【北海道 小樽】運河に面した地域ブランド&セレクトショップ「小樽百貨UNGA↑」
小樽の旅の思い出に、大切な人に心を込めて贈るおみやげや長く愛用できる自分用みやげを手に入れたい。そんな人に自信を持ってすすめられる、隠れ家のようなお店があります。本物の小樽らしさがあふれるオリジナル商品や地域の作家の作品などを集めた「小樽百貨UNGA↑(うんがぷらす)」。小樽の歴史を支えた建物をリノベーションした趣ある空間で、大人の素敵なショッピングを楽しんでみませんか。
Summary
小樽繁栄の歴史を支え運河を見守ってきた「旧小樽倉庫」をリノベーション
JR小樽駅から運河へと延びる駅前通り(中央通り)を下り、運河と出合う交差点を左へ。現在、観光案内所併設の「運河プラザ」が入っている建物と「小樽市総合博物館運河館」に挟まれた小さな建物が「小樽百貨UNGA↑」です。
両隣の「運河プラザ」と「小樽市総合博物館運河館」は明治23年(1890)、小樽初の営業倉庫として建てられた「旧小樽倉庫」の倉庫部分。「小樽百貨UNGA↑」のオープンは令和元年(2019)で、事務所だった部分を生まれ変わらせています。
※「運河プラザ」は2024年3月末に「ポートマルシェotarue」と名称変更し、観光案内所とともに港の方へ移転する予定です。
レンガ造りの建物に一歩入ると、そこは時の流れまで緩やかになったような心落ち着く空間。店内には「小樽らしさ」を意識し、地元企業やクリエーターと開発したお菓子や食品、工芸品などが並ぶほか、小樽を中心に北海道各地の名品や作家作品も目を引きます。
隅々まで「小樽らしさ」で満たされた、大事な人に贈りたい大人スイーツ
プロデューサーの白鳥陽子さんにイチオシの品を尋ねたところ、教えていただいたのがこちらの「小樽瓦焼バウム」。
卵や砂糖、バター、小麦粉などの主原料に良質の北海道産を使ったバウムクーヘンは、濃厚ななかにも優しさのある味わい。バウムクーヘンの層の重なりとカリッとしたキャラメルの食感で、瓦が積み上げられた姿を表現しています。
ところで、小樽と瓦にはいったいどんな関係があるのでしょうか?
小樽の倉庫や商家などの歴史的建造物の屋根に使われている瓦は、江戸から明治時代にかけて、「北前船」が運んだものです。当時、北前船は、大阪から瀬戸内海、本州の日本海岸各地を経由して米や塩、反物、陶器などさまざまな生活物資を北海道へと運び、北海道からは昆布やニシンなどを運んでいました。
本州から北海道へと運ばれた物資の一つが瓦。商品としてだけでなく、北前船の船底に積んで重心を取るためにも重要だったそう。当時の小樽は火事が多かったこともあり、豊かな商家や倉庫では競って瓦を使い、木骨石造の建物を建てたのだと、白鳥さんは教えてくれました。
北前船を、小樽に繁栄をもたらす宝船に見立てたパッケージにも深い〝小樽愛〟を感じますね。
お店の前身「旧小樽倉庫」をそのままお菓子の箱に写し取った「旧小樽倉庫譚」もおすすめの品。旅のよいおみやげになります。箱の内側には、この建物を建てた石川県出身の海運商の物語が記されているのだとか。
そのままでもおいしくいただけますが、電子レンジで少しだけ温めるとチョコレートがトロ~リと流れ出る極上の食感が楽しめるそうです。
北海道ならではの海産品にも歴史が奏でるエッセンスをプラス
缶詰にも逸品が揃います。小樽は港町ながらも本格的な水産加工品ギフトが少ないことから、地元企業の北海製罐と協同開発したというのが「北海美味撰 HOKKAI CAN」シリーズ。「黒のさんま」「いわしオリーブ煮 レモン」「真だらこ醤油煮」「銀ガレイえんがわ甘辛煮」(各450円~620円)などの種類があり、缶には、小樽運河の象徴でもあり店舗斜め向かいに立つ歴史的建造物「北海製罐倉庫」が描かれています。さんまやいわしの軟らかい身は一つずつ手作業の「菊詰め」という手法で美しく詰められているそうです。
昆布のパッケージにも注目を。掛け紙の模様に使われているのは、北前船の「帆印(ほじるし)」。帆印というのは、その船がどこの船かを示す目印として使われたデザインだそうです。こんな小樽らしい物語に包まれたおみやげなら、手渡すのがいっそう楽しみになりそう。
小樽の街並みが目に浮かぶ、地元作家や企業の思いが詰まった逸品たち
お店に並ぶ品々は食品だけではありません。
北前船が運んだ大切な品の一つが「九谷焼」。石川県で九谷焼を学んだ小樽在住の作家が、伝統的な干菓子の木型と久谷焼きの絵の具で作ったオブジェや九谷焼の器も店内を彩ります。
小樽らしさあふれるキャンドルやグラスは、自分用のおみやげにもピッタリ。手ごろな値段でちょっと上質な日常を楽しみたい『るるぶ&more.』女子のお買い物心を見事に射抜いてくれます。地元の老舗企業がテントの素材で作った「ICHIBA TOTE」も「ぜひ手に取って、小樽を感じてほしい」と矢野さんが推す一品。
「小樽は南樽市場や三角市場などがある『市場の街』。このバッグを持って市場に買い物に行こうよというコンセプトで誕生したものです。丈夫な素材なので、たっぷり買い物をしても安心です。仕事道具を入れたりピクニックなんかにも大活躍してくれますよ!」
そして小樽らしさがあふれるユニークな品といえば「NAKASHI」シリーズのベストとジャケット。NAKASHIとは仲仕(なかし)、つまりかつて港で積み荷をさばいた港湾労働者のことです。仲仕たちの作業着に着想を得て、小樽在住のデザイナーと協同で作ったオリジナルウエアは軽くて温かく、動きやすさも抜群。シンプルで大人カジュアルなデザインに仕上がっています。
四季折々、地元作家の作品などを展示・販売するギャラリーも
レトロ感漂う階段を上ると、二階はギャラリーとなっています。服飾や絵画、器など展示内容は随時変わりますが、3月1~5日は「小樽ゆかりのお雛さま展」を予定しているそうです。
小樽の歴史を見守った建物で、小樽ならではの物語とそこに住む人の思いが詰まった愛おしいまでの品々に出合える「小樽百貨UNGA↑」。小樽を訪れた時にはぜひ足を運んでみてくださいね。
■小樽百貨UNGA↑(おたるひゃっかうんがぷらす)
住所:北海道小樽市色内2丁目1-20
TEL:0134-65-8150
営業時間:11~18時
定休日:年末年始
※専用駐車場はありません。近くのコインパーキングをご利用ください。
https://unga-plus.com
Text&Photo:石渡裕美
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