沖縄・読谷村のパン屋さん「パン屋 水円」で心と体に染み渡る癒しのパンタイムを
那覇空港から車で約1時間20分、世界遺産・座喜味城跡の近くにお店を構えるパン屋「パン屋 水円(すいえん)」は、大きなガジュマルの木に見守られ、今年14周年を迎えました。店舗は築100年以上の古民家をリノベーション。存在感があり、独特なオーラを放っています。地元の人のみならず県外にもファンの多い一軒です。
20年掛け継いだ天然酵母を使用
沖縄の天然酵母パンの先駆者である「宗像堂(むなかたどう)」で修行を経たのち、2010年8月に「パン屋 水円」をオープンさせたのは、森下想一(もりしたそういち)さんと奥様の香(かおる)さん。
香さんが旅したインドやネパールの山奥にある小屋をイメージして作られた内装とインテリアは、まるで童話の世界から抜け出したよう。お客さんがひっきりなしに訪れますが、時間の流れは不思議とゆっくり。神秘的な雰囲気がただよっています。
パン生地は約20年かけて継いだ自家製の天然酵母。石臼で挽いた小麦粉と水、沖縄の無農薬玄米と紅芋、黒糖、沖縄の海塩を使用しています。低温で時間をかけて発酵させた生地を、手作りのレンガ窯で焼き上げるパンは、ずっしり重く食べ応えもしっかり。
素朴ながら余韻が続く天然酵母パン
「全粒粉の食パン」550円、「大宜味村無農薬ジンジャーとくるみのパン」290円、「伊平屋島黒糖チーズパン」300円、「島バナナとココナッツのパン」290円、「ドラゴンフルーツあんぱん」290円、他にも店内には20種類ほどのパンが並びます。
天然酵母の複雑な香りがふわりと鼻腔を抜け、やさしく穏やかな酸味が広がる「パン屋 水円」のパン。素朴な風合いが魅力的で、飲み込んだ後も余韻が残ります。
牛乳やバター、卵を使わない「きび糖シナモンロール」300円は、アレルギーの人でも「安心して食べられる」と定評があり、店頭に並べられた先から次々とお客さんに買われていきます。その他のパンも14時頃に完売してしまうこともあるそう。早めの来店がにおすすめです。
日が経って水分が抜けて固くなったパンは、スライスして霧吹きで水分を与えて焼くことでむっちりとした食感に。購入したパンを沖縄から持ち帰る場合は、お試しください。
カフェスペースで味わいたいスープランチ
店内で味わいたいのが、旬の野菜を使用した本日のスープとサンドイッチが選べるToday's Lunch1500円です(金曜日と土曜日は南インド料理店「マンチカン」のカレー1400円)。この日のスープは、県産バターナッツかぼちゃのスープでした。
黒糖パンにたっぷりの野菜と北海道から取り寄せる無添加ソーセージ、自家製ケチャップを挟んだホットドックは、ボリュームがあるのにヘルシー。森下さんの「野菜が不足しがちな方に食べてもらいたい」という想いが込められたプレートになっています。
素材の味を大切にする「パン屋 水円」のスープは、野菜と水、塩のみを使用。あっさりとしていながらも深い味わい。お腹だけでなく、同時に心も満たされます。
完食やおやつにおすすめなのが、テイクアウトにもおすすめしたい季節の食材を使用したマフィン。甘さが抑えられているので、朝ごはんにもぴったりです。
目まぐるしく変わりゆく現代の中で森下さんが目指しているのは“変わらない価値”。「私たち人間は、時には心が折れそうになることや、困難に直面して辛い時もありますよね。世の中はおいしいもので溢れているけれど、そんな時に私たちのパンが心に響いてくれたらいいなぁ…と。お客様の心情に寄り添えるようなパンであり続けたいです」と森下さん。
創業当時から地元民にも観光客にも愛されてきた「パン屋 水円」。10年先、20年先も変わらず、この場所にあり続けてほしいですね。
◾️パン屋 水円(ぱんや すいえん)
住所:沖縄県中頭郡読谷村367
TEL:098-958-3239
営業時間:10時30分〜17時
定休日:月・火・水曜
Photo &text:舘幸子
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