紫式部ゆかりの世界文化遺産「上賀茂神社」を2倍楽しむ歩き方

紫式部ゆかりの世界文化遺産「上賀茂神社」を2倍楽しむ歩き方

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京都で最も古い歴史を誇り、世界文化遺産に登録されている上賀茂神社。国宝2棟、重要文化財41棟を有し、太古からの自然に護られた境内は清々しい空気に満ちています。紫式部ゆかりの「片山御子神社」や龍神様を祀る「新宮神社」でも注目を集めている上賀茂神社のみどころを、ご神職の解説とともにご案内します!

Summary

雷をも別けるパワーを持つ「賀茂別雷大神」が主祭神

京都で最も古い神社の一つとされる「上賀茂神社」は、正式名称を「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」といいます。その起源は、初代天皇である神武天皇の代に神社の背後にある神山(こうやま)の麓に「賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)」が降臨したという伝説から。677年に社殿が建立され、それから1300年もの間、現代までほぼ変わらないたたずまいを保っているのだそうです。

賀茂別雷大神は雷をも別けるほど強大なパワーを持つ神様であることから、厄除、方除、開運、雷除、災難除、必勝の社として古来より信仰されています。また、通称「上賀茂神社」の名で親しまれていますが、神社の起源から、正式名称は「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」といいます。

上賀茂神社の鳥居

権禰宜の中野瑞己さんのご案内で境内を歩いてみましょう。入り口の一ノ鳥居をくぐると、そこからは神域。広々とした芝生の道を歩くと、ニノ鳥居前に神馬舎があります。こちらには神様のお使いである神馬「神山号」が日曜と祝祭日(9時半〜15時)に出社しており、その日はニンジンをあげたり神馬みくじの授与があったりなど特別な行事が見られるそう。

上賀茂神社の神馬舎

松葉の数にも注目!陰陽道の考え方とは?

二ノ鳥居を抜けると、重要文化財である細殿が立っています。正面には美しい円錐をなす立砂が。これは別名「盛砂」といい、賀茂別雷大神が降臨したといわれる神山をかたどったものです。左に3本、右に2本の松葉が立てられており、これは「奇数と偶数」で「陽と陰」を表しており、この二つが揃うことで世の中の安泰や物事の調和がとれるという陰陽道の考えによるもの。

古来「清らかな水は穢れを流す」という信仰があることから、境内にはいくつもの小さなせせらぎが流れています。飲用もできる神山湧水が出る手水舎で手を清めたら、橋を渡って本殿へ。

さて、ここからが上賀茂神社のハイライトです。朱塗りの楼門は2015年の第42回式年遷宮で塗り替えられ、丹とよばれる顔料で平安時代の鮮やかな色彩が再現されました。

「特別参拝」ではさらに神域に立ち入ることができる!

本殿には簾越しにお参りをするのが一般的ですが、実は上賀茂神社では随時「特別参拝」を受け付けており、普段は入ることのできない本殿・権殿をご神職の案内付きで参拝できるんです。

受付で申し込みを済ませ、ご神職にお祓いをしてもらい、木の戸を通って本殿へ。砂紋が引かれた白い砂利が広がる敷地内に入ると、ぐっと聖域パワーが増す気がします。まずはご神職による由緒や神話の説明をいただき、実際に本殿を拝見すると……同じ建物が2つある!?

「向かって左のものは権殿といい、『権』とは「仮の」や「次の」という意味。ここには普段は神様がいらっしゃいません。本殿が式年遷宮などによる建て替えや修復などの際に神様にお遷りいただくための仮の社殿です」と中野さん。

境内の奥に進むと、新宮神社がお祀りされています。こちらも通常は立ち入りできない場所ですが、新宮神社の縁日には参拝することができます。生命の源である水を司る龍神様が祀られている神社で、2024年は辰年であるため多くの参拝者で賑わっているそう。土・日曜・祝・祭日には門が開かれ、神楽の巫女舞を奉奏しており、朝から夕方までひっきりなしに参拝者が訪れるのだとか。

紫式部が参拝したと伝わる「片山御子神社」で縁結び祈願を

上賀茂神社の第一摂社「片山御子神社」

「本殿の次に大切な社をご案内しましょう」と中野さん。上賀茂神社の第一摂社として重要な位置を占める「片山御子神社」は、賀茂別雷大神の母である玉依比売命(たまよりひめのみこと)を祀る社。つまり上賀茂神社の神様を産んだ母が御坐す社として、非常に崇められています。神社で神事を行う際は、本殿より先に片山御子神社に奉告の祝詞が奏上されるのだそうです。

縁結び、子授け、家内安泰のご利益があるとされ、女性の参拝者が多く見られます。なんと「源氏物語」を書いた紫式部も平安時代に参拝されていて、和歌にも「ほととぎす 声まつほどは 片岡の もりのしずくに立ちやぬれまし」と記されています。和歌の前書きにあたる詞書に「賀茂までまうでて侍りけるに……」とあることから、お参りされた際に詠んだ歌であることがわかります。

上賀茂神社の紫式部の歌碑

橋殿のそばに歌碑が建てられているので、じっくり読んでみてはいかがでしょう。

関西弁のユニークなおみくじが当たりすぎる!?

上賀茂神社はお守りやおみくじなどの授与品がユニークなことでも有名。賀茂茄子発祥の地であるため「賀茂なすみくじ」や、神武天皇を導いたとされる「八咫烏みくじ」、賀茂競馬にちなんだ「馬みくじ」など、どれも欲しくなってしまいそう。八咫烏の姿をした「みちびき守」も人気なのだとか。

上賀茂神社の八咫烏の姿をした「みちびき守」

また水を司る「龍神様」を祀る新宮神社にちなんだ「水みくじ」も数年前に登場しました。「龍のお告げ」の名で、龍の顔が描かれたおみくじを水に浸すと、関西弁で一言お告げが浮き出てきます。

上賀茂神社の水みくじ

取材時に引いてみたら「変わるなら今やで」と書かれ、身につまされる思いがしました……。竹細工のおみくじ結びにくくって、運が開けることを祈ります。

参拝後は「渉渓園」へ立ち寄るのもお忘れなく。太古からの木々がそびえる庭園では、貴族が詩歌を披露する曲水の宴が開かれたという歴史も。苔の緑と小川の水色とのコントラストが美しく、深呼吸してみたくなる場所です。

上賀茂神社は2023年に入り口の改修を終えたばかりで、大鳥居が新たにお目見え。さらに神社会館も新設され、1階にはカフェがオープンしました。これまで境内に休憩所がなかったことから、「参拝者がお休みできる場所を」と神社直営で作ったそうです。ランチなどもいただけます。

京都でも格式の高い上賀茂神社ですが、「参拝者に親しみやすい神社であることを心がけています」と中野さん。ご神職はなるべく普段から境内を歩くようにしており、参拝者に何か聞かれたら気さくに答えたり、声がけするよう努めているとのこと。取材時も「一緒に写真撮って」という観光客にも笑顔で応じており、「大きな神社=敷居が高い」という先入観が一気になくなりました。

紫式部ゆかりの社への縁結びのお願いはもちろん、本殿や新宮神社の特別参拝はぜひ申し込むべき。一層厳かなパワーに触れ、上賀茂神社のことをより深く学ぶことができますよ!

上賀茂神社へのアクセスは?

京都市内の北に位置する上賀茂神社。京都駅からのアクセスはいくつかの方法があります。定番はバス。市バス9系統を利用すれば、京都駅からバス1本でアクセスできます。市バス停「京都駅前」から最寄りの「上賀茂御薗橋」までは38分。バス停からは徒歩5分で到着します。

より短時間でアクセスしたい人は、電車とバスを組み合わせるのがおすすめ。地下鉄烏丸線で「京都駅」から「北大路駅」へ。「北大路バスターミナル」で北3系統に乗り換え8分、「御薗口町」で下車すると、徒歩5分で到着できます。
「北大路バスターミナル」からは、市バス37系統でもアクセス可能。市バス37系統を利用する場合は「上賀茂御薗橋」で下車してください。

移動時間は、バス1本であれば45分、電車とバスを組み合わせると35分ほどです。市内中心部と比べると、自然豊かでのどかな雰囲気が魅力の上賀茂神社。ぜひお出かけしてみてくださいね。

■上賀茂神社(かみがもじんじゃ)
住所:京都市北区上賀茂本山339
TEL:075-781-0011
拝観時間:5時30分~17時(楼門は8時~16時45分)
拝観料:無料
駐車場:170台(30分100円)

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Photo:鈴木誠一
Text:猫田しげる

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