【長野県】湯けむりただよう野沢温泉をお散歩♪
長野県北部に位置する野沢温泉村は古くから温泉地として栄え、村内には源泉が多く湧き出ています。村は標高約1650mの毛無山(けなしやま)の麓にあり、近くにはスキー場も充実しています。温泉とスキー以外にも、野沢温泉村にはさまざまな楽しみ方があることをご存知でしょうか?今回はそんな野沢温泉村の魅力をご紹介します。
Summary
スキー場は徒歩圏内!国内外のスキーヤーに愛される村
野沢温泉は、中心街とスキー場の距離が近く、温泉や昔ながらの旅館も多いことから、海外の観光客にも人気のスポットです。
11月下旬~5月上旬まで楽しめる「野沢温泉スキー場」へは、中央バスターミナルから無料シャトルバスで約15分、温泉街からも徒歩10分ほどで移動可能です。最長滑走距離は約10km、難易度の違う44のコースがあるので、初心者から上級者まで楽しめます。北アルプスの絶景やブナの樹氷を見ながらパウダースノーを堪能できちゃいますよ。
野沢温泉に来たなら「野沢菜」は欠かせない!
散策の前にチェックしておきたいのがご当地グルメ。言わずと知れた長野県民のソウルフード「野沢菜」は、野沢温泉が発祥の地だということをご存知でしょうか?
野沢菜の歴史は今から250年ほど前にまでさかのぼります。野沢温泉にある「健命寺」の和尚が、京野菜の天王寺蕪を持ち帰り栽培したところ、厳しい寒さの影響か、蕪そのものは小さく、葉の部分が1mを越すほどに成長してしまったのだとか。当初は「蕪菜」とよばれていましたが、地名をとって名前が付けられ、次第に野沢菜とよばれるようになっていったのだそう。
野沢温泉では8月末に種を植え、11月に収穫シーズンを迎えます。収穫された野沢菜は、村中に湧き出る温泉で洗われてから、桶で漬けられていきます。これは「お菜洗い(おなあらい)」とよばれ、村のあちこちで野沢菜を洗う様子が見られます。11月に訪問する際はぜひチェックしてみてくださいね!
湯けむりを浴びて野沢温泉の源泉を楽しもう
村の名称に「温泉」が入っているのは、全国でも野沢温泉村だけ。名前の通り、村中に温泉の源泉が湧いていて、硫黄の香りが鼻をくすぐります。村の中央にある「麻釜(おがま)」では、なんと毎分500ℓもの源泉が湧出しているんです。一番熱い源泉は90度近くまであり、今もなお、村民が野菜やたまごを茹でる場所として活用されています。
「麻釜」のほかにも、村内には茹で釜が点在していて、温泉たまごも茹でられます。みやげ店では、温泉とうもろこしなども販売されているので、お腹が空いたらぜひ味わってみてください。
村内には「外湯」と言って、村の人たちが大切に守り続けてきた共同浴場が13カ所あります。時間があれば、ぜひ外湯めぐりも体験してみましょう。
「集印めぐり」で村内をお散歩
村内を散策するのにおすすめなのが「集印めぐり」。スタンプラリーのように、村内に設置されているそれぞれのスポットのマークを集めるアクティビティです。スタンプラリーとの違いは、カーボン紙が挟まれた台紙を使い、備え付けの棒でこすること。ゆっくりこするとマークの模様が浮き出てきます。
棒をしっかり握り、端から丁寧に圧をかけてこするのがコツです。力の入れ具合や時間の経過によって色合いが変わるので、その変化も楽しみましょう。
集印帳は観光案内所やみやげ店で購入できます。集印帳には立ち寄りスポットの名称やその場所の歴史に関する説明も記載されています。「外湯」や史跡など、村の主な観光名所に集印スポットがあるので、観光しながら「集印めぐり」ができます。
集印スポットは全部で27カ所。その内10カ所以上をまわると、岡本太郎氏がデザインした「湯」の文字をあしらったオリジナル記念タオルがもらえます。20カ所以上をまわると、集印がデザインされた手ぬぐいも選べるようになります。
岡本太郎氏とは、スキー場のゲレンデにブロンズ像を建立する際にデザインを依頼したことから、野沢温泉と深いつながりを持っています。村内には岡本太郎氏の手がけたレリーフやロゴもあるので、探してみてくださいね。
■野沢温泉観光案内所(のざわおんせん かんこうあんないじょ)
住所:長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷9780-4
営業時間:8時30分~17時30分
定休日:なし
リノベカフェ「狸tanuki cafe & restaurant」でひと休み
「大湯」の目の前には、2017年に旅館をリノベーションして作られた「狸tanuki cafe & restaurant(たぬきかふぇあんどれすとらん)」があります。野沢温泉をよく訪れていたオーストラリア人のオーナー夫妻達が、「この場所で必要なものがすべてそろうように」とゲストハウスやカフェ、バー、レストランを兼ねた建物を完成させました。お店の名前は、地下の倉庫にあった狸の剝製から。バーに行くとその狸に会えるそうですよ。
カフェでは長野県産の食材をメインに使用し、観光客はもちろん地元の人にも親しみやすいメニューを心がけています。特にベーカリーに力を入れていて、手軽に食べられるクロワッサンロールや、オーストラリアではメジャーなミートパイなどが人気。店内はもちろん、テイクアウトでも食べられます。
日本では見かけないロングブラック(エスプレッソのお湯割り)や、フラットホワイト(エスプレッソにミルクを合わせたもの)など、オーストラリアのコーヒー文化を感じられるメニューもたくさんあります。冬になると海外のゲストも多く訪れるそうです。
11時~17時30分まではカフェタイムのため、しっかりと食事をするなら、ソーセージロールやクロワッサンで作るクロックムッシュもおすすめです。
■狸tanuki cafe & restaurant(たぬきかふぇあんどれすとらん)
住所:長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9285
TEL:0269-85-3121
営業時間:夏季シーズンは7時30分~15時、冬季シーズンは7~21時
定休日:不定休(冬季シーズンは無休)
手しごとの作品が揃うセレクトショップ「tanuki-ya」
カフェの隣のセレクトショップ「tanuki-ya(たぬきや)」には、地元の作家さんが手がける作品がずらり。大量生産ではなく、手しごとで作られた、ストーリーがある商品を販売しています。
おすすめは2023年12月から販売を開始した「PREMIUM GIN FLAVORED NAMA CHOCOLATE」だそう。生チョコレートの生みの親である飯山市のショコラトリー「奥信濃BUNZO」と、「野沢温泉蒸留所」のクラフトジンの夢のコラボです。4種類のフレーバージンの味わいを1つずつ封じ込めた自信作を、ぜひ味わってみてくださいね。
■tanuki-ya(たぬきや)
住所:長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9285
TEL:0269-85-3121
営業時間:10~18時
定休日:水・木曜(冬季シーズンは無休)
おみやげはもちろん野沢菜漬け!
野沢温泉に来たなら、やっぱり野沢菜みやげは欠かせません。発祥の地だからこそのバリエーションの豊富さに驚かされます。今回は村民イチオシの変わり種の野沢菜漬けをご紹介します!
手作り・無添加にこだわり、信州の果物の味がしっかりと伝わるジャムを提供する「ハウスサンアントン」は、大湯通りの中央にあります。店頭で販売しているおやきの香りに思わず引き寄せられてしまいます。
こちらのお店のおすすめは「野沢菜とき漬け」。通常、野沢菜を漬ける際は茎を切らず、束のまま漬けるのですが、とき漬けは茎を切った状態で漬けるもの。しょうゆや酢、砂糖など、味付けもバリエーション豊かで、「ハウスサンアントン」では花椒やオリーブオイルなどを入れてアレンジしています。甘味と酸味がちょうどよく、ピクルスに似たさっぱりとした味わいです。スパイスの風味が鼻を抜け、いつもと違った野沢菜を感じられますよ。
■ハウスサンアントン ジャムファクトリー&カフェ
住所:長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷9515
TEL:0269-85-2065
営業時間:夏季シーズンは9~18時(日曜は8時30分~)、冬季シーズンは9~21時
定休日:水曜(冬季シーズンは無休)
「麻釜」の近くにある「黄金屋」では、野沢菜キムチとして有名な「はんごろしキムチ」を販売。「はんごろし」は長野県の方言で、おはぎなどを作る際にお米を半分(5割)つぶすことを指します。お米のつぶし具合で味や食感が変化することにヒントを得て、野沢菜にも応用したことからこの名前が付いたのだとか。
シャキシャキ食感の野沢菜をキムチ漬けにし、舌がしびれるほどの辛さの中に、野沢菜の渋みが感じられる奥深い味わいです。辛口のキムチは温泉たまごの黄味と一緒にご飯にかけるとマイルドになり、ご飯が進みます。加熱処理をしたはんごろしキムチは通年購入可能です。
■黄金屋物産店(こがねや ぶっさんてん)
住所:長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷9304
TEL:0269-85-2154
営業時間:8時30分~17時30分(冬季は9時~)
定休日:不定休
スキーや外湯巡りはもちろん、「集印めぐり」や村内の散策だけでも楽しめる野沢温泉。日本らしさを感じる温泉街でありながら、近年は海外からの観光客も多く訪れる村内を歩いていると、まるで異国に足を踏み入れたかのよう。懐かしさと新しさが入り混じる野沢温泉で、プチトリップを満喫してみてはいかがでしょう。
Text:深川瞳
Photo:五味貴志
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