トルコ・イスタンブールの歴史遺産を堪能!アヤソフィア&地下宮殿を徹底紹介
トルコ・イスタンブールには、ビザンチンとオスマン・トルコという2つの巨大帝国の栄華を誇る、エキゾチックな建築物が数多くあります。必ず訪れたい歴史遺産であるアヤソフィアと地下宮殿について、みどころを詳しくご紹介します。
Summary
アヤソフィアとは?
マルマラ海に突き出した旧市街の丘の上に立つアヤソフィアは、ビザンチン帝国時代の360年に建設。15世紀まではキリスト教の教会として信仰を集めましたが、オスマン帝国時代にイスラム教のモスクに改修。ビザンチン帝国の1000年の繁栄を物語るモザイク画は漆喰で隠され、上からイスラム教の装飾が施されました。
20世紀にトルコが共和制に移行すると、アヤソフィアは無宗教の博物館に転身。しかし2020年、大統領の方針により86年ぶりに再びモスクへと姿を変えました。火災により幾度も再建されながらも、唯一無二の美しさを誇る、ビザンチン建築の傑作です。
建築の特徴と構造
大きさは、南北70m、東西75m、高さ56m、中央ドームの直径31m。この驚異的なスケールの建物は、ユスティニアヌス1世の命で、アンテミウスとイシドロスにより造られました。両名は建築家というよりも、機械技師だったといわれ、さらにアンテミウスは応用幾何学の専門家。巨大な中央ドームを支えるには、数学に基づく綿密な設計が不可欠だったのでしょう。また、長方形で木造屋根のバジリカ式が主流だった当時の教会建築において、巨大な円形ドームはかなり斬新なデザインだったそうです。
モスクとなった内部を徹底解説!
キリスト教画が残る2階ギャラリーへの入場は、現在できなくなりました。礼拝の妨げにならないよう、モスクの内部を見学してみましょう。
祭壇が置かれていた半円形のスペース「後陣」
かつてはキリスト教の祭壇だった場所で、イスラム教の支配後はミフラーブやミンバルが造られ、イスラム教徒の祈りの場に改修されました。ステンドグラスにも、アッラーやムハンマドの名前が記されています。
ミフラーブは、窪みでメッカの方向を示す壁龕(へきがん)。建物の中央にくるよう造られるものですが、キリスト教の聖堂だったアヤソフィアは建物の正面がメッカの方向を向いていないため、やや右寄りになっています。
ミンバルは金曜日の礼拝の際に使われる説教壇。壇の一番上に上がることができるのは預言者ムハンマドのみで、説教を行うイマーム(イスラム教の指導者)は階段の途中で説教を行います。
礼拝が行われる広大な主要空間「内陣」
高さ約56m、直径約31mの巨大な円形ドームに覆われた空間。40本の柱がドームを支えています。ドームの内側にはコーランの一節が刻まれていますが、キリスト教時代には、キリストのモザイク画が飾られていたそうですよ。
有名なモザイク画がある玄関ロビー「拝廊」
入り口から入ってすぐの南北に長い空間。手前の外拝廊と次の間の内拝廊に分かれており、外拝廊には教会時代の金や石棺が展示されています。内拝廊にある「皇帝の門」のモザイク画は必見です。
メフメット2世の命で建立された「ミナレット」
オスマン・トルコ軍の征服後に加えられた尖塔。ここから、イスラム教徒へ礼拝の時間を知らせる呼びかけ(アザーン)が唱えられます。
ビザンチン帝国時代の遺跡「テオドシウス帝時代の教会跡」
404年に最初の火災に遭い、テオドシウス2世が再建した第2のアヤソフィアの教会跡。532年に焼失してしまい、現在は遺構が残されているのみです。聖堂入口の外側にあり、羊を描いた石のレリーフなどが残されています。
アヤソフィアの2つの伝説
ベルガマの壺(Mermer Küpler)
ベルガマの大理石で作られた大きな壺。「かつて金貨の入った壺を掘り当てた農夫が、皇帝にそれを献上した。感心した皇帝が農夫に金を与えると、農夫は壺のみを受け取り、中の金貨は返上した。さらに感激した皇帝は、農夫にそれ以上の褒美を与えた」という伝説があるとか。もとはモスクの外にあり、イスラム教徒が沐浴をする際に使われていたそう。
湿った支柱(Dilek Sütunu)
ユスティニアヌス1世がこの柱に頭をつけると頭痛が治ったという逸話があり、のちに「柱に触れるだけで病が治る」「子宝に恵まれる」などの言い伝えが広まったといいます。現在は、柱の穴に親指を入れて1回転させると幸運が舞い込むといわれ、柱にさわりたい観光客で列ができるほど。柱の保護のため、指を入れる穴以外は表面が板で覆われています。
◾️Ayasofya-i Kebir Cami-i Şerifi(アヤソフィア)
住所:Cankurtaran Mah., Ayasofya Meydani,No.1 Fatih
営業時間:24時間(礼拝時は入場不可。旅行者向けオープン時間は9時〜23時30分、金曜14時30分〜)
定休日:なし
料金:無料
アヤソフィアと併せて行きたい!地下宮殿とは?
ビザンチン帝国時代、アヤソフィアや近くの宮殿に水を送るために造られた地下貯水池。532年にユスティニアヌス1世により建設されました。入口から地下に続く階段を下りると、広大な空間が広がっています。奥行き140m、幅70mの薄闇のなかに大理石の柱が無数に並び、足元には静かな水をたたえた幻想的な雰囲気がただよいます。水の上に見学通路が設けられ、一周できるようになっています。
涙の柱
ギリシャ神殿から運ばれてきたという神秘的な模様の柱。表面に施された模様が涙のような形であることから「涙の柱」とよばれています。
メデューサの首
地下宮殿の最も奥にある2つの柱は、土台部分に恐ろしい形相の顔が彫られています。よく見ると髪がうごめくヘビを表していることから、ギリシャ神話の怪女「メデューサ」をかたどったものといわれています。ヘレニズム時代の遺跡を石材として転用したため、そこにあった石像が柱の土台として使われたなど、その出自は諸説あります。
◾️Yerebatan Sarayı(地下宮殿)
住所:Yerebatan Cad. No.1-3
TEL:0212-512-1570
営業時間:9~22時
定休日:なし
料金:350TL(19時以降は550TL)
Text:るるぶ情報版(海外)編集部
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