのだそう。近くまで行くことはできませんが、貴重な史跡は一見の価値ありです!
桜やモミジなどのほか、黄色い小花を咲かせるサンシュユや、日本最古の薬物辞典にも出てきたというラン科の植物・セッコクなど四季折々の花も楽しめます。
一年を通して約2000本の孟宗竹(モウソウチク)の美しい庭を堪能できる鎌倉屈指の「竹の寺」。喧騒がいっさい届かない静かな「竹の庭」で、いつもとは違った時間を過ごしてみてはいかがでしょう。
text:清沢奈央
photo:櫻井めぐみ
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