食・グルメ
2024.07.30
【静岡・御前崎】朝獲れの新鮮な海の幸が味わえる「磯亭」で、旬のカツオを味わいつくす
静岡県の最南端に位置する御前崎港。年間を通してさまざまな魚介が水揚げされます。御前崎港近くにたたずむ「磯亭（いそてい）」は、旬のカツオをはじめとした地魚が味わえる食事処。新鮮な海の幸をリーズナブルな価格で楽しめる「磯亭」の魅力をご紹介します。
御前崎海岸近く。どこか懐かしさを感じる食事処
磯亭の歴史は約40年前に遡ります。昭和60年（1985）に地域の人々が集まる食堂としてオープンし、今もなお御前崎市民が集える食事処としてそのスタイルを守り継いでいます。
JR静岡駅からは車で1時間ほど。交通の便は良い方ではありませんが、地元民はもちろん観光客も多く訪れる人気店。ランチタイムともなればひっきりなしにお客さんが訪れます。
どこか懐かしさを感じる店内は、創業当時から変わらない純和風。まるで親戚の家に遊びに来たかのような感覚で寛げる、居心地の良い空間が広がります。
御前崎の旬を贅沢に盛り込んだ、魚づくしのグルメ
磯亭に行ったらまず食べたいのが、旬の地魚をたっぷりと盛り込んだ「刺身定食」。地元の人が「船の定食」の愛称でよぶこちらのメニューは、船型にも見える器に7種類以上もの魚介があふれんばかりに盛られています。
刺身定食に盛り込まれるのは、その日の朝や前日の漁で獲れた新鮮な魚が中心。日によってが顔ぶれが変わります。訪れた日は、旬のカツオを中心に、メダイ、マグロ、アジなど充実の内容。自家製の甘辛いタレに漬け込んだマグロの「ヅケ」も入っていました。ヅケに合う魚が獲れたときしか作られないので、出合えた日はラッキー！
カツオの旬は初夏～秋にかけて。夏に北に移動するカツオを「のぼりがつお」、秋から南下してくるカツオを「もどりがつお」とよびます。
この日の刺身定食に入っていたのは「のぼりがつお」。厚切りの身は鮮やかな赤色で、あっさりとした味わいでした。一方、「もどりがつお」は脂がたっぷりとのっているのが特徴で、トロ鰹ともよばれます。どちらのカツオが好みか、食べ比べてみるのもおもしろいですね。
漁業で栄えてきた港町ならではの郷土料理
御前崎市には「がわ」とよばれる郷土料理があります。カツオやアジの身を細かく刻み、味噌や薬味と合わせた冷や汁。カツオ漁に出た漁師が、獲れた魚を船の上で調理したことが始まりで、今も御前崎の家庭料理として受け継がれています。
かき混ぜるときに「ガラガラ」と鳴る音が訛って「がわ」とよばれるようになったのだとか。決まったレシピはなく、店や家庭でそれぞれのレシピを継承しているのだそうです。
すくってみると、朝獲れたばかりの新鮮なアジがお目見え。一口食べると、アジと味噌の甘みに生姜や大葉などの薬味が加わりとてもさわやか。青魚臭さは一切ありません。
ご飯を入れても美味しくいただけるので、定食とがわを合わせて注文するのもおすすめですよ。
まかない料理から生まれた、一風変わった定食
「魚から揚げ定食」は、金目鯛のから揚げが丸ごと1匹乗っているボリューム満点の定食。お店のかたがまかないで食べていたところ、あまりにもおいしかったので、お客さんにも食べてほしいとメニュー化されたのだそうです。金目鯛が水揚げされる静岡県でも、から揚げはなかなか見る機会はありません。
金目鯛の干物を2度揚げしているので、表面はカリっと、中はふっくら。ふわふわで箸で持つとほぐれてしまいそうな身を口に運ぶと、凝縮された魚のうま味が口いっぱいに広がります。
から揚げは熱々のうちに食べると皮や骨が気にならず、背骨以外丸ごと食べられます。衣にもしっかりと味付けされていますが、一緒に提供されるまろやかな酸味の土佐酢や、さわやかにお茶が香る茶塩をつけると、油っぽさが抑えられて味をさらに引き立ててくれますよ。
「磯亭」には1泊2食付きの宿泊プランも。朝・夕の食事には、自慢の海鮮料理が提供されます。
港町ならではの風景を楽しみながら、駿河湾の海の幸を思う存分満喫しましょう。
■磯亭（いそてい）
住所：静岡県御前崎市御前崎1-25
TEL：0548-63-5099
営業時間：11時～14時LO、17～19時LO
定休日：火曜 、月曜夜（月曜が祝日の場合は営業）※宿泊プランは月・火曜
料金：宿泊プラン（1泊2食付き）1人1万1000円～
Text：本杉まこ
Photo：森島吉直（くふうしずおか）
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