【北海道】「札幌芸術の森」〝かんじき〟で雪上散歩!? 札幌国際芸術祭も開催中
地下鉄南北線真駒内駅からバスで約15分、気軽に訪れられる場所でありながら豊かな自然と広大な森の中でさまざまなアート体験ができる「札幌芸術の森」。広い園内では3月上旬まで、伝統的な〝かんじき〟を履いて一面白銀の野外美術館を巡る「芸森かんじきウォーク」が体験できるほか、屋内美術館で札幌国際芸術祭会場の一つとしてユニークなメディアアーツを鑑賞することもできます。予約不要で気軽に陶芸などを楽しめるクラフト体験も一年を通じて開催中。次の休日にぶらりと出かけてみませんか。
Summary
北海道の豊かな自然に包まれ、全身でアートを体感
森に囲まれ川や池など水辺もある約40haもの敷地をまるごと、見て触れて作るアートの空間にした「札幌芸術の森」。地元の人たちには「芸森(げいもり)」の愛称で親しまれています。「車がないと行きにくい」と思っている人もいますが、真駒内駅からはバスが約15分おきに運行されておりアクセスも良好。駐車場も561台分が用意されています。
ただし札幌中心部に比べて積雪量が多く気温も低いため、しっかりとした防寒対策をお忘れなく!
広大な園内には、札幌芸術の森美術館や野外美術館のほか、クラフト工房、工芸館、貸工房、野外ステージやアートホール、有島武郎旧邸などが点在します。建物内や野外美術館、野外ステージを除き、芸術の森園内の散策は無料のため、愛犬との散歩やウォーキングを楽しむご近所さんの姿も見かけます。
〝かんじき〟を履いて、銀世界の森にたたずむ彫刻たちに会いに行こう!
最初のお目当ては野外美術館。起伏に富んだ緑豊かな7.5haのエリアに、日本の現代彫刻家の作品やノルウェーの彫刻家グスタフ・ヴィーゲランの作品など、74点が展示されています。作品の多くは作家が実際にこの地を訪れ、地形や札幌の気候などを知った上で、それぞれの場所のために新たに制作したものだそう。
夏は多くの市民がピクニック気分で作品巡りを楽しみますが、毎年1~3月には「芸森かんじきウォーク」が開催され例年大人気。〝かんじき〟とは伝統的な雪国の履き物で、これを履くと足が沈むことなく雪の上を歩くことができます。
かんじきと長靴の貸し出し受付を行っているのは、野外美術館入口にある芸術の森センター1階の事務室。自分のスノーシューやかんじきを持ち込むこともできますが、その場合も必ず受付を済ませてから。除雪済みエリアや立ち入り禁止エリア、作品の配置、館内で見られる動物やその足跡などを解説した可愛いイラストマップがもらえます。
かんじきの履き方にはちょっとしたコツがありますが、センターのロビーにある動画と資料を見ながら自分でチャレンジしてみましょう。分からない場合にはスタッフに相談すると、親切に教えてくれますよ。
かんじきが履けたらさっそく屋外へ。除雪済みのルートだけでなく、ポールやロープで示された立ち入り禁止エリア以外はどこを歩いてもOKだそう。道のほとんどは雪に覆われていて、まだ誰も歩いていない新雪を踏んで彫刻に会いに行く気分は格別です。
降り積もった雪の上に立つことで目線の高さが変わるため、夏には下から見上げていた彫刻の顔を同じ目線でのぞき込めるなどの楽しさも。天候や時間帯によって彫刻の見え方が変化するのも野外美術館ならではの魅力です。
スタッフの方におすすめスポットを伺うと、「年々成長を続ける赤エゾ松を作品にした≪北斗まんだら≫や自然光の角度によって思いもかけない美しいきらめきを見せてくれる≪大地からの閃光≫、また少々歩くことにはなりますが日本で唯一ヴィーゲランの作品を見ることができる『ヴィーゲラン広場』もぜひ訪れてほしいですね」と教えてくれました。
広大な敷地が一面白銀の世界に覆われた野外美術館。天候や体調と相談しながら、無理なくアート体験を楽しんでくださいね。
■札幌芸術の森 野外美術館「芸森かんじきウォーク」
開館時間:9時45分~15時30分(入場は15時まで)
開催期間:1月上旬~3月上旬
料金:大人用かんじき貸出500円、小学生以下無料
※ストック、ポール、そり、スノーボードなどの使用、やぶや森の中への立ち入り、ペット連れでの入館は禁止です。
「ごちそうキッチン 畑のはる」で冷えた体を芯から温める!
さて、お腹が空いたら芸術の森センターに戻り、2階のレストラン「ごちそうキッチン 畑のはる」へ。こちらは春~秋は北海道の野菜をふんだんに使うビュッフェ形式のレストランですが、冬はテイクアウトのおむすびと豚汁がメイン。炊き立てご飯とアツアツの豚汁が冷えた体を芯から温めてくれます。購入した商品は、店内のイートインスペースのほか、センター内の椅子などでも飲食できます。
■ごちそうキッチン 畑のはる(ごちそうきっちん はたけのはる)
営業時間:11~15時(14時30分LO)
今だけ!「札幌国際芸術祭2024」のユニークな展示で〝メディアアーツ都市・札幌〟を実感
有島武郎旧邸など一部施設は冬季閉鎖となりますが、札幌芸術の森美術館やクラフト工房は春~秋と変わらず一年を通じて開館しています。
札幌芸術の森美術館は「札幌国際芸術祭2024」の会場となっており、館内は「メディアアーツの森」のタイトルのもと、テクノロジーを駆使したユーモアや意外性にあふれる展示が行われています。
「明和電機 ナンセンスマシーン展 in 札幌」では、「オタマトーン」で知られる明和電機が開発した奇想天外な形や仕組みを展示。体験型の作品に触れ「常識ってなんだったっけ?」と自分に問いかけながら、次々に楽しい発見ができるに違いありません。
毎時15分から行われる電動楽器の自動演奏も必見です。
もう一つの企画展「メディアアーツ都市・札幌って知ってました?」では、札幌発のテクノロジーやクリエイティブ産業に着目した展示が行われています。
札幌国際芸術祭2024終了後、2024年4月6日(土)から6月16日(日)は「遠藤彰子展 生生流転」を開催予定。その頃には雪解けも進み、館内・館外ともにまったく違った情景が広がるのが楽しみですね。
カフェは冬季休業中ですが、ミュージアムショップ 「polaire」は通年営業。芸森オリジナルグッズや道内アーティストの作品、美術関連商品などを手に入れることができます。
■札幌芸術の森美術館 (札幌国際芸術祭2024)
開館時間:9時45分~17時(入館は16時30分まで)
開催期間:2024年3月3日(日)まで(月曜休館。祝日の場合は火曜)
入館料: 個別鑑賞券一般1500円、学生800円
予約不要でふらっと楽しめるクラフト体験、お気に入り作品の購入も
美術館隣のクラフト工房では、予約不要で気軽にものづくり体験ができる「ふらっとクラフト体験」を毎日開催。陶芸を選んだ場合は、後日専門スタッフが釉薬がけと焼成を行い、完成した作品を自宅に配送してもらえます。旅の素敵な思い出づくりにもピッタリですね。
クラフト工房ではそのほかにも毎月、陶芸やテキスタイル、七宝などさまざまな分野の講習会を行っており、初めての人でも楽しく安心して体験ができます。事前予約制の講習会の最新情報や申し込み方法はホームページやSNSに掲載されています。
■札幌芸術の森 クラフト工房「ふらっとクラフト体験」
開催日・受付時間:毎日10~16時
料金:メニューにより異なります
※詳細はホームページをご参照ください。
クラフト工房のお隣、工芸館内のクラフトギャラリー「ベストポケット」では、作品を鑑賞するだけでなく、手に取って質感を確認することや、気に入った作品を購入できるのが特徴です。
北海道・札幌の作家の作品が中心で、出展作品は季節ごとにチェンジ。現在は「暮らしのとなり」をテーマに、ふんわりとした草木染め羊毛の織物や温かみある質感の陶芸など19作家の作品を展示しています。
見て楽しむのはもちろん、自分用のおみやげ、大切な人へ贈り物にも最適な一品がきっと見つかることでしょう。
■工芸館内 クラフトギャラリー〝ベストポケット〟「暮らしのとなり」
開館時間:10~16時
開催期間:2024年3月3日(日)まで
各施設でアートに触れられるだけでなく、施設全体で一つのアート作品と言えるほど美しい自然に包まれた札幌芸術の森。一日では楽しみ切れない魅力がいっぱいに詰まっていて、何度でも訪れたくなってしまいますね。
■札幌芸術の森(さっぽろげいじゅつのもり)
住所:札幌市南区芸術の森2丁目75
TEL:011-592-5111(代表)
開館時間:9時45分~17時(6~8月は~17時30分)。野外美術館・札幌芸術の森美術館の入館は閉館30分前まで。
休園日:11月4日~4月28日の月曜日(月曜が祝日の場合は翌平日)
Text:石渡裕美
Photo:札幌芸術の森、石渡裕美
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