【福島県南相馬市】新定番ご当地グルメは地元民が熱愛するカツオ!伝統行事・相馬野馬追とのカンケイ、提供店のこだわりを徹底調査
喜多方ラーメンになみえ焼そば、ソースカツ丼など、ご当地グルメが豊富な福島県。今、次なるバズりグルメとして注目されているのがカツオです!カツオグルメで盛り上がっているのは、太平洋側・浜通りの北部に位置する南相馬市。「なぜ南相馬市でカツオなの?」という疑問から、各飲食店で提供される個性豊かなカツオ料理まで、詳細をリポートします。
Summary
南相馬市の老若男女がカツオ好きなワケは?地域で愛される食べ方は?
カツオと聞いてまず思い浮かぶのは、高知県や静岡県焼津市ですが、実は福島県南相馬市でも古くからカツオがよく食べられ、地元民はカツオが大好き。家庭の食卓にもカツオがよく登場するのだそう。それには南相馬市の伝統行事「相馬野馬追(そうまのまおい)」と深い関係があります。野生馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことが起源といわれる相馬野馬追。南相馬市原町区では明治30年ごろまでカツオ漁が行われていて、相馬野馬追の行われる時期とカツオが獲れる時期が重なることから、戦に“勝つ”という験担ぎとして、カツオは昔から南相馬市の家庭でよく食べられてきました。
南相馬市ではカツオが旬の夏になると、刺身の柵や丸1匹など、カツオを大量購入する家庭も多いのだとか。買った日にはニンニクやショウガと一緒に刺身で食べ、余ったら焼いたり、油で揚げたりした後、甘辛の醤油ダレに漬け込む「カツオの焼き漬け(焼き浸し)」にするのが定番。夏の常備菜としてご飯のおかずにも、おつまみにもなり、学校給食にも登場するほど、老若男女に親しまれています。
ガッツリ系から洋風アレンジまで!絶品カツオメニューが食べられるお店
南相馬市ではご当地グルメで地域を盛り上げようと、各飲食店でカツオを使った独自のメニューを提供中。カツオを無駄なく、おいしく食べるために工夫された家庭の味が、プロの料理人に手にかかると一体どんな料理に変身するのでしょう?数あるカツオ料理のお店から、3軒をピックアップしてご紹介します。
川口商店
JR常磐線原ノ町駅から車で約5分の「川口商店」は、地元の食材をふんだんに使った創作料理が味わえるお店。東日本大震災以前は相馬野馬追の馬の飼料も扱っていたお米屋さんで、日除け暖簾の模様や小さな四角窓は、漢字の米を模しています。
隣町である浪江町のご当地グルメ「なみえ焼そば」に追いつけ、追い越せと考案された「南相馬焼そば」。地元の学校給食でも親しまれている鈴木製麺に特注した極太麺と、明治時代から続く老舗の今村醤油店の醤油、カツオの粉末出汁を使い、具材のカツオ竜田揚げとよく合うカツオ出汁の風味豊かな逸品に仕上げました。
「川口商店」の4代目である川口雄大さんは、東日本大震災をきっかけに、地元の力になりたいとUターン。休業状態だったお米屋さんの後を継ぎ、その敷地に飲食店や風呂&サウナ棟、宿泊施設を設計・建築しました。「災害があった時に、風雨をしのぐ場所があれば暖かいし、食事をしてお風呂に入ることができれば、身体が休まります。建材には産業廃棄物になってしまう震災ゴミ、地元の木や石、土を使いました。「南相馬焼そば」は、南相馬市のおいしいものを集合させた焼きそば。地産地消のご当地グルメとして盛り上げていきたい」と地元愛あふれるメニューが誕生しました。
「南相馬焼そば」は、隣接する「サウナ発達」でととのった後のサ飯としても大人気!「サウナ発達」には、エスニックなお面に囲まれた石造り風呂や、高湿度・全方位輻射熱でととのう土の洞窟サウナ、「川口商店」の料理が注文できる湯上がり処、外気浴用テラスが揃い、貸切りで利用できます。1日1組限定の宿泊施設「巣宿」もあり、2024年3月には露天風呂も完成予定なのでお楽しみに。
■川口商店(かわぐちしょうてん)
住所:福島県南相馬市原町区本町3-21
TEL:0244-26-5160
営業時間:11時30分~14時、18~22時
定休日:月・日曜、祝日
セデッテかしま
常磐自動車道南相馬鹿島SAに隣接し、一般道からもアクセスできる「セデッテかしま」。セデッテは「連れて行って」という相馬地方の方言で、食事処やおみやげ処、無料のドッグランがあり、ドライブ休憩にぴったりのスポットです。シックな黒い外観は、相馬野馬追の騎馬武者の鎧や兜をイメージしたもので、ロビーでも映像やディスプレイで相馬野馬追を紹介しています。
「セデッテかしま」のカツオグルメは、白髪ネギや大葉、白ごまをトッピングした「カツオ竜田丼」。サクッとした竜田揚げは、おろしショウガを加えた醤油ダレが味の決め手。しっかりとしたボリュームながら、千切りキャベツやたっぷりの薬味と一緒にさっぱりと味わえるため、女性客にも好評なのだとか。
カツオメニューは主婦でもある従業員の方々と話し合いながら開発されました。「地元の家庭ではカツオの刺身が残った翌日には、カツオを揚げて甘辛い味付けで食べることが多いんです。家庭の味をヒントに、薬味を加えてご飯が進む丼に仕上げました」と店長の佐藤孝征さん。佐藤さんご自身、幼いころはカツオの刺身より、翌日食べる揚げ物のほうが好きだったのだとか。
約70席の広さで、天井が高く開放的なレストラン。人気No.1の「なみえ焼そば」760円や、地元食材を使った「南相馬 野馬追カレー」780円など、ほとんどのメニューが1000円以下。「リーズナブルな価格でお腹いっぱいになる」と、観光客や地元の方で賑わっています。
おみやげ処には新鮮な野菜や加工品、工芸品がずらり。商品のほとんどが地元の生産者から仕入れたもので、原町区の「亀屋菓子店」が作る金時豆&こし餡の「小次郎まんじゅう」6個入り756円や、レストランでも提供している「なみえ焼そば」がおうちでも楽しめる「なみえの太っちょ焼そば」2食入り278円などが人気商品です。南相馬ならではのおみやげを買うならぜひこちらで。
■セデッテかしま(せでってかしま)
住所:福島県南相馬市鹿島区浮田字もみ木沢212-1
TEL:0244-26-4822
営業時間:8~20時(「お食事処 はらまち」は10時30分~19時LO)
定休日:無休
美晴湯旅館 万葉亭
JR常磐線鹿島駅から徒歩約10分の「美晴湯旅館 万葉亭」は、カウンターと座敷の計46席の和風居酒屋。浜通り地区の漁港で水揚げされた新鮮な魚介や東北の海の幸、福島県の地鶏、福島牛、地元の旬野菜などの食材を生かし、多彩な料理を提供しています。日本酒の品揃えも豊富で、約20年来の付き合いの酒屋さんから珍しいお酒が仕入れられるのだとか。
創作料理を得意とする「美晴湯旅館 万葉亭」では、洋風アレンジのカツオ料理を提供しています。刺身でも食べられるカツオは、細かいパン粉を薄くつけて、短時間揚げて仕上げることで、ふんわり軟らかな食感に。旨みが凝縮されたトマトソースをつけて食べれば、サクふわでジューシーな味わいが口に広がります。
料理人歴20年以上の桑折祐一さん。「カツオもトマトも旨みと酸味がある食材なので、組み合わせたら相乗効果でおいしくなるんじゃないか」と試行錯誤し、カツオメニューを考案しました。「小さいころにも揚げたカツオをトマトケチャップやソースで味付けして食べていましたね」というように、地元民ならではのおいしい記憶があったから新メニューが生まれたのかもしれません。
日々さまざまなメニュー開発に励む桑折さんは、チーズ入りも考案。カツオの間にモッツァレラチーズをはさみ、断面が食欲をそそるイタリアンのような一皿ができあがりました。
「美晴湯旅館 万葉亭」があるのは「旅館美晴湯」の1階。相馬野馬追やお花見、海のレジャー、釣り、ゴルフなど、泊まりがけで訪れる人に重宝されている旅館で、和室12室、洋室1室があります。おいしい料理と銘酒を堪能したら、そのままお部屋でのんびり…なんて楽しみ方もおすすめです。
■美晴湯旅館 万葉亭(みはるゆりょかん まんようてい)
住所:福島県南相馬市鹿島区西町1-76-3
TEL:0244-46-2057
営業時間:17~22時(21時LO)
定休日:月・日曜、祝日
2024年の「相馬野馬追」は5月に開催!熱狂の3日間を体感しよう
カツオが南相馬市のソウルフードになったのは、「相馬野馬追」があったから。一体、どんな伝統行事なのかというと…、1000年以上も前、平将門が捕らえた野馬を敵兵に見立てて軍事演習に応用したことが始まりだといわれ、甲冑を身に着けた総勢約400の騎馬武者が繰り広げる戦国絵巻のような一大イベントです。3日間にわたって開催され、騎馬武者の隊列が練り歩く「お行列」、人馬一体となり疾走する「甲冑競馬」、高く打ち上げられた御神旗を奪い合う「神旗争奪戦」といったみどころがあります。
1000年以上もの伝統ある行事は、2024年5月25日(土)~27(月)に開催!これまでは7月に実施していましたが、参加する人や馬にも観覧する人にも快適な5月に変更されました。戦国時代の合戦を目の当たりにするかのような豪華絢爛なイベントを見に、また個性的なカツオグルメを食べに、南相馬市に出かけてみませんか。
Text:伊藤あゆ
Photo:浦田真行
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