【おとなのソロ部】目黒・不動前「東京水引」のワークショップが楽しい!水引で作る洗練されたピアスやイヤリング
祝儀袋やお祝いごとの贈答品に用いられる飾り紐・水引。和紙やパルプを”こより状”にしてのりで固めたもので、現在では装飾品やアクセサリー、インテリアなど、多岐にわたって利用されています。今回はそんな水引を使ったアクセサリーブランド「東京水引(とうきょうみずひき)」のワークショップで、ピアス作りに挑戦してきました。繊細に結ばれる水引を想像すると取り扱うのが難しそう…と思いきや、とても素敵に仕上がりましたよ。
「人と人を結ぶ」カラフルな水引の世界に没頭できるギャラリー
水引アーティスト・中村江美さんが2020年に立ち上げた水引のアクサセリーブランド「東京水引」。東京・目黒の目黒不動尊近くに構えられたオフィシャルギャラリーでは、ワークショップの開催や商品の販売がされています。
作品のコンセプトは、「『人と人を結ぶ』をもっと身近に」。「東京水引」の作品は、水引がもつ気品を大切にしながらも、ほかの素材と融合させたり、新しい技法を採り入れたりと、固定観念に捉われない自由な創作性により作られています。
ギャラリーに入ると、中村さんによって制作された作品がずらり。こちらのうちなんと常時500点以上は、実際に買うことができるそうです。作品はアクセサリーが中心ですが、ランプシェードなど大きな作品も。中村さんが2023年のG7広島サミットでの会食用に手がけたという、テーブルランナーも飾られていました(写真左上)。
アクセサリーという小さな世界観のなかで繊細に表現される水引の美しさに、しばし見入ってしまいます。いろいろな結び方があって一つとして同じものはなく、これがあの細い水引1本から作られているなんて、信じられません。
水引の歴史は古く諸説ありますが、隋に渡った遣隋使・小野妹子が無事に帰国できるようにと祈願し、献上品に紅白で染め分けをした麻ひもを結んで日本へ持ち帰ったのが始まりともいわれています。一度結ぶとなかなかほどけないことから、繰り返したくない行事である冠婚葬祭などに用いられるようになりました。お祝いごとでは赤・白・金の水引が主流ですが、実は水引にはさまざまな色があります。今回のワークショップでは、数ある色のなかから好きな色を選んで作ることができるというから、楽しみです。
まずは水引の色選びから。仕上がりを想像しつつ選ぶのが楽しい!
ワークショップでは、中村さんが直々に教えてくれます。今回チャレンジするのは、1時間で両耳のピアス(イヤリングも可)を作るという内容(材料込みで3800円)。完成系の見本として、こちらのピアスを見せていただきました。葉っぱのような形は、水引の基本的な結び方である「あわじ結び」をベースにした「葉っぱ結び」とよばれるものだそう。なんだか難易度が高そう…。これを1時間で仕上げることができるかな…。と心配していると、「初めて水引でアクセサリーを作る方も満足いく仕上がりで帰られますので心配ありませんよ」と、中村さん。今回のワークショップでは、2本もしくは3本の水引を使い、ピアスを作っていきます。編み方は同じでも、色選びや編む形によってまったく違う雰囲気になるそうです。
まずはじめに、水引の色選びから。写真はほんの一部で無限というほどに色があるので、仕上がりを想像しながら選ぶのが、思った以上に楽しい作業です。鮮やかな色から渋みのある色まで、本当にいろいろな色味があってびっくり。「ピアス作りは40分もあればできるので、色選びに10分くらいかけても大丈夫ですよ」と、中村さん。なかなか色が決められないという人は、事前にイメージを膨らませておくのもいいかもしれません。クール系やかわいい系など、仕上がりイメージを伝えつつアドバイスをいただきながら、色を決めていくのも一つです。
一つのピアスを作るのに、2色か3色を選びます。2本だとバランスを整えやすく、3本だとボリュームが出て華やかな仕上がりになりやすいそうです。
今回選んだのは、こちらのピンク系の色3本。ギャラリーに入った瞬間に、ネオンピンクで編まれた水引の作品に目を惹かれたというのが、これらの色を選んだ理由です。よく見ると分かるように、色によって素材や細さも異なります。
選んだ3色の水引で、アクセサリーを作っていきます。まず、この3本の並び順をどうするかを決めます。外側にどの色を持ってくるかで同じ3色でもずいぶんと印象が変わるのがおもしろく、ここでもしばらく迷いながら進めていきます。
色順を決めたら、目打ちやペンの背中で水引をしごいていきます。水引がピンとまっすぐに張った状態だと、キレイな曲線で結んでいくことができません。今回は「あわじ結び」でピアスの形を作っていくため、この作業が結構大事なのだとか。直線を表現する仕上がりにしたい場合は、この作業を割愛することもあるそうです。「自宅で行う際など道具がない場合は、指でやっていただいても大丈夫ですよ」と、中村さん。
中村さんが横で一緒に制作を進めてくれるので、安心して進めていくことができます。不明な点があればいつでも聞きやすく、楽しい雰囲気です。
右と左の長さが同じになるようなセンターの位置で、向かって右の水引3本が上に交差するように真ん中に輪を作ります。このとき水引の色並び順をずらさないよう、左手は余計な力を入れずに、右親指で水引をそっと上に置くようにのせるのがポイント。水引の並び順がずれてしまっていないか、チェックしてもらいつつ進めます。正しい水引の色並び順で輪を作ることができたら、左指で左側の水引を持ってさらに輪を作っていきます。慣れないうちはちょっと難しいけれど、楽しい!
教わりながら、さらに輪を作っていきます。常に意識したいのは、水引の色並び順。水引の先端の色並び順さえ合っていれば、内側から1本ずつ引っ張りながら調整することもできるので、焦らずゆっくりと。
結ぶときは上からか下からか、水引をどうくぐらせていくのかを都度聞きながら進めていきます。今回選んだピンクの水引は少しやわらかめの素材だったようで、その場合は若干の編みづらさがあるようです。硬めの水引のほうが結びやすいので、色選びの段階で硬めの素材のものを選ぶのもいいでしょう。
こうして一つあわじ結びができたら、あとは繰り返しの作業が続きます。水引の色順に気をつけながら、丁寧に行っていきましょう。結び目の空洞の大きさでも仕上がりイメージが変わるので、どんなふうにするかを思い浮かべながら結んでいきます。
作業をするなかでもう一つ大切なのが、先端の水引の長さを揃えつつ進めること。ハサミで切りながら揃えると、水引がどんどん短くなってしまいます。手の甲で先端を揃えながら進めるコツを覚えると、仕上がりのデザインの自由度が高くなります。
通し方が合ってるかどうか、その都度確認をしてもらいながら進められるので安心を。「内側のこの色から引っ張りましょう」などと、丁寧にアドバイスをしてもらえますよ。結び目をいくつ重ねるかは、好みでOK。仕上がりを大きくしたいかコンパクトにしたいかなどのデザインイメージを伝えつつ、アドバイスをもらいながら進めましょう。
結ぶときに結び目の形を、都度好きな大きさに調整しつつ、全体を形作っていきましょう。結び目の空洞の大きさだけで印象が変わるのがおもしろく、つい夢中になってしまいます。
何度かあわじ結びを繰り返し、完成に近づいてきました!中村さんが横で同じ工程で順を追って作ってくれていましたが、こうして二つ並べてみると、全然違う雰囲気の仕上がりに。選ぶ色や結び方でこんなにも違う印象になるなんて、おもしろいですね。丸い結び目の部分を尖らせると、また違う印象に。したい形を思い浮かべながら、結び目の空洞の大きさや形を調整し…。
片方を編み終わったら、もう片方を同じ要領で作っていきます。一緒の色にしても、まったく違う色に変えてもOK。同じ色を選んでまったく同じ形にするのはなかなか難しそうだな…ということで、今回はアシンメトリーのピアスにするべく、違う雰囲気の水引の色を選んでみました。
「さっきひと通りやってみたので、手が慣れていると思いますよ」と、中村さん。とはいえ1本の水引から編んでいくのはやっぱり難しい…。けれど、たしかに1回目よりも指がスムーズに動く気がします!
丸カンとピアスの金具を付けたら完成です!不器用な筆者はできるかな…と心配していましたが、かわいい仕上がりで大満足。自分でこれを作ったとなると、愛用したくなる気持ちが高まります。シンプルなニットやスウェットに、アクセントとして合わせたらかわいいだろうな。
アクセサリーの金具の種類はこんなにあります。ピアスでもイヤリングでも自在。どれを選ぶかでも、だいぶ印象が変わりますよ。
完成したピアスは、選んだ台紙にのせた状態でラッピングして持ち帰ることができます。さらに、自宅でも今回教わったピアス作りに挑戦することができるようにと、水引のおみやげも持たせてくれました。こちらも、好きな色の水引を選ぶことができます。
体験後は印象もまた変わる!ギャラリーでショッピング
ワークショップを終えた後は、ギャラリーでショッピングして帰るという人がほとんどだそう。自分で水引を編む経験をした後にもう一度作品を見ると、少し見え方が変わってくるから不思議です。アクセサリーは、ピアスやイヤリングだけでなく、リングもあります。水引の伝統的な結び方が使われているものの今のファッションにもなじみやすいデザインで、日常使いができるものばかり。今回のワークショップではあわじ結びと葉っぱ結びでしたが、ほかにもいろいろな結び方があるので、ぜひ学んでみたいですね。
「東京水引」のアクセサリーはオンラインショップでも販売されていますが、こちらのギャラリーでは、実際に作品に触れながら選ぶことができます。ワークショップに参加する場合は予約が必要ですが、来店の予約は特にいらないので、ふらりとのぞいてみるのもいいですね。
色鮮やかな水引を用いた作品も個性があり素敵ですが、このようにシルバーとゴールドベースのものも人気です。フォーマルシーンのコーディネートにも合わせられそうなデザインのものもたくさんありました。おみやげにぜひ買って帰りたいですね。
1本の水引をどんどん編み進めて、一つの形に。日常では、なかなかできない体験です。慣れないうちは水引の色並び順をキープしながら編んでいくのが難しかったですが、中村さんが丁寧に教えてくれるので、安心してトライすることができますよ。
■東京水引(とうきょうみずひき)
住所:東京都目黒区下目黒3-8-6 ラックハウス目黒1F
TEL:050-5587-1057
営業時間:11~17時(土・日曜は~18時)※ワークショップは不定期開催
定休日:火曜
■おすすめの利用シーン:自分がデザインするオリジナルアクセサリーを作りたいとき、「何かをつくる」という体験に没頭したいとき、水引の歴史にふれて学びたいとき
Text:松崎愛香
Photo:日高奈々子
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