【おとなのソロ部】水色の洋館「旧尾崎テオドラ邸」でアフタヌーンティーを!歴史に思いをはせるひとり休日
世田谷区最古の洋館をご存知ですか?「旧尾崎テオドラ邸」は、明治時代に建てられた歴史ある洋館。ギャラリーでは漫画にまつわる企画展が開催され、喫茶室ではクラシカルなアフタヌーンティーが楽しめます。ひとりでゆったりもの思いにふけることができる素敵な場所をご紹介!
明治時代にタイムスリップ!? 水色の洋館でギャラリー見学
小田急線豪徳寺駅から徒歩約10分の住宅街にひっそりとたたずむ「旧尾崎テオドラ邸」。木の隙間からのぞく水色の洋館は、そこだけ海外のような雰囲気です。
いざ扉を開き、玄関へ。靴を脱ぎ、まずは受付をします。
施設の見学と喫茶室の利用は完全予約制。事前にサイトで日時を指定してチケットを購入し、当日は二次元コードを提示して入館します。
入場チケットは1000円、喫茶室でアフタヌーンティーを利用する場合は入場料込みで5950円、喫茶室の席だけ確保する場合は入場チケット1000円+席のみの予約が必要で、喫茶室の利用はいずれも90分制です。
建物は2階建てで、1階にはショップとフォトスポット、喫茶室があり、2階がギャラリーです。
真っ白な壁とアンティークの装飾、ドアからのぞく室内の光景はどこを切り取っても絵になります。
「旧尾崎テオドラ邸」は明治21年(1887)、かつての東京市長である尾崎行雄の妻・尾崎テオドラのために、テオドラの父によって建てられた邸宅。
もともとは六本木にありましたが、昭和8年(1933)に英文学者が譲り受けて執筆のために豪徳寺へ移設され、明治22年(1888)には伊藤博文らを招いて新築祝いをしたという記録も残っている貴重な洋館です。
建物に使われている扉や床板、窓枠、階段の手すりは、塗装こそされているものの、当時と同じものが今も使用されているそう。欠けたり色あせたりした部分に、洋館の歴史を感じます。
その後、「旧尾崎テオドラ邸」は2019年に取り壊しの危機に直面。その際にこの洋館を愛した漫画家・山下和美さんが発起人となり、保存プロジェクトが設立されました。そして長い工事期間を経て2024年、ついに喫茶・ギャラリーとして再スタートを切ったそう。
階段を上った先にある2階のギャラリーでは、漫画を中心とした企画展を楽しむことができます。名だたる漫画家の貴重な原画や描き下ろしなどを堪能でき、ファンにとってはたまらない空間です。取材時(※2024年6月)は、文月今日子さんの展示を開催していました。
展示に使われている什器は、2022年に閉館した荒川区の「ぬりえ美術館」から譲り受けたもの。20年の歴史が刻まれた什器にも注目です。
クラシカルな雰囲気漂う上品なアフタヌーンティーを堪能
すみずみまで建物を堪能した後は、喫茶室へ。入ってすぐのスペースは、「席のみ予約」専用の席。建物の雰囲気に調和したテーブルや、特注のチェアが絵になる空間です。
さらに奥へ進むと、気品あふれるネイビーのクロスが印象的なアフタヌーンティー専用ルームが。英国調のクラシカルなムードで一気に世界観に引き込まれます。
アフタヌーンティーは90分間のフリードリンク制。
こだわりの紅茶は、スタッフが惚れ込んだ紅茶専門店「Pure Tips(ぴゅあ てぃっぷす)」の茶葉を使用。「Pure Tips」は豪徳寺からほど近い松陰神社前駅からすぐの場所にあり、なるべく地域のものを届けたいとの思いで実現したそう。
コーヒーは、ご縁のあった長野県の「トウミコーヒーロースタリー」で焙煎したこだわりブレンドを使用。喫茶店のような深入りながら、苦味を抑えた味わいで飲みやすいのがポイントです。
今回は、紅茶の「ダージリン・セカンド・フラッシュ」をセレクト。世界的にも有名な茶園で収穫された最高グレードの茶葉で、香り豊かで雑味がなく上品な味わいです。
雰囲気のあるアフタヌーンティースタンドは、アンティーク調の洗練されたデザインで、落ち着いた洋館の雰囲気にぴったり。その上に丁寧に並べられたティーフードも、テオドラが生きた時代のイギリスの食文化から着想を得たクラシカルなラインアップです。
メニュー表には、それぞれのフードの歴史やポイントが記載されているのでじっくり読みながら味わってみるのがおすすめ。
下段のセイボリーには「キューカンバーミントサンド」、「たまごとクレソンサンド」、「コロネーションチキンサンド」の3種類のフィンガーサンドイッチが。
食事のスタートには「キューカンバーミントサンド」を。サワークリームにミントを練り込んでいるので、さわやかさがふわっと口いっぱいに広がります。
シェフこだわりの「たまごとクレソンサンド」は、さっぱりしたクレソンと、レモンをふんだんに使用したサワークリームがアクセント。新鮮な味わいのたまごサンドです。
「コロネーションチキンサンド」は、スパイスの利いたカレー風味が特徴の英国の伝統的なサンド。シャキシャキの野菜とチキンの組み合わせで満足度も抜群です。
中段には定番のスコーンが。ほんのりバターの風味が広がるホロっとしたスコーンは、甘さ控えめで香り高い紅茶にぴったり。
一緒に添えられたクロテッドクリームや、季節のジャムで味の変化も楽しみましょう。取材時(※2024年6月)のジャムはイチゴでした。シンプルなスコーンなので、甘いジャムがさらにおいしさを引き立てます。
お待ちかねは、上段の「ヴィクトリアケーキ」と「本日のグラスデザート」。きらびやかなビジュアルに、食べる前からときめきが止まりません。
「ヴィクトリアケーキ」は、19世紀にヴィクトリア女王が愛したイギリスの伝統的なスイーツ。「旧尾崎テオドラ邸」では、スポンジに紅茶の茶葉を練り込み、季節のジャムをサンド。ほんのり茶葉の風味が香り、どこかホッとする味わいです。
食事を堪能しつつ、もの思いにふけったり、読書をしたりと、自由にひとり時間を満喫してみてください。
「本日のグラスデザート」は、濃厚なベリーソースとレアチーズケーキが2層になったさわやかなパフェ。
実は今回のグラスデザートは、喫茶利用のメニューにある「コラボパフェ」をミニサイズにしたもの。展示内容に合わせて変わるコラボメニューを、毎回アフタヌーンティーでも少しだけ味わうことができます。期間限定なので何度でも訪れたくなりますね。
自分へのご褒美に! ショップでかわいいおみやげをセレクト
最後はショップに立ち寄っておみやげをセレクト。ギャラリーの展示内容に合わせてラインアップが変わり、複製原画やキャラクターグッズなど、ファンなら見逃せないアイテムばかり。
「旧尾崎テオドラ邸」のオフィシャルグッズも。テオドラをイメージしたイラストや、水色の外観を連想させる配色がおしゃれ。自分へのご褒美としてつい手に取りたくなりますよ。
ショップの隣にはアンティーク家具で彩られたフォトスポットも。オーナーの山下和美さんは生粋の洋館好きで、アンティーク品のなかには自身のコレクションも。
明治時代にタイムスリップした気分になれる部屋で、思い出の一枚を撮影してみてください。
豪徳寺にある洋館「旧尾崎テオドラ邸」をご紹介しました。非日常的な空間で穏やかな時の流れを感じに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
■旧尾崎テオドラ邸(きゅうおざきておどらてい)
住所:東京都世田谷区豪徳寺2-30-16
TEL:03-6413-5413
営業時間:10〜18時(17時30分最終入館)
定休日:木曜、月1回水曜
料金:「ギャラリー入場料」1000円、「喫茶室 席予約付き ギャラリー入場券」1000円、「アフタヌーンティー付き ギャラリー入場券」5950円 ※公式サイトでの予約必須
■おすすめの利用シーン:歴史にふれたいとき、アートにふれたいとき、自分にご褒美をあげたいとき、特別な場所でアフタヌーンティーを楽しみたいとき
Photo・ Text:土井彩寧(vivace)
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