【おとなのソロ部】大阪・中津「キタの北ナガヤ」別館で「繕い処 金継屋」のマンツーマン金継ぎワークショップを体験
お気に入りの器で味わう食事タイムは、よりおいしく充実したひとときになるもの。でも気に入った器ほど、よく使用するぶん割れたり欠けたりしがち…。そんな傷ついた陶磁器をよみがえらせ、エコにもつながる“金継ぎ”は、近年改めて注目を集めている伝統技法です。ていねいな暮らしの第一歩として、おひとりさまで受付けているマンツーマンの簡易金継ぎワークショップに早速参加してみました!
「キタの北ナガヤ」別館で月1回「繕い処 金継屋」がワークショップを開催
Osaka Metro中津駅から歩くこと約2分。細い路地沿いに現れるのが、改装した長屋に宿やショップが集まる施設「キタの北ナガヤ」です。
「キタの北ナガヤ」の建物中間辺り、路地をはさんだ向かい側に立つタイル貼りの建物が、別館の「キタナガannexHIIRAGI」です。
1階は通常ドリンクスタンドですが、第3水曜は番外編。
「繕い処 金継屋(つくろいどころ きんつぎや)」が金継ぎの受付やワークショップを開催しているんです。
そもそも金継ぎとは、欠けたり割れたりした陶磁器を漆で修繕し、金粉で仕上げる日本の伝統技法。
近年は漆を使わずに、人工素材を用いた簡易金継ぎキットも販売されるなど、愛着ある器が手軽に直せると注目が集まっているんです。
早速、参加してみたのが「繕い処 金継屋」の「One day金継ぎワークショップ」。教えてくれるのは店主の遠藤先生です。
動画で金継ぎの魅力を知り、独学で技術を身につけたそうで、普段は神戸を拠点に金継ぎを受け付けているほか、定期的にワークショップを開催しています。
「キタナガannexHIIRAGI」でのワークショップは、本漆は使用しない簡易金継ぎなので、ほとんどかぶれる心配はありません。
空いていれば飛び込みでもOKですが、下記からコースを選んでホームページやInstagramに記載のメールアドレスから予約するのがベターです。
道具類は貸し出してもらえ、手元に直したい器がない場合は1点330円で用意してもらうこともできますよ。
【コース内容】
・60分 3300円/破片が1〜3個の割れ・欠けも直したい
・90分 4400円/破片が3〜5個の割れ・小さな欠けなら4〜5点くらい
【持ち物】
・金継ぎしたい、割れまたは欠けのある陶磁器(目安は2~3点。持込点数に制限なし。時間の許す限り修繕可)
・持ち帰り用の箱(修繕部分が乾くのに時間がかかるため)
【注意事項】
・修繕に人工接着剤を使用した簡易金継ぎのため、食品や口に付く部分の修繕は控えることを推奨
・金継ぎした器は電子レンジ、食洗器の使用不可
・ガラスや陶磁器以外の素材はNG。陶器の状態によっては金継ぎできない場合あり
先生は柔らかな雰囲気で、気負わず気軽に相談できるのもうれしいポイント。
60分3300円のコースでマンツーマン体験スタート! まずは欠けから
今回は小さな欠けも割れも直したいので、先生おすすめの60分3300円のコースを体験します。
最初はお茶碗の欠けを直す金継ぎにチャレンジ!
ちなみに、口や食品が直接付かない、写真くらいの小さな欠けであれば、簡易金継ぎでも食器として使用できるそう。
まずは、欠けの断面をダイヤモンドヤスリを使って傷をつけたら、アルコールを含ませたティッシュで粉を拭き取ります。
ヤスリをかけてくっつきやすくなった欠けの部分に、エポキシパテという接着力の高い粘土のような素材を押し当てて補修していきます。パテは5分ほどで硬くなるので、スピード感が必要に!
続いてデザインナイフなどでエポキシパテを削ぎ、形を整えます。お茶碗の薄い縁(ふち)の形にあわせて整えるのが難しい!
最後は先生に助けてもらいながら仕上げました。仕上げた面は耐水ヤスリペーパーでなめらかにし、器全体を拭き上げると、いよいよ最後の工程へ!
いよいよ金色を施す工程。「繕い処 金継屋」では、赤みのある落ち着いた金色、明るくキリッとした金色、シルバーの3色から選べます。茶色のお茶碗には、赤みある金色をチョイス。
色粉、新うるし(本うるしの質感に近い植物由来の樹脂を主成分にした合成塗料)、うすめ液を混ぜ、パテの部分に筆で塗っていきます。

はみ出さないように気をつけながら、境目ギリギリまでていねいに塗ったらついに完成。欠けていた部分が埋まり金色で装飾されて、キレイによみがえった姿には感動です!
続いて、割れを直す金継ぎにもチャレンジ!
時間に余裕があったので割れの修繕にも挑戦。
まずは、割れた両断面をアルコールを含ませたティッシュでトントンと脱脂します。
2種類の接着剤を同量ずつ出してしっかり混ぜあわせたら、ヘラなどで手早く割れの両断面に塗り…

圧着! くっつくまで4分ほどかかるので、外れないよう固定しながら待ちます。
さらに、ずれや段差がないか爪楊枝の先を使って確認し、微調整します。
接着できたら、継ぎ目からあふれた接着剤をデザインナイフや彫刻刀で削ぎ落とし、耐水ヤスリペーパーでヤスリをかけます。ペーパーの端を使い、継ぎ目部分のみヤスリがけするのがポイント。

こちらの小皿には、明るい金色をチョイス。細く均一な線を書く練習をしてから臨みます。細い筆を使って、継ぎ目部分のみに塗るのは、集中力が必要!

内側も外側も、継ぎ目の部分に金色を塗り終われば、完成! 割れた部分が復活したうえに、金色の線が新たな模様になったみたいで、さらに愛着が増しました。
仕上げ後は10分ほど乾燥させ、持参した箱などに入れて持ち帰り、さらに約1週間自然乾燥させてください。
日ごろ使い慣れない、デザインナイフや彫刻刀、細い筆などを使うのも楽しい!
本漆を使った金継ぎの依頼もOK
「繕い処 金継屋」では、金継ぎを依頼することもできます。預けた当日に持ち帰れる、簡易金継ぎでの「クイックリペア」は、欠け1100円~、割れ2200円~。日常使いの器に施すのがおすすめです。
本漆仕様の金継ぎは、欠け約2200円~、割れ約4400円~で2カ月前後必要です。見積りは無料なので、気軽に相談してみてくださいね。
見積りは予約不要ですが予約も可。破損した器を持参できない場合は、サイズや素材がわかる写真で、相談に応じてもらえますよ。

「繕い処 金継屋」の肩肘張らないワークショップで、傷さえも世界に一つだけの模様として生まれ変わらせる金継ぎをぜひ体験してみてください。
お気に入りの器とともに再び過ごせる、ハッピーでエコな暮らしが実現できますよ。
■繕い処 金継屋@キタナガannexHIIRAGI(つくろいどころ きんつぎや あっときたながあねっくすひいらぎ)
住所:大阪府大阪市北区中津1-14-5 キタナガannexHIIRAGI1F
TEL:なし
営業時間:11~17時(冬期は変動)
定休日:第3水曜のみ営業
アクセス:Osaka Metro中津駅2番出口から徒歩2分、または阪急中津駅から徒歩5分
料金:【One day金継ぎワークショップ】20分1100円~ 【簡易金継ぎ「クイックリペア」】欠け1100円~、割れ2200円~ 【本漆仕様の金継ぎ】欠け約2200円~、割れ約4400円~
■おすすめの利用シーン:ひとりで集中して作業したいとき、大切な器をよみがえらせたいとき、趣味を見つけたいとき
Text:林檎林
Photo:沖本明
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