【関東】人気温泉地を代表する個性豊かな名宿がラインナップ!「日本 味の宿」8選
群馬県の草津温泉や伊香保温泉、神奈川県の箱根・強羅温泉など、首都圏からアクセスしやすい人気温泉地がひしめく関東エリア。モダンなオールスイート宿から、登録有形文化財の宿、家族連れにやさしい宿まで、ゲストのこだわりに合った宿が多彩に揃います。今回は、JTBのムック『日本 味の宿』から、関東の厳選された名宿を8軒ご紹介します。
Summary
- 豊かな森に回帰する、自然と調和したオールスイート旅館「那須別邸 回」/栃木県・那須温泉
- 渓流沿いの一軒宿で、和モダンに浸る「嵐渓荘」/新潟県・越後長野温泉
- 山人料理を堪能し、天然木のぬくもりにやすらぐ「蛍雪の宿 尚文」/群馬県・水上温泉
- 贅を極めた10室が中庭を囲む、名湯をたたえた別天地「香雲館」/群馬県・伊香保温泉
- 3000坪の自然林と名湯に癒やされる、全10室の料亭旅館「つつじ亭」/群馬県・草津温泉
- 海を見渡すロケーションで「ベビー・ファースト」を実現「季粋の宿 紋屋」/千葉県・南房総
- 強羅の四季と、木や和紙のぬくもりに包まれる「強羅花扇」/神奈川県・箱根強羅温泉
- 2つの源泉が湧く静寂の森の宿「円かの杜」/神奈川県・箱根強羅温泉
豊かな森に回帰する、自然と調和したオールスイート旅館「那須別邸 回」/栃木県・那須温泉
2023年にリニューアルオープンした「那須別邸 回(なすべってい かい)」。森に囲まれた約2000坪の敷地に70㎡以上の広さの客室がわずか10室、すべて間取りやデザインの異なる、リビングと寝室が分かれたオールスイートです。もちろん全室に天然温泉が注がれるお風呂を備えています。リニューアルのテーマは「土着」。和紙や石、木、土といった素材がインテリアに生かされ、客室の土壁にはこの地の土を混ぜているとか。ここに泊まれば那須を五感で体感できる、言わば「那須のショーケース」としての宿。抑えた灯りの中で見えてくるのは移ろいゆく自然の姿。心やすらぐ時が流れていきます。
「其の壱」「其の弐」とシンプルな客室名。今回のリニューアルで新設されたのは「其の八」と「其の九」で、「其の六」と「其の十」(離れ)は全面改装されました。和洋室の寝室にはベッド、和室には小上がり布団を用意。全室にキッチンがあり、ドリンク類はもちろん、湯沸かしポットやコーヒーメーカーも完備しています。こちらが呼ばない限りスタッフが客室に出入りすることはなく、食事以外はすべて客室内で完結するスタイルです。
近隣の生産者から食材を仕入れ、素材のうま味を損なうことなく炭火で焼き上げる「山里懐石料理」。リニューアル前は部屋食でしたが、できたてをすぐに味わえるよう、新設したレストラン「滋味ル」で提供しています。鮎の塩焼きと一夜干しは丸ごといただける野趣に満ちた盛り付け。湯葉や八汐鱒、那須黒毛和牛なども、手を加えすぎずに素材に寄り添う、まさに滋味あふれるおいしさです。
那須温泉は大きく分けて酸性度の高い硫黄泉と、メタケイ酸を含む美肌効果の高い単純泉があります。「那須別邸 回」は後者で、無色透明で少しとろみがある入りやすい温泉。ほとんどの客室に半露天風呂を備え、洗面脱衣スペースも広々と使える設計なので、入浴時にあれこれ荷物を広げても気になりません。ゆったりとした心持ちで湯に浸かれば、野鳥の声や木立の葉ずれの音が耳に届き、森の豊かさに心身がほぐれていきます。
■那須別邸 回(なすべってい かい)
住所:栃木県那須郡那須町湯本206
TEL:0287-76-3180
チェックイン/アウト:15時/11時
料金:1泊2食付5万2800円~(別途入湯税150円)
渓流沿いの一軒宿で、和モダンに浸る「嵐渓荘」/新潟県・越後長野温泉
季節の移り変わりとともに山里の景色に彩られる「嵐渓荘(らんけいそう)」。創業は昭和初期、初代が2年かけて掘り当てた温泉の周りに、湯治逗留できるよう湯小屋を建てたのが始まりだそうです。登録有形文化財の本館「緑風館」は木造3階建て、庭園を望む1階のラウンジは、真空管のオーディオからBGMが流れるぬくもりの空間になっています。そのほか、大きな窓から清流を見渡せる「渓流館」、2022年にリニューアルされたモダンな「翠悠館」と、趣の異なる3つの客室棟があります。
「翠悠館」は、本館からつながる中庭に面した廊下を進むとあります。3つの客室は、畳のリビングとベッドルーム、さらにテラスもあり、里山の静けさに囲まれてくつろげる和モダンの客室です。壁に飾られたアートは新潟県三条市や燕市の伝統工芸品を用いたもので、地元の景観や自然を表現しています。また各室には広々としたデスクが置かれているので、リモートワークやワーケーションでの滞在にもおすすめです。
「日本秘湯を守る会」の会員でもある嵐渓荘の温泉の特徴は「濃さ」にあります。なめると昆布茶のような味わいで、湯に含まれる溶存物質は1万5670mg/kg、国内で温泉として認められる基準値の約15倍の療養泉です。館内には男女別大浴場のほか、敷地の上流にある湯小屋「山の湯」に、貸切りで利用できる「石の湯」「深湯」の2つの異なるタイプの風呂があり、なめらかで保温、美肌効果が高いといわれる湯を堪能できます。
新潟の自然の豊かさを心ゆくまで味わえるのが嵐渓荘の「山里会席」です。食前酒は自家製の野草酒、見た目も楽しめる旬の前菜、清流で洗われ透き通った味わいの「鯉の洗い」など、すべて敷地内に湧く天然水で調理されています。フルコース13品だけでなく、11品のひかえめコースも用意。朝夕食ともに部屋食または専用個室での提供となっているので、家族連れでもゆったりと過ごせます。
■嵐渓荘(らんけいそう)
住所:新潟県三条市長野1450
TEL:0256-47-2211
チェックイン/アウト:15時/10時(プランにより異なる)
料金:1泊2食付2万2000円~(別途入湯税150円)
山人料理を堪能し、天然木のぬくもりにやすらぐ「蛍雪の宿 尚文」/群馬県・水上温泉
谷川岳をはじめ雄大な山々を望む水上温泉郷。温泉街を抜けた奥利根湯けむり街道沿いにたたずむ全9室の宿が「蛍雪の宿 尚文(けいせつのやど しょうぶん)」です。2階建ての母屋と別荘風の離れにあるすべての客室が温泉露天風呂付き。さらに2つの貸切風呂「岩の湯」「螢雪の湯」が無料で利用できるので温泉三昧が楽しめます。敷地を流れる小川にはホタルがすみ、四季を彩る樹木に囲まれた宿はまさに山里。無垢材や天然木を巧みに配したインテリアはどこか懐かしく、やすらぎに満ちています。
開業は昭和47年(1972)、宿名の「尚文」は初代館主の名前に由来します。雪深い土地ならではのどっしりとした構えの母屋に加えて、2014年には「お休み処けやき」と離れ4室が完成。畳や木の風合いが生かされた客室はそれぞれ広さもインテリアも異なる設計で、常に適温の湯で満たされたお風呂の造りも部屋ごとに違います。新緑や紅葉の季節はもちろん、冬になれば白銀の世界で幻想的な雪見風呂を、自室にいながら心ゆくまで楽しめます。
夕食の「山人料理」のコンセプトは「大地を食らう」。地元で採れた食材の持つ、力強い味わいを堪能できます。近隣の契約農家から仕入れる新鮮な野菜や果物をはじめ、「尾瀬ポーク」や「上州地鶏」などの県産ブランド肉、清流で育った川魚に豊富な山菜やきのこを使用。なかでも名物の「山人鍋」は素材のうま味をまるごといただける絶品です。木桶で1年熟成させる味噌やポン酢、かえし醤油など作れるものはすべて自家製。「尚文」ならではの味わいです。
母屋と離れを結ぶ山里回廊の手前に、大きな窓から庭を眺めてくつろげるお休み処「けやき」があります。15時からはコーヒーやお茶、夕方にはワインやお酒、翌朝にはデトックスウォーターなどフリードリンクが並ぶカウンターがあり、貸切風呂への行き帰りにちょっとひと休みするには最適。みなかみの自然や歴史に関する書籍を揃えたライブラリーも併設しています。
■蛍雪の宿 尚文(けいせつのやど しょうぶん)
住所:群馬県利根郡みなかみ町綱子277
TEL:0278-72-2466(受付9時30分~18時)
チェックイン/アウト:15時/10時30分(プランにより異なる)
料金:1泊2食付3万3000円~(別途入湯税150円)
贅を極めた10室が中庭を囲む、名湯をたたえた別天地「香雲館」/群馬県・伊香保温泉
400年以上の歴史を持つ伊香保温泉のシンボル「石段街」から、徒歩15分ほど。「香雲館(こううんかん)」の城壁風の塀を持つ大きな門をくぐり、玄関から一歩踏み込むとそこは別世界が広がります。吹き抜けになったロビーの大きな窓の向こうには、水路を巡らせた中庭中心の空間が広がります。1・2階に配置された全10室の客室は1室ごとにテーマを持ち、伝統的な匠の技が光る和のしつらえとなっています。
旅館でありながら客室ドアはオートロック式の引き戸。ホテル同様のプライバシーと静けさが保たれています。各客室の踏込には、テーマに沿ったアートや伝統工芸品が配され、主室に隣接した書斎風の書院、さらに檜の内風呂(一部シャワーブース)+露天風呂を完備(客室の風呂は温泉ではありません)。例えば「漆」の間なら柱、天井など漆塗りで仕上げ、床の間の床は朱漆、床柱は漆黒に磨き上げるなど、特別な和の世界がそれぞれの客室に広がっています。
全国から旬の食材を集めた会席料理は「季」「味」「器」に趣向を凝らし、日本の四季を堪能できる献立です。もちろん「上州六穀豚」や「赤城和牛」、近隣産のコシヒカリなど地元の逸品も楽しめます。さらに種類豊富なワインに加え、群馬の地酒をグラスで頼めるのもこまやかな心遣いを感じます。夕食・朝食は客室や人数によって部屋食または食事処で。
大浴場「あうるの湯」では、伊香保温泉の「黄金の湯」が源泉かけ流しで味わえます。伊香保の宿ではわずか8軒のみが引湯できる希少な茶褐色の温泉は、古くから効能の高い名湯として知られてきました。男湯女湯ともに同じ設計で、大浴場入り口には各客室の下駄箱がありタオルも完備。時間や人目を気にせず入浴できる部屋のお風呂もいいですが、伊香保へ来たらぜひ「黄金の湯」を味わって帰りたいものです。
■香雲館(こううんかん)
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保175-1
TEL:0279-72-5501
チェックイン/アウト:14時/11時
料金:1泊2食付2万6400円~(別途入湯税150円)
3000坪の自然林と名湯に癒やされる、全10室の料亭旅館「つつじ亭」/群馬県・草津温泉
日本を代表する名湯、草津温泉。湯畑周辺の賑やかさから少し離れた、日本ロマンチック街道沿いにあるのが「つつじ亭(つつじてい)」です。館内には万代鉱源泉から湯を引く大浴場「うららの湯」、湯畑源泉を利用している貸切風呂「玉の湯」(有料)があります。約3000坪という広大な自然林に囲まれた客室はわずか10室。うち4室はサンルーム付きの離れ家。2階建て本館の6室は二間続きでツインベッドのお部屋も用意。全室で源泉かけ流しの湯がいつでも楽しめます。
離れ家はまるで一軒家の造りです。それぞれ意匠が異なりますが、特別室「囲炉裏の間」は和風ダイニングと和室が2間、特別室「暖炉の間」はダイニングルームと和室、ツインベッドが置かれた洋室があり、いずれもサンルームとベランダ、源泉かけ流しの半露天風呂付き。本館は「料亭 花回廊」での食事となりますが、離れ家は夕食・朝食ともに部屋食となるので、家族連れはもちろんプライベートに過ごしたい「おこもり旅」派にもピッタリです。
料亭旅館として知られる「つつじ亭」。築地を始め全国から仕入れる選りすぐりの食材に、料理長の確かな腕が冴えわたる懐石料理は、多くの美食家を魅了しています。絶妙なタイミングで運ばれる海、山、里の幸は月ごとに献立が替わり、舌だけでなく目でも味わえます。お部屋に夜食のおにぎりを用意してくれるのもうれしい心遣いです。また、たくさん食べられない人は予約時に相談して、お食事少なめコースも選ぶこともできます。
「つつじ亭」の談話室は湯上がりにふらりと立ち寄ってみたくなる空間です。壁ぎわにゆったりできるソファやチェアが並び、片隅にバーカウンター、入り口横にはライブラリーも併設。心地よいBGMが流れる中、グラスを傾けながら思い思いにくつろいでみては。たとえ満室でもゲストは10組のみ、しかも部屋に何もかも揃っているので、館内で他ゲストの姿を見ることは少なく、大人の休日を心静かに楽しむことができます。
■つつじ亭(つつじてい)
住所:群馬県吾妻郡草津町639-1
TEL:0279-88-9321(受付8~20時)
チェックイン/アウト:15時/11時
料金:1泊2食付3万8500円~(別途入湯税150円)
海を見渡すロケーションで「ベビー・ファースト」を実現「季粋の宿 紋屋」/千葉県・南房総
22室あるすべての客室がオーシャンビューの「季粋の宿 紋屋(きすいのやど もんや)」。大きな窓からはどこまでも広がる太平洋を独占できます。創業は大正8年(1919)、もともとは料理旅館として食通をもてなしてきましたが、現在は年間宿泊者の7割以上が妊婦さんか赤ちゃん連れの家族という、業界屈指のスペシャリティ旅館です。赤ちゃんと思い切り遊べるベビーラウンジをはじめ、赤ちゃん向けグッズを多数用意、哺乳瓶の消毒サービス、離乳食メニューなどきめ細かく対応しています。
パパ&ママと赤ちゃんが存分に遊べるベビーラウンジ「よちよち」はおよそ20畳の広さ。数組のゲストでも十分に遊べます。客室タイプは8種類あり、「展望風呂付きオーシャンビューツイン」は2023年にリニューアルした人気のお部屋。また赤ちゃん連れゲスト用の宿泊プランとして定番の「すやすや」、赤ちゃんの旅行デビューをサポートする「ゆりかご」など、年齢に応じた多彩なプランがあり、家族みんなで安心して旅が楽しめます。
もともと料理旅館として知られた「紋屋」。南房総の新鮮な海の幸を中心に、郷土料理、時には洋食や中華のエッセンスも取り入れ、彩り豊かな盛り付けでも楽しませてくれます。あまり知られていませんが、千葉県は伊勢海老の漁獲量日本一。名物の鬼殻焼きはぜひ追加でオーダーしてください。また朝食で提供される、千葉県の県魚マダイの切り身と秘伝の出汁でいただく「鯛茶漬け」はやさしくおいしい、忘れられない味になるはず。
館内には野島崎灯台を望む「光の湯」と、坪庭を配した「季の湯」の温泉大浴場のほかに、洗い場が畳敷きになった温泉家族風呂「和ぎの湯」や、2つの貸切風呂(有料)があります。お風呂にはベビーソープやバスチェア、お風呂用の浮くおもちゃなどが用意されているのはさすが。赤ちゃん宿泊プランを始めて20年以上の宿だけに、かゆいところに手が届くようなこまやかな気配りを随所に感じます。
■季粋の宿 紋屋(きすいのやど もんや)
住所:千葉県南房総市白浜町白浜232
TEL:0470-38-3151(受付8~21時)
チェックイン/アウト:15時/10時
料金:1泊2食付1万6500円~(別途入湯税150円)
強羅の四季と、木や和紙のぬくもりに包まれる「強羅花扇」/神奈川県・箱根強羅温泉
箱根外輪山を見晴らす高台にたたずむ「強羅花扇(ごうらはなおうぎ)」は、春は桜やツツジ、夏は明星ヶ岳(みょうじょうがたけ)の大文字焼や蝉しぐれ、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季の移ろいを五感で感じることのできる宿です。箱根登山ケーブルカーの終着・早雲山駅からエレベーターですぐなので、山岳鉄道の車窓から見える四季折々の風景や、箱根らしさがありつつもモダンにアップデートされたおみやげや展望足湯カフェが揃う早雲山駅を楽しみながらのアクセスも魅力です。
木彫や建築の分野で匠が活躍した飛騨高山で「飛騨亭 花扇」という宿を営んでいた初代が箱根に開いた宿だけあって、飛騨産の良材がふんだんに使われた館内は、木のぬくもりや香りに満たされています。2022年11月には和紙デザイナーの堀木エリ子氏が手掛けた作品が加わり、エントランスホールに新たな表情が生まれました。庭や館内に3名の作家によるオブジェも点在し、アート巡りも楽しめます。
それぞれに趣が異なる20の客室はすべて露天風呂付き。現代人が使いやすいレイアウトや設備ながらも、高山の宮大工が手掛けた重厚さも兼ね備えています。シモンズ社製のベッドやHUKLA社のソファなど、寝心地や座り心地にも妥協なし。小物入れにさりげなく箱根寄木細工を使うなど、すてきな演出も見られます。各部屋の露天風呂の眺めはバツグンですが、滞在中一度は、開放感満点の2つの露天風呂のある大浴場へも足を運びたいところです。
熟練の料理長が手掛ける会席料理にも定評があります。湘南や箱根の旬の野菜、小田原のピチピチの鮮魚はもちろん、全国から集めた選りすぐりの食材が繊細で上品に仕立てられ、目にも鮮やかです。おいしくてついつい夕食を食べ過ぎた翌朝は、炊きたてご飯でなくお粥のチョイスもOK。食事は朝夕とも個室なので、気兼ねなく食事を味わうことができます。
■強羅花扇(ごうらはなおうぎ)
住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300-681
TEL:0460-87-7715
チェックイン/アウト:15時/11時
料金:1泊2食付4万3000円~(別途入湯税150円)
2つの源泉が湧く静寂の森の宿「円かの杜」/神奈川県・箱根強羅温泉
「強羅花扇」の姉妹館として2014年にオープンした「円かの杜(まどかのもり)」は、表通りから少し奥まった木立の中にたたずむ静かな宿です。何とも優しい宿の名は、円と縁をかけ、穏やかで安らかな空気の中で多くの縁が結ばれますようにという願いからつけられました。「強羅花扇」同様、原点である飛騨人の“木”への思いが、分厚い一枚板のカウンターや自然の形を生かした見事な梁などに息づいています。
回廊に沿って配置された20の客室はすべて趣が異なりますが、共通するのは飛騨の調度品が置かれていること、丸い意匠が随所にあしらわれていることです。部屋のやわらかで温かな印象は、こうした視覚効果から来るのかもしれません。宿名が刺繍された上質なタオルや寝心地のよいリネンも、肌触りからくつろぎを与えてくれます。窓を開ければ箱根の山の風がそよぎ、五感に伝わるすべてが宿時間を豊かにしてくれます。
敷地内に2つの自家源泉があるのもうれしいポイント。全客室が大きな露天風呂を備えており、末端の血行を促し美肌効果も期待できるとろみのある源泉がかけ流しで注がれています。部屋の露天風呂だけでも十分に満喫できますが、もう一つの源泉を楽しめる大浴場へもぜひ。こちらは森の中にあるため、温泉浴+森林浴を!大浴場棟へと続く木造の連絡通路も木の香りでいっぱいです。
個室でいただく食事は、地元の旬のみならず、全国の極上の食材が季節感豊かに仕立てられた会席料理。日本酒のイベントを開催してきた宿だけあって、料理を引き立てる日本酒やワインの品揃えも豊富です。特筆すべきは世界初の水素調理の導入です。美しい景観も温泉も樹木も食材も、「円かの杜」の魅力を支えるのはみな自然の恵みであるという考えのもと、未来の環境のために厨房からのCO2排出を削減する取り組みとのこと。世界から注目を集めています。
■円かの杜(まどかのもり)
住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-862
TEL:0460-82-4100
チェックイン/アウト:15時/11時
料金:1泊2食付4万1000円~(別途入湯税150円)
いかがでしたか?関東エリアのみならず、日本全国から厳選の宿を集めたムック『日本 味の宿』が発売予定。次の旅行の計画にぜひご活用ください!
ムック『日本 味の宿』は、「あじわい深く」「地元に根付いた」「野にあるごとく大らかな」「宿とは何かを問い続ける」「どこにもない」そんな条件を満たした、ニッポンならではの「味わい」を提供する上質で個性ゆたかな名宿32軒を1冊にまとめました。宿こだわりの味、朝ごはん、おすすめ&注目ポイントをステキな写真と共に楽しんでください。
Text:高田京子/松尾裕美
Photo:中田浩資/清澤謙一/宮地工
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